ごっとさんのブログ

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海洋熱波が「最も暑い夏」をもたらしたと分析

2024-08-01 10:36:09 | 自然
今年も暑い日が続いていますが、先日外に出た時あまりにも暑いので日陰に温度計を置いていたところ、37℃になっていました。

自宅あたりの最高気温は34℃程度だったのですが、実際にはこれよりかなり高くなっているような気がします。

昨年北日本が過去最も暑い夏になったのは、三陸沖などの海面の温度が記録的に高くなる「海洋熱波」が影響した可能性が高いとする分析結果を、気象庁や東京大学などの研究グループが発表しました。

海面水温の極端な高温により、低い位置の雲の形成が妨げられて日射が増したほか、水蒸気が増えるという複数の気象要因が重なって危険な高温をもたらしているとしています。

海洋熱波は過去の記録と比較して、その時期としては異常に高く、極端な高温が数日から数カ月維持する現象です。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の第6次評価報告書で地球温暖化に伴う海洋熱波の頻度や強度が増大すると分析されていました。

気象庁によると、日本周辺の海面水温を過去100年の推移でみると平均1.28℃上昇しています。特に近年は日本近海の暖かい海域が広がったために、台風の強度が強くなっているとの指摘もあります。昨年の夏の日本の平均気温は1898年の統計開始以降で最も高くなりました。

北日本は1946年の統計開始以後で最も暑い夏となり、特に太平洋側で異常な高温となっています。昨年は高度約3000メートル以下の低い大気の気温が過去と比べて際立って高く、特に地表付近で平年差が最大になっていたことから、昨年夏の異常高温は、上空の大気循環の変動の他大気と接する海洋側の要因も関係があることが判明しました。

海面水温は黒潮の流れが北上して冷たい親潮が後退し、三陸沖から北海道沖にかけて海洋熱波が発生したことが分りました。さらにこの海洋熱波により海面付近の大気が不安定になり、北日本の夏に見られる大気下層の雲の量が場所によって20%程度減少し、このため地表に届く日射量が増えて海面水温がさらに上昇しました。

大気を加熱したほか海面から水蒸気量も増えて熱がこもる温室効果が高まったとしています。気象庁や異常気象分析検討会によると、今夏も海洋熱波は最強レベルで続いています。

暑さのピークは7月下旬から8月上旬と予想されていますが、同庁が7月23日に発表した10月までの3か月予報では、ラニーニャ現象が発生する可能性が高いことなどから、9,10月も高温が続いて厳しい残暑になる見込みとしています。

同庁の分析結果による予測では、ラニーニャ現象の影響で海面水温は西部太平洋熱帯域で高く、中東部太平洋赤道域で低いようです。

昨年夏がどんなに暑かったかは忘れてしまいましたが、今年は当分この異常な暑さが続くことは確かなようです。

体内時計の狂いが老化の原因に

2024-07-26 10:34:46 | 自然
私はほとんど夜食を食べるという習慣はありません。風呂から出てくると水割りを飲みますが、基本的におつまみを食べることもありません。

よく深夜のラーメンは体へのダメージが大きいと言いますが、この辺りは体内時計が関係しているようです。

ヒトは夜になると眠り、朝が来ると目を覚まします。ネズミなどの夜行性動物は逆に、夜になると動き出し朝には眠りにつきます。いずれにしても生物は、地球の自転周期24時間に同調して、ほぼ24時間で体内環境を循環させる機能を持っています。

この24時間周期のリズムは「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれ、生物の体内には1日の周期でリズムを刻む体内時計が備わっています。こういった体内時計が、進化上有利だったと考えられています。

たとえば光合成と窒素固定を行うシアノバクテリアの場合、この2つの反応を同時進行させるのは得策ではありません。光合成によって生成される酸素が窒素固定に必要な酵素を阻害します。

大雑把でも光の当たる12時間ぐらいで光合成をおこない、それ以外の時間で窒素固定をした方が生存上有利となります。動物の場合も食事ができる時間帯にはグルコースをどんどん使い、食事ができない時間帯はグリコーゲンを蓄えるといったことが必要となるわけです。

つまり動物も植物も地球の24時間周期に対応したほうが有利で生存確率が高まるといえるのです。シアノバクテリアを使った興味深い実験があります。シアノバクテリアの遺伝子を改変し、概日リズムを22時間周期に変えた変異株を作りました。

