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顔写真だけで認知症を判定

2021-02-14 10:28:19 | 健康・医療
歳を取ってくると認知症は自覚症状のあるなしにかかわらず気になる病気のひとつです。

認知症は正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。

日本では約460万人(65歳以上の約15%)が認知症を患っているとされています。今後も高齢化が進み認知症の人は増えていくことが予想され、2025年年には65歳以上の人口の約20%が認知症を有している状況になると推定されています。

人工知能(AI)が顔写真から認知機能の低下を90%の正答率で見分けることができた、という研究結果を東京大学などの研究チームが発表しました。このように顔だけで認知症を判定したのは世界初めてのようです。

この手法は前もって正常な人の顔写真と認知機能が低下した人の顔写真を学習させるというものです。研究には認知症や軽度認知障害(MCI)に相当する男女121人(平均81歳)と、認知機能が正常な男女117人(平均76歳)のデータを使用しました。

表情のない正面写真をAIに学習させ、正しく見分けられるかどうかを検証しました。その結果AIの正答率は93%で、顔の上半分では91%、下半分では94%と顔の半分だけでも正答率は同等でした。

軽度の認知症は診断が難しいケースもあり、今回の研究は「認知機能が低下した人は、実年齢よりも高く見られる傾向がある」との先行研究を受けて企画されました。この認知症の診断が難しいため、認知症薬の開発も難しくなっているようです。

つまり新薬開発の臨床試験において、薬の効果があったかどうかを判断するためには、正確な認知度の測定が必要ですが、これが時間により波があったり、判定が数値化できないなどの問題がありました。

こういったことが認知症薬の開発がスムーズにいかない理由のひとつとされています。このAIの診断が認知症の改善や進行を判定できるかは分かりませんが、新しい判定方法の開発と言えます。

今回の研究チームは、「AIによる顔写真解析は、安全、安価に認知症の人を見つける方法として役立つ可能性がある」としています。認知症も早期発見が重要と言われていますが、現状では残念ながら確実に改善する方法は治療薬も治療法もないに等しいといえます。

原因とされるアミロイド説では、認知症発症の20年前ぐらいからアミロイドが徐々に蓄積し、それにより脳細胞が死滅していくとされています。従ってアミロイド除去薬が開発されたとしても、それまでに死滅した脳細胞を復活させることはできませんので、改善は難しいようです。

今回のAIの写真判定が発症前の認知症予備軍を見つけ出せれば、認知症予防薬の開発につながるのかもしれません。


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