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ワクチンや薬で老化細胞を除去

2024-04-17 10:34:52 | 健康・医療
加齢によって生じる老化細胞がいろいろ問題を起こしていることは、このブログでも時々取り上げています。

最近老化細胞をいかに除去するかの研究も進んでいるようですが、これに有効なワクチンが開発されたという記事が発表されました。

ヒトの細胞は、神経細胞や心筋細胞などを除いて常に分裂・増殖を繰り返していますが、無限に分裂し続けられるわけではありません。分裂回数には「ヘイフリックの限界」と呼ばれる法則があり、一定の回数を超えると分裂できなくなります。

ヒトの場合の限界値はおよそ50回とされ、細胞分裂できなくなった状態が細胞にとっての老化となります。このヘイフリックの限界を決める要因は、「DNAダメージ」と「テロメア」にあるようです。

細胞にはDNAダメージが一定以上蓄積すると細胞を老化させる機能が備わっています。またテロメアは染色体の末端にある構造体で、染色体の末端を保護したり細胞分裂時のDNA損失を防いでいます。

テロメアは細胞分裂のたびに少しずつ短くなっていき、一定以上短くなると細胞分裂できなくなります。テロメア短縮もまたDNAダメージの一種として細胞に認識され、細胞老化が生じ分裂を停止します。

細胞老化は、ある意味では避けがたい自然の摂理と言えますが、老化した細胞が増えていくと全身の老化に繋がり、様々な問題を引き起こします。そこで画期的な手法として開発されたのが、老化細胞除去ワクチンです。

老化細胞に特異的に発現する物質が多数あるのは、近年の網羅的研究で明らかになっています。その物質を標的とすれば、より少ない副作用で老化細胞を標的とした治療法が開発できます。

ここでは老化細胞のマーカーとなる分子GPNMBを選択し、この老化抗原を標的として攻撃する抗体を生み出しました。作成された老化細胞除去ワクチンをマウスに投与したところ、老化細胞は取り除かれ、早老症マウスの寿命を延ばすことができました。

ただワクチンは効果が長続きするという特徴があり、有害な副作用をきたしてしまう場合、対処が難しくなります。どのような形で社会実装、市場提供していくのが良いのか慎重に考える必要があるようです。

まず特定のアルツハイマー病などの疾患を対象として臨床試験を行うとしています。このワクチンは5年後ぐらいをめどに開発を進めるようですが、老化をスローダウンさせるひとつの選択肢として有用な手法になりそうな気がします。

ただしこういった研究が進み老人が増加することが、社会にとって良い事かどうかは別な問題と言えそうです。


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