腕時計型装置で睡眠を高精度に測定

かなり前になりますが、安いスマートウオッチを購入しこのブログでも紹介しました。これは腕につけておくだけで、血圧や脈拍、運動量や睡眠の解析ができるようになっていました。

どの程度の精度があるか分かりませんが、血圧に関しては測定するとき同時に測りほとんど差がありませんでした。睡眠に関してはデータをスマフォに送り見るようになっていましたが、レム睡眠や覚醒などが記載され、どの程度の質かが出るようになっていました。

しかし肝心の時計が電波時計のはずなのに狂ってしまい、修正できなくなってしまったため放置してたまに血圧を測る程度となっています。

最近東京大学の研究グループが、簡単な腕時計型の装置と独自に開発したデータ解析の機械学習法を使い、成人の睡眠を精度良く測定しパターンの分類に成功したと発表しました。

現代人は睡眠のパターンが多様化し、平日と休日で睡眠時間が異なる「社会的時差ボケ」が肥満や高血圧、精神ストレスにつながるなど健康上の悪影響が指摘されています。

入眠困難や中途覚醒などの不眠症の症状は、脳波などの計測により正確に把握できますが、装置が大掛かりで診断に必要な長期間の計測は難しいという問題がありました。

研究グループは、腕の加速度をもとに睡眠と覚醒を判定するデータ解析の機械学習の手順「アクセル」を独自に開発しました。加速度のパターンをうまく見分け、覚醒による動きと寝返りの動きを区別できるようになり、覚醒を約80％の精度で検出することに成功しました。

大掛かりな従来法に比べ総睡眠時間の差は約18分、中途覚醒時間の差も約4分という高い精度を得ることができました。さらにこの腕時計型の装置を付けた英国の成人約10万人の加速度データベースに、アクセルを適用して解析を重ね、睡眠が16のパターンに分類できることを見出しました。

このうち7パターンが不眠症と関連するようです。この方法は大掛かりな従来法の精度にかなり迫っており、睡眠を正確に測定してパターンを理解することは、健康管理や不眠症などの睡眠障害の診断、治療のために重要です。

簡単に身につけられる装置とアクセルを活用することで、これらに役立つと期待されています。今回開発された腕時計型の装置と解析方法は、安いスマートウオッチとは雲泥の差があることは確かですが、手首につけるだけで正確な睡眠の診断ができるということがこれで証明されたのかもしれません。

研究グループは、従来法だと保険診療でも入院して一晩で数万〜10万円かかるものが、今回の成果で非常に小さなコストと手間で大規模に測定でき、年1回は睡眠の健康度を測れる社会を目指したいとしています。