ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

胎児の疾患を「子宮内」で治療

2019-08-03 10:21:31 | 健康・医療
現在はお腹の中にいる胎児の検査法が発達し、この段階で発育不全や他の重篤な疾患を見つけ出せるようになってきました。

これまでは赤ちゃんが母体を離れるまでは治療を施せず、その頃には手遅れになっていることもあったようです。そこで胎児の段階で子宮内で遺伝子編集を行うという研究が進んでいます。

子宮内診断の結果を告げられた親たちは、たいてい二つの選択肢が与えられます。中絶するか、生涯にわたって繰り返し侵襲的な手術を受ける可能性のある子どもを育てる覚悟を決めるかという事になります。この遺伝子編集による子宮内治療は、第三の選択肢となる可能性があるわけです。

ペンシルウェニア大学の研究チームは、クリスパーの遺伝子編集コンポーネントをウイルスに植えこみ、妊娠中のマウスの胎盤に注入しました。このマウスの胎児は、致死的な肺疾患を引き起こす変異を持っています。

そこにクリスパーのコンポーネントを投入することで、羊水とともに胎児に吸い込まれ、体内で急速に分裂する肺胞前駆細胞のDNAを編集します。この前駆細胞は肺の内部を構成する様々なタイプの細胞へと分化します。

そのなかのひとつに、呼吸のたびに肺が破裂しないよう粘液を分泌する細胞があり、この変異を持つときは先天性呼吸器疾患の主要な原因のひとつであり、通常これを持つマウスは生後数時間で死亡します。ところがクリスパーで遺伝子編集を施した個体は、4頭に1頭が生き延びました。

この分野はまだ揺籃期にありますが、クリスパーを利用した治療法の特有の問題(十分な数の標的細胞にクリスパーを届けることや、免疫系の攻撃を避けること)の多くは、患者が子宮内にいるうちに治療することによって解決すると研究チームは考えています。

成人の組織の細胞の遺伝情報を編集する場合は、細胞の増殖速度が遅いため、効果を出すには多くの細胞に届ける必要があります。胎児は発達途中であり、細胞は新たな組織に成長すべく急速に分裂を繰り返す段階にあります。早い段階で編集を行う程、導入した遺伝的変異は増殖し、発達中の組織に行きわたります。

また発達中の組織の免疫系は、外界にさらされて生活している人と比べて弱いため、細菌に由来するクリスパーのコンポーネントが攻撃を受ける可能性が低くなっています。ただし安全性には未解決の問題が残っています。

赤ちゃんを治療する過程でこの技術は健康な第三者である母親をリスクにさらす可能性があります。この様にまだ問題はありますが、重篤な遺伝子疾患を胎児のうちに治療する可能性は出てきているようです。

ただ私としてはこういった胎児は中絶し、新たな健康な生命を誕生させる方が良いという意見を持っています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