ごっとさんのブログ

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   薬と猫と時々時事

地球の全生物の起源は1つとは限らない

2024-10-23 10:32:47 | 自然
生命の起源という問題は私が最も興味を持っていることのひとつですが、残念ながら私が生きているうちには明らかになりそうもないと思っています。

生命誕生の条件はまだいろいろな説がありますが、現在の科学をもってすれば、それを再現することは可能で実際色々試みられていると考えられます。しかしまだ人工生命の成功例はなく、まだ見つかっていない非常に稀な偶然のような要素があるのかもしれません。

地球の生命の共通の起源となった生物はルカ(LUCA)と呼ばれていますが、これは全生物の共通祖先という英語の頭文字をとったものです。ルカはおよそ42億年前に生きていたと考えられています。これは現生生物のDNAの情報から推定されたものです。

42億年前の化石は残っていないので、現生生物のDNA情報から推定するしかありません。例えばヒトとチンパンジーとゴリラの進化の道筋、つまり系統樹は以下のようなものと考えられています。

昔は3種すべて同じ種でしたが、まずゴリラが分岐して、その後チンパンジーと人が分岐しました。この様な系統樹を、DNAの情報から推測することを考えてみます。

仮に3者のDNAの塩基配列の違いが、ヒトとチンパンジーで4塩基、ヒトとゴリラで5塩基、チンパンジーとゴリラで5塩基だったとします。すると3種の無根系統樹の様な系統樹が描けます。

さらに外群と呼ばれるさらに古い時期に分岐したと考えられるものを加えていき、系統樹を完成されることになります。この辺は図示してありますがなかなか理解するのが難しい操作のようです。

このような操作を繰り返すことによって、系統樹の中での共通祖先の位置も決まってくるようです。系統樹を描くためにDNAの情報を使う場合、具体的には特定の遺伝子の塩基配列を使うことが多くなります。

つまりそういう系統樹は、正確に言えば種の系統樹ではなく遺伝子の系統樹となります。種の系統樹と遺伝子の系統樹はおおかた一致するだろうと仮定することによって、遺伝子の系統樹を種の系統樹と解釈しているにすぎません。

さて種の系統樹と解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在しません。しかし遺伝子の系統樹として解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在することになってしまいます。

こういったことから、ルカが生きていた時代より古い時代の生物がいたことになるようです。これは単にルカの定義を変えるだけですが、実際はもう1種類のルカがいないと説明できないことになるようです。

生命の起源を考えると、異なった場所で生命が発生するという偶然が起こるとは考えられませんので、この系統樹から見た生命の起源は怪しいという事になるでしょう。

こういったことも含めてどこかで人工生命を作り出す実験に成功して欲しいものです。

人差し指と薬指、どちらが長いのか

2024-10-11 10:34:07 | 自然
私は長い事ギターを演奏してきましたので、指の長さは気にしていたのですが、人差し指と薬指の長さを比べたことはありませんでした。

この長さを比べる「指比」の研究は世界中で行われているようです。指比研究が明らかにしてきた意外な人間の才能とホルモンの関係が分かってきました。ここでは北海道大学の研究を中心に紹介します。

精巣の発生が始まるのは、ヒトでは妊娠8週目ごろと言われています。胎児の身体に精巣が作られると、そこから男性ホルモンが大量に分泌されます。この大量分布は妊娠12週目ごろから顕著になり、16週目あたりをピークに22週目ごろまで続きます。

胎児期におけるこの一過性の男性ホルモン分泌は、「アンドロゲンシャワー」と呼ばれています。大量に分泌された男性ホルモンは、胎児の身体の隅々まで届けられ、後に男性型に発達していくためにさまざまな細胞、組織、器官を整えていくと考えられています。

このアンドロゲンシャワーをどれくらい浴びたのか、大人になってからも知ることができると言われています。それが人差し指と薬指の長さを比べる「指比」の研究です。

人差し指と薬指の長さの比は、第2指・第4指比(2D:4D比)と呼ばれ、人差し指の長さを薬指の長さで割った値のことです。男女で指比に差があることは150年前の1875年に報告されています。

日本人の双子300人を対象として指比を調べた研究では、男性の平均値が0.951、女性の平均値が0.968と報告されています。男性同士で比べた場合でも、胎児期にアンドロゲンシャワーをより多く浴びた男性ほど、薬指より人差し指が短い傾向があることが報告されています。

さらに1990〜2000年代には、指比がさまざまな特性と相関があるという報告が相次ぎました。身体能力や行動、判断力、性格や気質、病期のかかりやすさなど、成人してからの男性のさまざまな特徴に影響を及ぼすといったものです。

