ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

病状を記録し続けると!

2019-09-25 10:32:02 | 健康・医療
米国の成人のうち、疾患の症状をアプリを使って定期的に、または時々記録している人は15%に上るようです。睡眠記録アプリを使用している人もほぼ同数いるという事です。

症状の綿密な記録を取るのも考えもので、それが症状の悪化につながることがあるようです。不眠症などの病気の症状についてあれこれ考えるほど、むしろ症状が起こりやすくなることが分かっています。

これは「ノセボ(Nocebo)効果」と呼ばれているそうです。効き目のある薬だと思い込んでいれば、たとえ砂糖でできた偽薬であっても回復が見られる現象を「プラセボ効果」と呼び、このブログでもこの効果を利用した治療の可能性について何度か書いてきました。

その逆であるノセボ効果も当然あっておかしくないのですが、今まで聞いたことがありませんでした。

それがはっきりでるのが、例えばある偏頭痛の臨床試験では、参加者の約18%は砂糖でできた偽薬に副作用があったと報告されています。当然参加者は、自分が服用しているのが本物の薬か偽薬かは知りませんでした。

この偏頭痛薬の副作用を聞かされていた場合、自分にも出るのではないかと気にしていると、その症状が出る可能性はありますが、偽薬の18%にも出るとは驚きです。

スタンフォード大学による最近の研究でも、心が生理機能に影響を与える事例が明らかになっています。研究チームは、遺伝的リスク要因を知った時の人々の反応に注目しました。

約200人の実験参加者は遺伝子検査を受けた後、2つの肥満関連因子(心肺機能と食後の満腹感)にリスクが見つかった、あるいは見つからなかったという結果を知らされました。この結果は無作為に決められたもので、検査結果とは関係ないものです。

すると結果を知らされた参加者の生理状態は、教えられたとおりに変化しました。実際の遺伝子に基づくリスクとは無関係に、運動時の肺機能は向上あるいは低下し、満腹感をもたらすホルモンの量も増減しました。

ある研究では、健康なボランティアたちに頭痛や疲労感といった8つの症状のチェックリストを渡し、それらを過去14日間にどのくらいの頻度で経験したかを質問しました。その後ひとつのグループに、毎日これらの症状を感じたかどうかを記録してもらいました。

後日再び過去14日間に経験した症状を回答してもらうと、症状を記録したグループはしなかったグループの2倍の症状を、より重い程度で申告しました。記録しなかったグループでは、1回目と2回目で差が見られませんでした。

このように「ノセボ効果」は予想以上に強いようですので、あまり自分の体の不調を気にせず気楽に過ごしていることが、健康的な生活といえるのかもしれません。

東レオープンテニス 大坂優勝

2019-09-24 10:32:53 | テニス
先週から大阪の靭(うつぼ)テニスセンターで、東レパンパシフィックオープンが開催されました。

この大会は女子の国際大会で日本で開催されるものとしては最も大きく、海外の一流選手も出場しています。この大会はWOWOWが昼の12時から夜7時まで全試合中継していますので、ゆっくり観戦することができました。

日本人選手は大坂のほか日比野菜緒、土居美咲が出場しましたが、日比野は1回戦敗退で、土居は頑張って準々決勝まで勝ち上がりましたが、残念ながらここで敗退しました。

大坂なおみのランキングは4位となっていますが、この大会は第1シードとなりました。1回戦は免除され初戦の2回戦は予選勝ち上がりのブルガリアの選手と対戦しました。

大坂の調子はあまり良くなく、武器となるファーストサーブも30%程度しか入りませんでした。相変わらずミスは多いもののストローク戦になると強さを発揮し、7-5、6-3のストレートで勝ちましたが、危ないところという感想でした。

準々決勝は何と過去3回対戦し、一度も勝ったことのないカザフスタンのプチンセバとの対戦となりました。

ところがこの会場はセンターコートも屋根がなく、第1試合が終わったところで雨が降り出してしまいました。結局この日は試合ができず、順延となりましたが、台風も近づいておりどうなることか心配していました。

それでも次の日は何とか試合ができ、天敵プチンセバ戦が始まりました。この選手はそれほど強いショットがあるわけではなく、なぜ今まで負けたのかという展開で、6-4、6-4のストレートで準決勝進出となりました。

この試合の最後のころプチンセバが足をひねり倒れてしまいました。大坂はトレーナーより早く駆け寄りタオルと氷を持っていきました。この辺りは大坂の優しさが出ているのかもしれません。

何とこの日はその2時間後大坂の準決勝も行われ、第9シードのメルテンスとの対戦となりました。この辺りから大阪の調子が良くなり、サーブも入るようになってきました。ダブルヘッダーの疲れも見せず、6-4、6-1と快勝しました。

この試合の動きを見る限り、次の決勝も期待できそうでした。決勝の相手は上位選手を立て続けに破ってきたロシアのパブリチェンコワとなりました。

大坂は非常に調子が上がってきたようで、190キロの高速サーブも良いところに決まり、安心して見ていられました。上位選手は決勝に合わせて調整するといいますが、大坂は単に試合が進むにつれて良くなってきただけのようです。

