ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ゲノム編集食品の表示義務

2019-07-28 10:13:04 | グルメ
遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」の技術を使った食品をめぐり、編集表示の義務化が見送られる見通しになったようです。

消費者庁は内閣府消費者委員会の食品表示部会で、「従来の農産物との違いを科学的に検証できす、義務違反の特定は困難」とする考えを示しました。任意表示については検討し、8月末をめどに表示のあり方を公表するとしています。

基本的には「ゲノム編集」は、自然界で起きる突然変異とほぼ同じという判断のようですが、やはり人間の手が入っている以上表示すべきことのような気がします。

ただ日本では遺伝子組み換え食物のように、安全性の問題とは別に消費者が拒否するような気もします。日本の特徴かどうかわかりませんが、どうも人工の食物は安全性に疑問があり、自然の食物の方が安全であるという「天然物安全神話」が根強いような気がします。

私は基本的にはこの「安全神話」について疑問を持っています。毎日食べる食物だから確実に安全なものをという気持ちはわかりますが、それが自然のものは安全であるということにはならないと思っています。

人間は他の生命(生物)を食べるという方法で栄養を摂る、従属栄養生物です。天然の動植物には、抗ガン剤をはじめ非常に多くの化合物が含まれています。人間の役に立つものもありますが、多くは何らかの生理作用を持ち毒として作用するものも多くあります。

なぜこういった化合物を作り出しているのかという理由の一つに、他の生物に食べられないようにするためという説もあります。

現在の農作物は長年の品種改良などによって、ヒトの害になるような物質を作り出さないように品種改良されていますが、これは単に遺伝子を発現させないようにしているだけで、毒を作り出す遺伝子を眠らせているだけにすぎません。

これがいつ目覚めてトキシン類を作るようになるかは誰も分かりませんし、そうなったとしてもある突然死が昨夜食べたナスのせいだと分かることはありません。

これほど極端なことは無いのかもしれませんが、ジャガイモの芽や皮には有害物質があると分かっていますが、それを除いて食べているわけです。これは芽だけに有害物質があるわけではなく、全体に含まれている中でも芽に多く集まっているにすぎません。

これは植物だけではなく、例えばホタテ貝の養殖では、突然貝毒が発生し出荷停止なることがあります。ところが天然のホタテ貝はこういった検査をせずに出荷されているわけです。

このように人間の食物はあくまで他の生物の防御反応を含めて食べていますので、常にある程度の危険はあると認識すべきではないでしょうか。「天然物安全神話」はまさに単なる「神話」にすぎないと思っています。

赤い梅酒を作りました

2019-07-22 10:17:15 | グルメ
3年ほど前ですが、細い梅の苗木を買ってきて庭に植えていました。

何か理由があったはずですが、なんで植えようとしたのかは忘れてしまいました。次の年から小さな白い花をつけ、あまり派手な花ではないのですがそれなりに楽しんでいました。ただかなり遅咲きの梅で、近所の梅が終わったころに咲き始めていました。

育ち方もやや特徴があり、上に枝を伸ばすのではなく横に広がる形で大きくなっていきました。その梅の木に今年初めて実が5個つきました。気が付いたのは青梅になってからでしたが、どんな風に変わっていくのか楽しみにしていました。

この青い実がだんだん色づいてきて、黄色から赤みを帯びてきたのです。そのうち1個が自然に木から落ちましたが、オレンジ色から赤みがつき良い香りがしていました。

かみさんに言わせると梅ではなく杏子という事でしたが、確か買った時のタグには梅と有ったような気がしていました。落ちてから数日でかなり熟れてきて、良い果物の香りがしてきたので、食べてみることにしました。

皮をむいてみると果実も濃い赤色となっていました。私も杏子かと思って食べたのですが、それほど甘くなく酸味もあるまさに梅の実の味がしました(昔のことなので怪しいですが)。

そこでネットでこの梅の木を調べたところ、1999年ごろ開発された「露茜(つゆあかね)」という種類の梅であることが分かりました。この種類の特徴が記載されていましたが、枝の張り方や開花時期、花の形などが一致し、まずこの種類に間違いないようです。

この品種は赤い梅酒用に改良されたという事でしたので、私も梅酒を作ってみることにしました。レシピによると35度のホワイトリカーが適しているようですが、私が行ったスーパーの酒売り場にはそのような焼酎は無かったので、25度のやや安い焼酎を買ってきました。

