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地球生命はなぜかみんな「左利き」

2023-09-17 10:34:35 | 自然
タイトルの文章は「左利き」となっていますが、これは別に「利き手」とのことを指しているわけではなく、生命は立体異性体のうちL型のみを使っているという意味です。

生命の謎を考えるうえで大きなものにこのL型アミノ酸のみを使用しているという点があります。タンパク質を構成するアミノ酸の立体構造は、それを鏡に映したものとは重ねることができません。

右手と左手の関係にたとえられますが、見た目はほぼ同じですが重ね合わすことができないものです。この様な分子を立体異性体または光学異性体と呼び、互に鏡像となっている2種類の分子をD型、L型と呼んで区別しています。

この両者の化学的性質は全く同じであり、実験室で人工的にこのような分子を作ると、DとLがほぼ同数生じます。しかし地球の生命のすべての種はことごとくなぜかL型のアミノ酸のみを体内で用いています。

なぜこんな不思議なことになっているのか、これまでに様々な研究が行われていますが、全く分かっていません。これは最初の生命がどのように誕生したかという謎に、密接にかかわっていると思われます。

自然界において非生物的に有機分子が作られるような場所やプロセスはそれなりにあります。しかしほとんどの場合、そうした有機分子はD型とL型は同じ量だけ生成されます。そのような環境でどうやってL型だけの分子が選ばれて集まり、原始生命となったのかは大きな謎のひとつです。

若干の左右非対称性が非生物的に生まれる場合も知られています。たとえば星間空間には恒星からの光が飛びかわっているが、それらは微粒子に散乱されるなどの過程で「偏光」という現象を起こします。

この偏光した光をエネルギー源として宇宙空間で有機物が作られる場合、光の左右非対称性を反映して、有機物の左右対称性も崩れることが知られています。ただしこの偏りはせいぜいどちらかが数%ほど多いというレベルです。

また地球上では、存在する「土壌」が触媒的な役割をはたし、これが立体的な制限で非対称になるという説もあります。これによればL型のみが作られる可能性もありますが、この説は実験的に証明されてはいません。

現在のところ完全にD型あるいはL型のみの分子を用いている生命の非対称性に対する満足な説明は皆無です。左右非対称の起源はやはり、有機分子が組み立てられて最初の生命となるプロセスにこそ隠されているような気がします。

単純な有機分子がどのように結合し、組み立てられて複雑な遺伝情報を獲得し、自己複製する生命に発展していったのかという最大の難問なのかもしれません。


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