これを12時間は明るく12時間暗くしたボックスの中で飼育したところ、24時間周期のワイルドタイプは生き残り、22時間に改変された変異株は死んでしまいました。マスタークロックともいうべき器官が、視交叉上核という視床下部にある神経核です。

これが光に同期して体内時計のリズムを作り出しています。目から入った光情報が視交叉上核に届けられて、体内時計のリズムがセットされるとしています。その他各細胞内にある時計タンパク質があり、ほとんどすべての細胞が時計タンパク質によってコントロールされているようです。

この様にある意味厳密にコントロールされている体内時計が、夜中にラーメンを食べることによって乱されてしまうことになります。たかがラーメンでという気もしますが、食事時間というのは体にとってかなり重要な要素のようです。

私の感覚としては、グルコース不足になった体内に補給するのと、体内時計の乱れのどちらが重要かという気もします。

遺伝子組み換えが困難な細菌を改変

2024-07-20 10:34:18 | 自然
現在は遺伝仕組み換えによって、細菌に有用物質を作らせたりする研究が進んでいます。しかし私が勤務していた会社では、50年以上前から育種によって細菌を改変し物質生産に使っていました。

この遺伝子組み換えも難しい細菌がいるようですが、長浜バイオ大学と名古屋大学の研究グループが、この難しい細菌を組み替えやすく改変することに成功したと発表しました。

組み換えを困難にするハードルが、細菌が外来のDNAから身を守る防御機構にあることを裏付け成果を導きました。組織や細胞、遺伝子などの生物の部品を組み合わせて生命の機能を設計し、目的の機能を持つ細胞や生物を作り出す「合成生物学」の研究が近年活発となっています。

合成生物学を物質生産に利用するのがバイオモノづくりで、化石資源を使わない持続可能な物質生産として、各国で重要な分野と位置付けられています。バイオものづくりには微生物の基となる「基盤微生物」が必要で、遺伝子組み換えがやり易い大腸菌が多用されてきました。

例えば糖尿病患者の血糖値を下げるインスリン製剤の製造では、ヒトのインスリン遺伝子を大腸菌に組む込み発現させています。しかし自然界の細菌の多くは、人類が利用するための遺伝子組み換えが困難で、利用しにくくなっています。

大腸菌が生存できない環境でも増殖でき、より複雑な物質をつくれる基盤技術が求められてきました。研究グループは、有望な細菌としてアシネトバクター属細菌「Tol5」に注目しました。

Tol5はさまざまな炭化水素を栄養として利用でき、毒性が高い有機溶剤のトルエンを分解し、生成物を回収しやすいなどの利点があります。一方遺伝子組み換えが難しいとされてきました。実験では。Tol5の外来DNAに対する防御機構に着目しました。

これに関わる2つの遺伝子を欠損させた場合に、電気パルスを使い外来DNAを導入する効率が約5.7万倍も向上しました。Tol5の遺伝子組み換えが難しいのは、防御機構のためであることを実証しました。

この遺伝子欠損Tol5株では、DNAの断片を連結して組み換えDNAを作る作業を、高価な薬品が必要な試験館内だけでなく、細胞内でも行うことに成功しました。

さらに別のアシネトバクター属細菌を使って開発した遺伝子ツール(プラスミドDNA)を電気パルスで導入し、標的の遺伝子の塩基配列を書き換えることもできました。細菌ごとのオーダーメイドでなく、別の細菌で作ったツールを使えることを示しました。

こうした防御機構は多くの細菌が持っており、これを壊す今回の手法を応用できれば、バイオモノづくりの可能性が広がるとしています。

人類が行った新種誕生という自然破壊

2024-07-19 10:31:14 | 自然
先日も蚊の話を取りあげましたが、ここでは人間の行動による新種の誕生という進化の話しです。

蚊はかなり嫌われていますが、普段は花の蜜や草の汁などを食べているおとなしい昆虫です。しかし産卵期になり交尾したメスは動物から吸血し、卵を作るための栄養分としてタンパク質などが必要となります。

余談ですが蚊の細長い口の中には、6本の針が仕込まれています。外側の2本の針の先端にはギザギザした刃がついており、これで皮膚を切り裂きながら針を差し込んでいきます。次に使うのは管になっている針で、血液が固まらないようにする唾液を注入します。

この唾液によってアレルギー反応が起きると、ヒトは痒みを感じます。最後に使うのが中心にある太い針で、先端に開いている穴から血液を吸入します。残りの2本は、皮膚が開いた状態で固定するために使われているようです。