スオンジー大学はスポーツと指比の関係を調査する研究を行い、イギリスのサッカー選手の指比を調べた有名な研究があります。一般男性30名とサッカー選手30名の指比の値を比べたところ、一般男性の平均は0.98でしたが、サッカー選手では0.95と人差し指がより短いことが分りました。

さらに200名ほどのサッカー選手を対象に、そのクラス分けに応じて指比を比較したところ、活躍していた選手やコーチの値の平均は0.94と、さらに人差し指が短い傾向がわかりました。これは名プレイヤーほど、胎児期にあびたアンドロゲンシャワーの量が多いことを示唆しているようです。

私ははここで初めて指比という概念を知りましたが、指の長さとホルモン量(しかも胎児期の)に関係があるというのは、ヒトの面白さをあらめて感じたような気がします。

人の意識は「死んだら終わり」ではないのか

2024-10-04 10:34:25 | 自然
私は「死」とは生命が有機化合物の集合体に代わることであり、脳の活動も停止しますので意識も無くなると考えています。

当然死後の世界など存在しないと思っていますが、最近でも色々な大学の研究者たちが、死そのものを科学的に解き明かそうとしているようです。

こういった研究では臨死体験という話しがよく出てきますが、「臨死体験」とはなにか明確にはなっていない気がします。非常に難しい手術が奇跡的に成功して助かったとしても、脳は正常に機能していたはずで、別に死に近づいたとは言えないような気がします。

中部大学の研究員がある少年との話を例示しています。この少年は「戦艦大和で戦死した乗組員だった」という記憶がはっきりしているようです。その詳細は省略しますが、これは単に記憶が遺伝によって受け継がれる可能性があるという事だけのような気がします。

また海外では米国の女性が体験した「体外離脱」が有名なようです。この女性は脳動脈瘤の治療のため、「低体温心停止法」という仮死状態で行う特殊な手術を受けました。

体温を15℃に下げられて心肺停止となり、目隠しと耳栓をされていたにもかかわらず、自分が手術される様子を克明に見聞きしていたということです。これも詳細は略しますが、この件は「史上最も詳しく、科学的裏付けのある臨死体験の証言」と言われているそうです。

さらにこの女性の証言は、古今東西に残された「あの世」についての言い伝えとも驚くほど似通っていたとしています。ここで語られていた光景は、国や文化、宗教、時代を超えて多くの臨死体験経験者が証言する内容と一致しています。

この様な証言は、かつてなら「妄想だ」「幻覚だ」あるいは「捏造だ」などと切り捨てられていました。

現在では世界各国であまりに多くの報告があること、それらに不思議な一致が見られることから、「人の意識は、死後も何らかの形で存続する」そして「その形式には何らかの法則性がある」ということを少なからぬ研究者が認めるようになっているそうです。

ここで私はこうした臨死体験が、なぜ「意識が死後も存続する」という話しと結びつくのかがよく分かりません。バージニア大学では、すでに2600件以上の「死後の世界」や「生まれ変わり」に関する証言が集められ、分析されています。

もちろん信頼に足る証言が増えているからと言って、直ちに「死後世界が実存する」とは断言できません。ただ脳や身体の機能が止まるとその先は完全に無であるという考え方は、医学界や科学界でも過去のものになりつつあると言えるでしょう。

当然ですが私はこの意見に賛成できません。やはり「臨死」と「死後」は全く異なるものであり、臨死体験で死後の世界を推定することはできないと思っています。

地球温暖化が豪雨を産むメカニズムとは

2024-09-27 10:36:28 | 自然
今年の夏は本当に暑く、毎年最高の暑さを更新しているような気がします。

ただ私はどちらかと言えば暑い方が好きで、少々の暑さは苦にならないと言えそうです。ただ熱中症で搬送される人が増えるなど気を付けるべきことは多そうです。

今年7月は観測史上最も暑い7月となりました。熱中症で救急搬送された人は、7月29日から8月4日の1週間で、1万2272人となっています。

地球温暖化は、二酸化炭素など温室効果ガスの排出が関わっているとされていて、工業化が進められたこの200年ほどの間に、世界の平均気温が1.1℃上がっています。こういったことに対処するために本年7月、京都大学防災研究所に「気候変動適応研究センター」が設立されました。

ここでは温暖化で雨の降り方がどう変わり、豪雨がどのくらい増えるのかを調べています。研究では世界平均気温が2℃上がると、日本の梅雨豪雨の回数は2割ほど増え、4℃上がると豪雨の回数は5割増え、北海道でも梅雨が起きるようになると予測しています。

