ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

楽しくお酒飲むために

2019-03-09 10:09:10 | グルメ
お酒の飲み過ぎは健康にとって大敵ですが、適量を正しく飲めば「百薬の長」と呼ばれることもあります。第二の脳とも言われるほど重要な腸が喜び、健康にもいいお酒の飲み方が出ていました。

腸内には、個人差はあるものの200種類100兆個の腸内細菌が存在し、吸収だけでなく排泄、免疫、解毒など様々な機能を担っています。お酒を美味しく飲むためにはこの腸内フローラを整えておく必要があります。

腸内フローラのベストのバランスはたくさんの善玉菌、わずかの悪玉菌、そしてどちらにも味方をする日和見菌をほどほど存在させておくこととされています。悪玉菌をなくせばいいような気がしますが、腸内の状況をよく保つにはある程度必要なようです。

お酒を飲む前に牛乳が上げられますが、あまり膜を作って吸収が遅くなったり、胃腸を守るわけではなく、アルコールの分解を早める働きがあります。通常血中のアルコール濃度がゼロになるためには7~8時間かかりますが、牛乳を飲んでいると分解速度が速まり、5~6時間ぐらいで酔いがさめる効果があるという研究があります。

これはいま宣伝されているウコンにも同じような効果があるようです。お酒の色々な種類を飲むと悪酔いするというのは迷信で、アルコール量に依存しますので、量が多くならなければ問題はないようです。

私はビールとウイスキーということが多いのですが、そのために何かが生じることはほとんどないとされています。腸内細菌にとって時別な働きを示すお酒があり、それが赤ワインです。

原料となるブドウの皮には、老化を促す活性酸素に対抗する抗酸化作用を持つポリフェノールが含まれています。赤ワインによって腸内バランスの改善のほか動脈硬化、脂質代謝異常に効果があることも確認されています。

毎晩深酒をするような人がいる一方で、お酒を一口も飲めない人もいます。アルコールは飲むと胃で20%、小腸で80%が吸収されます。吸収されたアルコールは肝臓に送られ、アルコール脱水素酵素(ADH)の働きでアセトアルデヒドとなり、次にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸となり、さらに水と二酸化炭素に分解されます。

悪酔いや二日酔いになるのは、アセトアルデヒドが速やかに分解されないことが原因です。これを分解するALDHを作る遺伝子に欠陥があるかどうかが、お酒を飲める体質か否かを決定します。

この分解する力が強い遺伝子がN型で、あまり分解できない遺伝子をD型と言います。この遺伝子は両親から1つずつ受け継ぎますので、非常に酒に強いNN型、ある程度は飲めるND型、全くダメなDD型が存在します。日本人の各型の割合は、NN型50%、ND型40%、DD型10%とされています。

私は多分ND型ですが、何であっても次の日に影響がない程度に飲むのであれば、問題はないような気がします。

「コメ」がマイルドドラックになるのか

2018-12-10 10:33:08 | グルメ
日本人は世界の中でも無類の「米」好きな民族ですが、コメには糖質が多く含まれており、脂肪や糖に依存する「マイルドドラック中毒」を引き起こしてしまう危険性があると言います。

その結果、糖尿病やメタボリックシンドローム、ガンなどの発症リスクが高まるとされています。

「糖」と聞くと、チョコレートやケーキなど甘い食べ物を連想しがちですが、米にも糖は多く含まれており、その量はご飯1杯(150g)で角砂糖14個分に匹敵すると言われています。ただしここでいう糖とは「糖類」ではなく糖質の意味で、糖類は砂糖やはちみつなどの主成分で、糖質はそれらに米や麺類などを加えたものです。

糖質には麻薬のようにドーパミン報酬系を強く刺激し、依存症を引き起こす危険があり、このことから糖質を多く含む食べ物は「マイルドドラック」と呼ばれています。

とりわけ日本人は米が主食のため、諸外国と比べても糖質過多の人が多い傾向にあるようです。良くグルメ番組などで、塩辛いおかずに対する褒め言葉として、「ご飯が何杯でも食べられる」と言われますが、健康のことを考えると、糖質過多を誘発するものといえます。

米の怖いところは、糖類のように甘い味がするわけではないので、量をたくさん食べることができる点にあります。年々コメの消費量が減ってきているとはいえ、パンや麺類などの炭水化物がそれにとって代わっているだけとも考えられます。

マイルドドラック中毒が進み、糖質を取りすぎることで様々な健康リスクを高めています。糖質過多によって肥満や糖尿病、ガン、認知症、歯周病にかかる可能性が高まります。

その中でも一番問題なのが糖尿病です。2016年の厚生労働省のデータによれば、糖尿病が疑われる「有病者」は1000万人もいて、1960年には約20万人だった患者数は50倍へと急増しています。

