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プレゼント交換には想像以上の価値があった

2025-01-25 10:32:47 | 文化
最近プレゼントをもらったという記憶があまりありませんが、ちょっとしたものでもうれしいものです。

お返しなど面倒に感じることもありますが、何にするか考えるのも楽しいことです。こういった中からある意味文化が生まれるのかもしれません。

贈り物を意味する古ドイツ語の「gift」には、実はもうひとつの意味があるようです。それは「毒」で、人から贈り物を受け取れば得をしますが、それは同時に毒でもあるということのようです。

贈り物が毒として作用するというのは、贈り物をため込んでばかりいると、毒気にあたるように人間関係が侵されてしまうということです。そうなる前に、互に贈り物をすることで毒は中和しなければいけないようです。

こうしたお返しを伴うやりとりは文化人類学では贈与と呼ばれています。贈与は人々の評判に関わっているだけでなく、個人間の関係に留まらず社会構造さえも形作るという学説もあります。

もらった物より良いものを返すという不釣り合いな交換をする動悸は、より価値の大きなものを返すことで「あなたとの関係をこれだけ大切にしています」とか「自分はこれだけのことをしてやれます」というように、相手への敬意や自身の度量の大きさを示すことにあります。

平たく言えば見栄を張っているのです。この動機は物の金銭的な価値だけを考えていては、理解することができません。そこで社会関係にまつわる心理的な価値を指す「関係性の価値」という概念が出てきます。

この概念によれば、例えば敬意や愛情を与えてくれる相手との関係は正の価値を持ち、自分を見下してくるような相手との関係は負の価値を持つという事が出来ます。この例として中国の王朝が行った「朝貢」が挙げられます。

これは皇帝が遠くの国の君主たちに贈り物を持ってこさせて、受け取ったものの金銭的価値をはるかにしのぐものを返礼品として与える慣習があります。

金銭的な価値はとても釣り合っていないのですが、自らの豊かさと度量の大きさを示すことで、自分たちが各上であることを自他に認識させる儀式なのです。恋人との付き合いの深さとプレゼントに対する価値観の関係を調べた研究があります。

これを段階を追って説明すると非常に長くなりますので省略しますが、最終的には見返りを求めることなく贈る行為に価値を見出すようです。こういったことから社会学ではモノのやりとりをA経済的交換、B社会的交換、C純粋贈与の三つに分類することが提案されています。

ちょっとしたプレゼントでも、実はかなり深い意味があり、場合によって使いわけなければいけないもののようです。


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