豪雨が増えるのに大きく影響しているのが、海面水温の上昇です。日本近海では、海面水温が極端に高い「海洋熱波」と呼ばれる現象が発生しています。北日本の海では、去年平年に比べて海面水温が5℃高い現象が起きていて、今年も高い状態が続いています。

温暖化で豪雨の原因となる水蒸気がどんどん増えて、日本各地に流入してくるようです。今年7月、山形県新庄市では24時間で389ミリの雨が降り、平年7月に降る1カ月の雨量の1.8倍にあたります。温暖化で豪雨が増えると、難しくなるのがダムの運用です。

2013年9月、京都府南丹市の日吉ダムでは、台風18号による大雨で水位が23.7mも上昇しました。この水位は洪水の時に想定していた最高水位を超えていました。

また2018年7月の西日本豪雨では、愛媛県のダムがほぼ満水になり、緊急放流されましたが、川が氾濫し5人が命を落としました。特に渇水が起きるようなダムでは、雨を貯めておく必要性と豪雨での放流の両方を考慮した運用が求められます。

地球温暖化による豪雨の増加は、ダムや堤防などハードの整備が不可欠となります。近代治水の以前は、洪水を受け入れていた日本の社会というものがありました。その頃の知恵を近代的な技術で、もう一度復活させる必要があるとしています。

川の近くに遊水池や田んぼを設けたり、地下に雨水をためる施設を作ったり、より安全な場所に引っ越したりと、流域の人たちで治水と防災に取り組み、災害時に備える時代と言えるようです。

私の自宅は水害とは無縁の土地ですが、防災意識は常に必要なのかもしれません。

宇宙にも生命はいるのか、海と生命の素朴な疑問

2024-09-06 10:34:28 | 自然
宇宙に生命はいるかという質問に、ほとんどの宇宙研究者はいると回答するようです。ただこの場合生命とは何かという定義が必要なのですが、これもまた難しい問題です。

ここでは地球型生命として定義の問題は置いておきますが、海があれば生命はいると考える人は多いでしょう。私は地球以外には生命はいないという論者ですが、この辺りも省略しておきます。

小学生に宇宙の生命の絵を書いてもらうと、タコに似た生き物を描く子が多いようです。SF映画などで描かれる宇宙人やエイリアンみたいな地球外生命体も、変わった形はしているものの眼鼻や手足など、基本的な仕組みは地球生命とだいたい同じです。

ほとんどの人が今の地球にいる生き物を基にした似たようなものをイメージするでしょう。しかし今の地球にいる生命だけが「生命」とは限りません。たぶんもっと広い意味での生命とは何かを考える必要があるのです。

結局この問題はまだはっきりとした答えが出ていないのも確かです。そこでここでは宇宙にも地球と同じような生命がいるかどうかという問題に絞って考えます。この文章のもととなる記事の筆者は、地球にいる生命は決して地球だけの特別なものではないと思っているようです。

どこの星であれそこに海がさえあれば、地球と同じように生命が生まれるはずとしています。地球の海は、深海の熱水噴出孔から湧きだす熱い水と岩石が反応することで、様々な物質が溶けたダシのきいたスープのようなものになったもので、それこそが「海」といえます。

地球で最初の生命は、およそ40億年前に海底の深海熱水噴出孔で生まれたと思われます。もし地球以外の星に地球と同じような海があれば、そこには必ず地球のような熱水噴出孔があるでしょう。そうであれば地球で最初に生まれたのと同じような生命ができあがるはずです。

それが地球生命のように何十億年も生き続け、植物や動物などさまざまな形に進化するかどうかは分かりません。それはその星の環境によるでしょう。しかし海さえあれば、地球生命の共通祖先(ルカと呼ばれています)と同じものが生まれる可能性は高いのではないでしょうか。

私はこの意見に全く賛成できませんが、もう少し続けます。「海」のある星は、既に太陽系の中で見つかっています。木星の衛星エウロパと土星の衛星エンケラドスは、どちらも表面を厚い氷が覆っていますが、その下には海があることが分りました。

とくにエンケラドスの海は、溶けている物質が地球とよく似ていると思われます。とはいっても太陽系でも探査機を送り込んで、地下の海のサンプルを持ち帰るのは私が生きている間には無理な気がします。

地球外生命というのはひとつの夢ではあるのですが、そのために膨大なコストを費やすのはやや疑問に思っています。