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脳の細胞外スペースと神経修飾物質 その2

2022-05-18 10:28:28 | 自然
前回は脳には約20%もの細胞外スペースがあり、ここにゆっくりと神経修飾物質が移動し、そこに「人間らしさ」が出てくる可能性があることを、脳のシステムを中心に述べてきました。

ニューロンの電気的な活動は、コンピーターのようなデジタル信号処理と捉えることができますが、細胞外スペースを使った広範囲調節系は、ゆっくりでアナログ的な伝達といえるようです。

このアナログ伝達が生き物らしさや「こころのはたらき」を担っているのかもしれません。まずここではまず代表的な神経修飾物質を紹介します。

最初がノルアドレナリンですが、非常に多くの脳機能に関与していてとくに新規な予期しない刺激に対して放出が促進されます。いわば脳の「アラートシステム」の役割を果たしています。

生理的には脳の覚醒水準を高めて注意を集中し、目新しい環境に置かれたときに生じる不安やストレスなどの気分を制御し、環境に適応するために記憶の活性化や学習効果を高める作用を持っています。

次がセロトニンですが、本能的な行動を制御していて、血圧調整や体温調整、摂食行動や性行動、睡眠の覚醒のサイクルや概日リズム、攻撃性や不安な情動行動を始めとする生存に必須の機能をいくつも制御しています。

人間らしさに関わるドーパミンは拡散性伝達によって信号を伝達する神経修飾物質で、運動機能と情動機能を司る脳機能に関わっています。情動というのは、快・不快、嫌悪や恐怖、喜怒哀楽など普通「感情」と呼んでいる脳機能のことを指します。

したがってドーパミンは人間らしい生活を送るためには無くてはならない必須の神経修飾物質です。また記憶とも密接に関係していて、受けた感覚情報を過去のものと参照して、評価することにも関わっています。

この様な報酬とそれに関連する行動の変化のことは、一般に報酬系と呼ばれています。またドーパミンが作用する脳の一部は、報酬の量を予測し、やる気をコントロールすることから脳の「やる気スイッチ」とも呼ばれています。

意欲やモチベーションというのは、のちに来るであろう報酬を予測できるからこそ持続できるものであり、高度な「知性」だといえます。

最後がアセチルコリンですが、初めて同定された神経伝達物質であり主に筋肉を動かす末梢神経と筋肉の接合部で働く伝達物質です。脳の中でも働きを持っていて、特に大脳皮質や海馬の情報伝達に関与しているという報告もあります。

つまり学習や記憶に重要な働きをしているようです。以上のように神経修飾物質の働きを述べてきましたが、こういう物質がなんとなく「人間らしさ」を出していることが感じられるような気がします。

特にニューロンのようなデジタルではなく、アナログ的な回路であることはより納得性が高いような気もします。


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