こう書くと簡単に思えますが、吸血は蚊にとっても命がけの仕事といえるようです。血液を吸うためには2〜3分はかかるし、その間は動くこともできません。気付かれれば叩かれたりして命を落とすことも多いでしょう。

さてロンドンで世界初の地下鉄が開通したのは、日本がまだ江戸時代の1863年です。ロンドンにはアカイエカ種に属する蚊として、トビイロイエカとチカイエカが生息しています。トビイロイエカは地表にすみ、冬季には休眠します。

卵形成には吸血が不可欠であり、主に鳥類から吸血します。一方チカイエカは地下鉄のトンネルなどの地下にすみ、一年中休眠しません。ヒトやネズミから吸血しますが、卵形成のために吸血は不可欠ではありません。

チカイエカの起源についてのひとつの仮説は、地表にすんでいたトビイロイエカが地下鉄のトンネルに侵入して、別種か亜種に進化したというものです。地下鉄のトンネル内は一年中暖かく、四季の移り変わりがありません。

そのため地下に侵入したトビイロイエカは休眠せずに、一年中活動するようになりました。吸血する対象をドブネズミや人間に変えたのですが、吸血できるチャンスは減ってしまいました。その代り、幼虫(ボウフラ)が生息する環境は豊かになりました。

このチカイエカがトビイロイエカから進化したという証明は、遺伝学的な実験により行われました。この辺りの詳細は省略しますが、人類が地下鉄を作ったことにより、新しい蚊の種類を作り出してしまったようです。

このようにわずか180年で新種が出来つつあるという事は、進化は意外と早く進むのかもしれません。人間は自然を破壊して多くの生物を絶滅させていますが、新しい生息環境を作りだして多くの新種を生み出していることも事実といえるようです。

睡眠中に香りを嗅ぐだけで記憶力が大幅アップ

2024-07-17 10:37:12 | 自然
このブログでも書いていますが、私は昔から人の顔と名前を覚えるのが苦手でした。顔は出てくるのですが、名前が出てこずに困ったことがよくありました。

最近はこれに加えて地名や買うと思っている商品名が出てこなくなっています。こういった物も固有名詞という点では同じですので、固有名詞に関する記憶力が低下しているのかもしれません。

最近の研究では、高齢者が毎晩様々な香りに触れることで、記憶力が向上することを発見しました。カルフォルニア大学の神経科学者たちによるこの研究では、60歳から85歳までの43人の成人を対象としました。

それぞれの参加者には、寝室に置くための香りのディフューザーが配られました。研究者が用意した様々な液体を入れると、毎晩2時間参加者が眠っている間、寝室全体に香りが広がります。

参加者は無作為に2つのグループに分けられ、全員にディフューザーと7つのカートリッジが配布され、それぞれに異なる天然オイルが1種類ずつ入っていました。

一方のグループには微量の香りを含むカートリッジが配られ、もう一方のグループにはより高濃度の香りが含まれたカートリッジが配られました。研究期間中、参加者全員がローズ、オレンジ、ユーカリ、レモン、ペパーミント、ローズマリー、ラベンダー、計7種類の香りをローテーションで使用しました。

6か月の研究機関の終わりに、研究開始時に行ったのと同様の記憶力テストを行ったところ、より強い濃度の香りを毎晩浴びたグループは、テスト結果が以前に比べて226%改善しました。脳スキャンにおいても、左の鉤状束と呼ばれる脳の経路の統合性が向上していることが明らかになりました。

この経路は内側側頭葉と意思決定を行う前頭前皮質とをつなぐもので、加齢とともに機能が低下します。微量の香りを入れただけのグループには、同様の改善は見られませんでした。参加者はまた、より熟睡できたと報告されています。

科学者たちの間では、嗅覚能力の喪失が70種類もの神経疾患や、精神疾患の発症の予兆になることが知られていました。アルツハイマー病やその他の認知症、パーキンソン病、統合失調症、アルコール依存症などとなっています。

なぜ香りと記憶が結びついているのかについては、解剖学的な要因が関係しているようです。鼻から香りの信号を受け取る脳の部位は嗅球と呼ばれ、嗅球はその信号を解読し、近接した大脳周辺系と共有します。

大脳周辺系は、感情や気分、そして記憶に関与していることが分っています。嗅覚は、脳の記憶回路に直結するという特権を持っています。しかし残念ながら記憶の喪失に対するアプローチはありません。

研究チームはこの発見が、記憶障害に対する嗅覚療法のさらなる研究に繋がることを期待しているとしています。