ちょうど500mlぐらいの広口の密閉できる容器がありましたので、そこに色づいた梅を3個入れ、氷砂糖の代わりにスティックを数本入れ密閉しました。

すると2,3日で焼酎がピンクから赤くなってきました。本来梅酒は3,4カ月熟成するようですが、どういう味の変化がするのか10日ほどで半分ほどを出してみました。

赤ワイン程濃くは無いのですが、ロゼよりは赤い酒となっていました。比較のため残っていた焼酎とロックで飲み比べてみました。すると梅酒の方は良い香りと非常にまろやかな口当たりの酒となっていました。

ただ後味にやや酸味が残る味となりましたが、十分ロックで楽しめる焼酎となっていました。容器には残っていた焼酎を足して、今度は長めに熟成させるつもりですが、どんな風味に変わっていくのか楽しみです。

食文化の転換か「培養肉」の世界

2019-07-03 10:36:04 | グルメ
今後地球は人口100億人時代を迎えるといわれ、もうこのままでは肉食を続けることはできないと予測されています。

そこで新たな技術の開発が進んでいるのが、「培養肉」という技術です。世界の人口が70億人を超え、中国など新興国で食肉の需要が増加するなか、懸念さているのがタンパク質の危機です。

近い将来肉の需要に生産が追い付かなくなる恐れがあります。また家畜を出荷するまでには大量の餌が必要で、現在でも世界の穀物生産の約半分が家畜用飼料となっています。新たに農地や牧場を拡大することは、生物多様性の保全や温暖化防止という視点からも難しくなっています。

そこで新たな選択肢として脚光を浴びているのが、家畜の細胞を培養し食肉にするという「培養肉」です。

今年3月東京大学生産技術研究所と食品会社と共同で、牛の筋細胞を培養しサイコロステーキ状の筋組織を作ることに成功しました。培養肉は世界各国で研究されていますが、そのほとんどはハンバーガー用などのミンチ肉状のものです。

ステーキ肉のような構造を持たせるには、筋線維が束ねられた構造を再現する必要があります。研究チームは、細長いゼリー状のコラーゲンの中で培養した牛の筋細胞同士を融合させ、それを重ねていくことで、筋組織特有の構造を作ることができました。

培養肉を大きく育てるには、筋細胞に栄養を届ける仕組み、つまり血管のようなものを作る必要もあり、味という点では脂肪細胞も筋細胞も一緒に培養する必要があります。

こういった課題には、再生医療の技術を応用するようです。肉の培養で課題とされてきたのがコストの高さです。2013年にオランダのチームが開発した、世界初の培養肉ハンバーガーは研究費込みで1個約3500万円とされています。

その後各国の研究でコストダウンが追及されましたが、100gあたり数百万円かかっていました。こうした中日本では、驚異的なコストダウンとハードルの低さを実現しつつあります。

培養に多額のコストがかかったのは、培養液と成長因子(ホルモン)が高かったためのようです。そこで培養液を再生医療用のものから、スポーツドリンクやサプリメントなど市販のものに変え、成長因子に関しては還流培養という、人体と同じように細胞にホルモンを作らせてそれを筋組織に与えるという方法でコストダウンを実現しています。

こうした技法によりすでに100gを3万円以下で培養できるようになりました。これでもまだまだ高価な肉となっていますが、大量生産などによって通常の肉に近くなるのかもしれません。

大きな課題としてこの培養肉をいかに消費者に受け入れてもらうかですが、遺伝子組み換え食物での失敗の経験をうまく活かして、良い啓蒙活動をしてほしいものです。

ミネラルウォーターの種類や違い

2019-06-18 10:24:20 | グルメ
現在は水と言っても実にさまざまな種類のミネラルウォーターが売られています。

私は家の水道水が非常に良い水で、山の天然の湧水に近い水源から取っているという事もあり、普通に水道水を飲んでいます。かみさんはペットボトルの水が好きで、2Lのボトルを購入して飲んでいますが、時に銘柄などを気にしてはいないようです。

