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医学を支えるマウス その2

2017-03-26 11:04:40 | その他
前回医薬開発などに、病態マウスが重要な役割を果たしていることを書きました。

いかにヒトの病気と類似のマウスを作るかが、新たな医薬の探索や病理の解明に必須のこととなっています。現在はこの病態マウスを作り出すのは、大部分が遺伝子改変操作で1990年ごろから用いられています。

遺伝子を改変する場合には、正常な遺伝子を発現させなくする、つまり遺伝子を壊してしまうマウスをノックアウトマウスといい、逆に新たな遺伝子を導入したものをノックインマウスと呼びますが、病態マウスはほとんどがノックアウトのようです。

ほんの数年前まではこのための手法として、胚性幹細胞(ES細胞)が使われてきました。まず胚性幹細胞に新たに導入したい遺伝子や、類似しているが壊れている遺伝子を導入します。このES細胞を受精卵に入れると、遺伝子改変された細胞と正常な細胞が交じったキメラマウスができます。このマウスをいろいろ交配させていき、ヘテロマウスなどを経て何代か先に目的の遺伝子が改変されたマウスができるようです。

この一連の操作には約2年かかり、費用も約200万円かかったとされています。この辺りの具体的手法はよく分かりませんが、一つの遺伝子を改変した病態マウスを作るのはかなり大変な作業だったようです。これ以前はトランスジェニックマウスという、遺伝子がどこに入ったかもわからない手法だったようですが、詳細はよく分かりません。

ところがここ数年で「ゲノム編集」という技術が開発されました。これについては今勉強しているのですが、あまり理解できていません。基本的には遺伝子配列を認識し、その部分を切断したりそこに新たな遺伝子を入れるようですが、なぜそれが簡単にできるのかが分からない部分として残っています。

大阪大学のノックアウトマウスを研究しているグループによると、このゲノム編集を使うと期間も2,3か月で済み、費用も約20万円と10分の1になったとしています。ここでは不妊症の原因を探る研究をしており、80種のノックアウトマウスを作製したようですが、従来は20年間で23種できただけが、ゲノム編集での3年間で31種作成したとしています。

現在はこのノックアウトマウスを使い、遺伝子の働きを網羅的に探るプロジェクトも進んでいるようです。2011年に始まった国際マウス表現型解析コンソーシアムといい、約2万の遺伝子を解析しています。ここでは昨年1751個の遺伝子についてそれぞれノックアウトマウスを作成して解析した結果、410個の生命に不可欠な遺伝子を特定した発表しています。

こうやって遺伝子解明が進めば、生命の不思議がだんだん解き明かせるのかもしれません。
           

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