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関節リウマチと心臓病の関係

2021-03-29 10:24:19 | 健康・医療
心疾患は日本人の死亡原因の第2位を占め、その治療や予防、病気の原因究明などに関して、様々な研究が進められています。

そうした研究について地域医療振興協会会長の高久史麿先生の解説がメディカルノートに掲載されていました。高久先生は自治医科大のころに色々お世話になった非常に楽しい先生でした。

まずテキサス大学が行った関節リウマチ患者の心疾患についての研究です。従来から関節リウマチ患者は心疾患で死亡する割合が60%程度高いことが知られていました。

この研究では、633人の関節リウマチ患者を血中葉酸値によって3群(血中葉酸値が4.3ng/ml未満、4.3〜8.2、8.2以上)に分けています。研究が行われた17年間で、258人が心疾患で死亡していました。

上記の参加者のうち血中葉酸値が4.3ng/ml未満の患者は、心疾患による死亡率が50%高いことと関連があると示されています。

研究チームは血中葉酸値は、関節リウマチ患者が心血管障害で死亡する危険度を判定する有用な指標ですが、血中葉酸値の低下が直接血管障害を起こすことを示したものではないようです。

この研究を推進することによって葉酸と心血管障害との関連が明らかになれば、関節リウマチ患者に葉酸サプリメントを投与することが心血管障害を防ぐ手段になると考えられます。葉酸は細胞の新生に必須であり、血中ホモシステインの値を下げるように働きます。

血中ホモシステインの値が高いと、心疾患の危険度が高いことが知られています。関節リウマチ患者ではホモシステイン値が上昇しており、その原因は関節リウマチの治療によく使われるメトトレキサートという薬が葉酸値を下げるように働くためとされています。

この解説記事によると、リウマチ患者の薬の副作用で心疾患が多くなる感じがしますが、そういった要因があるのかもしれません。次にコレステロールを下げる薬が骨粗しょう症を起こすという報告です。

これはオーストリアのウィーン医科大学の研究で、790万人のビッグデータを用いたことが特徴です。研究チームはおよそ2年スタチン類(プラバスタチンなど)を服用しているオーストリア人を対象にして観察しました。

その結果スタチンの投与量と骨粗しょう症の発症との間に統計的に有意な関係がみられ、スタチンの投与量が多いほど骨粗しょう症の程度が強くなっていると報告しています。

コレステロールは骨の健康に不可欠なエストロゲン(女性ホルモン)やテストステロン(男性ホルモン)の原料となっています。研究チームはスタチンの投与を行う場合、心血管と骨への影響を考慮すべきとしています。

この記事では薬の副作用という点を強調してはいませんが、これは常につきまとう問題であり今後考慮すべき課題と言えるような気がします。


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