売られている水は大きく分けて4つに分類されるようです。ナチュラルウォーター、ミネラルウォーター、天然水、ボトルドウォーターという分類がされています。

まず「ナチュラルウォーター」とは、特定の水源から採取されて地下水に、特定の処理を施したものを指します。

そして地下で滞留・移動する過程でミネラル分が溶解したものが「天然水(ミネラルナチュラルウォーター)」と呼ばれ、「ミネラルウォーター」はミネラルを含んだ水の総称で、人工的にミネラル分を加えたものもミネラルウォーターと呼ぶようです。

この3つと異なるのが「ボトルドウォーター」で、これは水道法で規定された基準に照らし合わせて「飲用適」と認められている水のことで、これをボトルに詰め替えた水とされています。

「バナジウム水」というのもありますが、これは天然または人工的にバナジウムを多く含む水です。一般的には糖尿病の予防効果や脂肪燃焼促進、美容効果が期待されている水です。

こう書くと分類されているもののどこが違うかよく分かりませんが、販売上の便宜的な分類なのかもしれません。

その他にも炭酸水、酸素水、水素水など人工的に成分を加えたものや、深海の水を汲んだ海洋深層水、美容に効果的だとされるシリカ水など、様々な種類の水が世に出回っています。

この分類とは別に、水の種類には硬度で分けられることがあり、硬水と軟水とがあります。これは水1Lあたりのカルシウムとマグネシウムの含有量を表しています。日本では主に硬度100mg未満が軟水で、それ以上が硬水とされています。

日本の水は基本的に軟水ですが、インドに行ったときにその水は驚くほど硬水でした。一緒に行ったある先生は、寝る前にうがい薬を使う習慣があり、日本の水では薬を垂らすと褐色の液になるものが、インドの水では白い沈殿が出たといっていました。

日本人がこの水を飲めば確実に下痢をするようなものです。この硬水と軟水はそれぞれにメリットがありますが、日本人は軟水に親しみがあるかもしれません。

私は(大部分の日本人かもしれません)水は「タダ」という認識で生きてきましたが、これだけ多くの飲料水が販売されているといことは、それぞれの好みにあった水を選別して飲む時代になったのかもしれません。

ワインと日本酒でビールが!

2019-05-03 10:47:36 | グルメ
色々な酒造りに欠かせない「酵母」ですが、最近このゲノム解析が進み酵母のルーツが分かってきたようです。

酵母のゲノムは人間の手でそれぞれ特殊用途に最適化されているため、極めて複雑になっています。

今回の研究のハイライトは、ヨーロッパのビール酵母がヨーロッパのワイン酵母とアジアの酒(コメからできる酒で、日本酒、マッコリなどを指すと思われます)が交配されて生まれた祖先種から進化してきたという発見です。

例えばベルギービールの酵母T58は、染色体は酒にも使われるアジアの酵母と、ヨーロッパのワイン作りに使われる酵母のゲノムが混じりあって、染色体のかなりの部分を占めていることが分かりました。

実際にはラガー、ドイツエール、英国エールが分かれる前に、アジアの酒酵母がワイン酵母と交雑して出来上がったと言えます。

ビール酵母とはどういう種かという点では専門的な観点は別にして、これがワインと酒の酵母の交配で生まれ、その後独自に進化したという話は非常に面白いような気がします。

この交雑がどこで行われたのか、人間の手による交配なのか、自然に起こったものかなどについては明らかになっていないようです。

すべての酵母は中国に始まりますが、酒に酵母を飼いならすという点では日本は先進国で、なんと4000年前に酒酵母を飼いならしたとされています。ワインは古くから作られていますが、これは自然発酵で、酵母を飼いならして使うのは意外と新しいようです。

今回示されたワインと酒の酵母の交雑は、それぞれの文化がシルクロードを通して交流する中で起こったと考えられます。

それにしてもワインと酒を交配すると、ビールという全く異なった酒を造る酵母が出来上がるというのは、自然の面白さと言えるのかもしれません。

ここでは主な酵母のゲノム配列の比較なども出ていますが、私も見てもよく分かりませんので省略しますが、ある部分がワイン酵母由来で他の部分が酒酵母などと決めていくのはかなり大変な作業のようです。

今後は、誰がどこで両方を交配し、ビールというワインや酒とは全く異なる飲物の酵母へと飼いならしていったのかの文化人類学的研究が必要なるのかもしれません。

ビール自体の歴史は何千年前にさかのぼることができますが、現在使われている酵母が全く新しい由来だとわかると、人類のアルコールへの飽くなき探求がよく分かるような気もします。