この数字は日本人が糖質を取りすぎていることの証拠だとしています。このあたりは私は若干疑問に思っています。1960年代と現在を比較してコメの摂取量は減っているような気がします。多分コメ以外の糖質商品が多く出回り、その摂取量が増えているためではないでしょうか。

ここでは糖尿病の恐ろしさとして、合併症や抵抗力の低下を上げています。しかし糖尿病患者に、多くの栄養士は糖質ではなくカロリー制限を指導しているのが実態のようです。これを血糖値を上げるのはあくまで糖質ですので、糖質制限をすべきという論調です。

これに反対するわけではありませんが、糖質を減らす候補がコメというのはおかしい気がしています。ご飯というのは日本の伝統的食文化であり、その中心がコメであり過去から全く問題なく生きてきたわけです。

現代に糖尿病が増えてからと言って、コメをマイルドドラックなどとして規制するのは、方向が違うような気がします。

カロリーゼロには副作用?

2018-12-03 10:11:58 | グルメ
多くの人たちに人工甘味料は糖尿病や肥満を防ぐ救世主となっているようです。

「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」の飲物や食べ物を選ぶのが当たり前になっていますが、人工甘味料の与える健康への悪影響が研究者の間では懸念されているようです。

なお私はカロリーゼロ食品などは食べたことがありません。これは私はそれほど大量に食べることがないので、せっかく摂取するのであれば十分カロリーや糖質を取りたいという単純な理由です。

清涼飲料水などの食品に用いられる甘味物質の代表例は、砂糖をはじめとする糖類ですが、それ以外のグリシンやトリプトファンなどのアミノ酸、アスパルテームやサッカリンなどの人工甘味料、モネリンなどの甘味タンパク質などがあります。

これらの甘味成分は、飲み物や食べ物から薬に至るまであらゆるものに含まれていますが、多様な嗜好への対応や加工食品への応用の点から、近年人工甘味料が広く使われるようになっています。

この人工甘味料について、まずアスパルテームは、多くの食べ物から飲物に至るまで広く使われています。これは身体に入るとすぐにアスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールに分解され吸収されます。

アスパルテームは私の知人がこの研究に携わっており、色々苦労話も聞きましたが、アミノ酸2つがつながったジペプチドエステルという面白い構造が甘味を持つという非常に興味深い化合物です。

サッカリンは100年以上前から存在する人工甘味料で、ネズミを使った研究で膀胱ガンの発症リスクがあるとされましたが、その後の膨大な研究で安全性が確認されています。

スクラロースは砂糖から作られたものですが、砂糖の一部が塩素に置き換わったことで砂糖の600倍もの甘さが生まれます。もともと殺虫剤の原料として開発されたものですが、その後砂糖の代替品として使われるようになった新しい人工甘味料です。

この人工甘味料のデメリットを示しますが、まずアスパルテームは体内にはいりフェニルアラニンとなります。その濃度が上昇すると、セロトニンなどの脳内伝達物質の分泌が阻害されることが報告されています。また人工甘味料の摂取により腸内の悪玉菌が増えると言われています。

スクラロースは体内で消化吸収されないので小腸の壁を傷つけたり、善玉菌を減らしてしまいます。この様に腸内環境が悪化することで免疫力が落ちてしまうことがあります。また人工甘味料の種類によっては、腸内のpHが上がりアルカリ性に傾き、栄養素の吸収が落ちてしまいます。

その他糖尿病のリスクが増えるなどの欠点をあげていますが、極端に摂取量の少ない人工甘味料でこのような作用が出るとはとても思えません。肥満や糖尿病を気にする人がカロリーゼロとして安心して摂取するのであれば、十分効果があるものと考えています。

「脳の疲れに甘いもの」説は正しいか?

