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アルツハイマー病の科学的な予防方法

2023-11-19 10:33:17 | 健康・医療
アルツハイマー病の新たな治療薬が承認されましたが、その薬価や注射しか投与法がないなどの問題があるようです。

本当にこの病気が予防できるのか、メカニズムも含めた最新の解説記事を紹介します。脳は細胞からできている臓器なので、活動した後には老廃物が生じます。老廃物には様々なものがありますが、その一種がアミロイドβやタウと呼ばれているタンパク質です。

これらのタンパク質が脳組織に異常に蓄積することと、認知症の間には関連があります。アルツハイマー病の患者の脳には、これらのタンパク質が異常に蓄積しており、いわゆる老人班と呼ばれる脳のシミを形成しています。

その結果海馬や大脳皮質がダメージを受けると、いわゆるアルツハイマー病になり、記憶や空間認知をはじめとした認知障害が生じます。これらのタンパク質は、年寄の脳だけで作られるわけではなく、若い脳でも作られています。

若い人は認知症になりにくい理由は、脳の自浄作用によるといわれています。脳の中では、脳脊髄液という液体が血液から作られ、1日4〜5回入れ替わるペースで頭蓋骨の下をゆっくり循環しています。

2012年ロチェスター大学で行われた研究によると、どうやらこの脳脊髄液が脳組織内部に浸透し、細胞と細胞の間にたまった老廃物を洗い流す仕組みがあるようです。その後の研究では、この脳の洗浄が深い睡眠中に生じることや体内時計と連動していることなどが報告されています。

2016年MITで行われた研究では、1秒間に40回点滅する光を見せることで、脳の老廃物の除去を促進しアルツハイマー病モデルマウスにおいて、認知機能の改善がみられることが示されました。

その後の研究では、光だけでなく音の刺激やその組み合わせにも効果があることが報告されています。脳波の波の性質(振動数)を調べることで、寝ているかリラックスしているか、集中しているかなどの状態が分かります。

1秒間に40回という振動数は、ガンマ波と呼ばれる脳波で、動物が集中して何かを行ったりする認知機能に関わっているとされています。アルツハイマー病の患者では、このガンマ波が少なくなっている傾向があり、これが認知機能が低下することと関連があるのではないかと考えられています。

1秒間に40回の光や音刺激を行うことで、脳の電気活動がそれに「同調」を起こし、その結果認知機能が改善したのではないかと考えられています。この様な技術は簡易に行えるため、人間への応用の期待が高まっています。

ただしこれについては反証論文も出ていますので、まだまだ研究の余地は多そうですが、脳科学の中で最もホットな話題といえそうです。


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