2018-11-29 10:11:27 | グルメ
仕事のし過ぎで疲れた頭には「甘いもの」が効くという、昔からよく知られた食生活の知恵といえますが、本当に甘いものを摂取することは脳の疲労回復に効果的なのでしょうか。

脳のエネルギー源はグルコース(糖質)のみだから、毎食しっかり炭水化物を取ろうという話があります。どうもこの常識が変わってきているという説が出てきました。

もちろん脳のエネルギー源は糖質が主で、糖以外の栄養素は、脳の血液脳関門(BBB、脳にとって有害な物質が脳内に侵入するのを防ぐ機構)を通過しないので、脳のエネルギー源としては利用できません。そのため脳をきちんと働かせるためには、糖質がいちばん大事だと考えられてきました。

人類の長い進化の歴史の中では、飢餓という危機と隣り合わせの時代がとても長く続いていました。そこでヒトの細胞は、この危機を乗り越えるため、糖質が少ない状態でも脂質やタンパク質のもとであるアミノ酸を燃焼させてエネルギーを生産する仕組みを獲得しました。

体内で糖質が枯渇した状態になると、肝臓を構成する肝細胞の中で脂肪酸が燃焼され「ケトン体」という物質ができます。このケトン体は、細胞膜や血液脳関門を通過し、ミトコンドリアで代謝されることで、脳や多くの臓器のエネルギー源になるのです。

しかし即座にエネルギーの供給を受けることができれば、脳は疲労を忘れ元気づくことができます。疲れた脳は早く疲労から逃れたいがゆえに、炭水化物や砂糖など糖質が豊富なものを欲しがるのです。

ただここに大きな落とし穴があるそうです。糖質を過剰に摂取すれば、肥満や糖尿病のリスクが高まります。肥満になれば体内の活性酸素量が爆発的に増えてしまいます。ですから脳がいくら炭水化物や砂糖を欲しがっても、食べ過ぎてはいけないのです。

ここ20~30年の私たちの食生活を見ていると、脳がいち早く満足するような糖質たっぷりの食べ物ばかり口にしているように思えます。しかしそれは脳内の活性酸素量をいたずらに増やし、脳細胞の老化を引き起こす原因になります。

長期的な目で見れば、脳の疲労回復に甘いものを食べることは、むしろ脳を疲れやすくしていると言えるようです。その他この記事では糖の摂取が認知症を引き起こす可能性などに触れていますが、結局脳が疲れたときに糖を取らずに何をすればよいかは触れられていません。

つまり糖の過剰摂取の危険性を脳にからめて述べているだけのようです。私の結論としては、脳が疲れたときに糖分を要求するのであれば、適切な量の糖分を取ることが効果的であるとなるような気がしています。

毒の見分け困難な「雑種フグ」急増

2018-10-22 10:21:53 | グルメ
涼しくなってくるとフグの美味しい季節と感じますが、近年有毒部位が不明な「雑種フグ」が増えているようです。

温暖化で生息域が変わったことによる異種交配が要因と見られ、漁業地域も変化しています。種類不明のフグは市場や調理者が排除していますが、見た目が従来種と酷似したものも見つかっています。

フグを選別する調理者の資格基準は自治体で異なっており、鍋シーズンを迎える中関係者からは食中毒などの懸念の声が上がっています。

水産大学が2012~14年に茨城、福島、岩手の3県の太平洋沖で漁獲された種類不明のフグ252匹のDNA型を調べたところ、半数以上の149匹が雑種と判明しました。主に太平洋に生育するショウサイフグと、日本海に多いゴマフグが掛け合わされたものでした。

余談ですが、このフグ毒であるテトロドトキシンは美しい構造を持っていると感じています。分子量が300程度の小さな化合物で、基本は糖類の骨格ですが、それにアミジンという構造と、珍しいオルソエステルという構造を持っています。

これを美しいと感じるのは有機化学者だけなのですが、天然有機化合物の神秘さを感じるような構造となっています。こんなものをどうやって作り出すか全くわからず、卒業後3年ぐらいの天然有機化合物討論会という学会で、名古屋大学の岸義人先生がこの全合成を発表されたときに非常に興奮した記憶があります。

さてこのフグの雑種が増加している原因は、温暖化の影響で海水温が上昇してゴマフグが北上し、太平洋側に入り込んだためと推測されています。雑種は見た目がショウサイフグとほとんど変わらないものもいるようです。

この2種はトラフグ属で、日本海西部や瀬戸内海などで獲れる最高級品のトラフグほど一般的ではありませんが、いずれもフグ料理店で出されることがあり、インターネット通販でも調理品が売られています。

フグは種類によって有毒部位が異なるため、厚生労働省は自治体向けの通知で、食べられる部位を種類別に限定しています。種類不明のフグは有毒部位も不明なため、厳重に選別排除し消費者の口に入らない様市場関係者らに求めています。

雑種フグ急増の要因とみられる生息域の変化は、漁獲量にも表れており、近年では北海道の漁獲量が増加し、全国の1割近くを占めるようになってきたようです。

このように雑種フグをいかに排除するかが問題となっているようですが、私が行く比較的安いフグ料理店などはすべて養殖フグと思われますので、雑種フグが混入することは全くなく、安心して食べられそうです。