結局ブレークポイントすら与えず、6-2、6-3と圧勝しました。大坂はこの大会過去2回決勝に進出していますが、やっと3回目の正直で優勝することができました。

台風と喘息発作

2019-09-23 10:17:09 | 自然
日本の秋は台風シーズンとなり、台風が近づくと喘息が悪化することが多いようですが、必ずしも気圧のせいとは言えないようです。

私は10年以上前ですが、ひどい咳の時に喘息と診断され、それ以来発作を予防するための吸入薬を使っています。それ以来発作というような症状は出ていませんが、念のため吸入薬は続けています。

さてもともと秋は喘息発作が多いシーズンであり、その理由のひとつとしてライノウイルスというウイルスによる鼻かぜが増えることがあるようです。そして台風シーズンに喘息発作が増えるという印象が強くなるといえるようです。

これは気候の急な変化です。大学病院の救急室に受診した小児の、5559回の受診を検討した報告があり、気候条件との関連を検討したところ、気圧・気温・湿度が急に上がったり、風速が急に落ち着いたりした時に受診の数が多くなっていました。

また喘息発作による救急受診した成人患者25,401件に関し、温度、湿度、気圧の変動の影響を検討したところ、喘息発作と気圧の変化は関係なく、湿度や温度の大きな上昇が喘息発作と関係していたという結果が報告されています。

そして実際に、気圧や気温を変化させることのできる「人工気象室」を使用した実験を行った検討では、気圧の低下による影響は大きくなく、むしろ気圧の上昇の方が影響するという結果が出ています。

台風は温度・湿度を短期間に大きく変化させますので、喘息発作への影響は大きくなるといえます。それ以外の理由として、成人喘息患者58人(台風時に17人が悪化)に対する報告があります。

台風時に悪化した人はもともとの喘息の安定度が低く、スギ、ヒノキ、ダニに対するアレルギーを持っている場合が多いという報告でした。豪雨があった時に急に悪化する喘息発作があるようです。

花粉が雷雨によって湿気で破裂したり地上にたたきつけられて細かくなって散らばり、気管支に吸い込まれて発作が起こるのではないかと考えられています。こういった現象を「雷雨喘息」と呼ばれています。

空気中の花粉濃度と喘息発作は関連がありますが、花粉は比較的粒子径が大きく、思ったほどは喘息発作の原因にはならないようです。しかし豪雨によって花粉が細かくなって放出されることが喘息の大きな悪化原因になるわけです。

また台風の来襲時は、空気中の真菌(カビ)が増え、カビへのアレルギーも悪化することが報告されています。

このように台風が来ると色々な形でアレルギー物質が増えることは確かなようですので、喘息のある人は予防薬を使うなどの対処をした方が良いのかもしれません。 

認知症リスクと介護費用

2019-09-22 10:27:20 | 時事
9月21日は「世界アルツハイマーデー」となっていたようですが、アルツハイマー病は認知症の一種で私の予想以上に増加しているようです。

日本は2065年には国民の4人に1人が75歳以上になり、高齢者の3人に1人以上が認知症になると予測されています。仮に発症して認知症高齢者グループホームに入居すると、年金だけでは賄いきれないほどの費用がかかるようです。

これから日本は「高齢大国」への道を突き進んでいきますが、それは同時に「認知症大国」になることを意味します。

厚生労働省が2015年に策定した「認知症施策推進戦略」通称「新オレンジプラン」によると、2012年に462万人だった日本国内の認知症の人数は、2025年に730万人、2040年に953万人、2060年には1154万人に増加するという予測を立てています。

約30年間でおよそ2倍になるというペースですが、これはやや最悪のケースを出しているような気もします。

かつて作家の有吉佐和子が認知症(当時の名称は老人性痴呆症)をテーマに「恍惚の人」を著し、200万部近いベストセラーになったのは1972年のことです。当時の平均寿命は男性70.70歳、女性76.02歳で、東京都の調査によると高齢者に占める有病率は4.5%と報告されています。

これが2012年には平均寿命も約10年伸びていますが、認知症を発症した人の数も3倍以上に増えています。

この理由としては、疫学統計上ガンを発症する確率が年齢とともに高まるのと同じように、認知症を発症する確率もまた高齢になればなるほど高まっていくものです。しかも認知症は完治しないといわれるように、高齢者が一度発症するとほとんどの場合は不可逆で元には戻らず、その症状は時間の経過とともに進行するためです。

今後誰でも90代後半まで生きられる「人生100年時代」がやってきたとしても、100歳前後で認知症を発症していない人はわずか2割程度という事になります。

一方で自分の親のため、または自分のために認知症介護の資金準備を行っている現役世代は、わずか1割程度しかいないという調査結果があります。実際の認知症介護について考えると、介護保険の制度はありますがこれだけではとても足りないようです。

この介護費用については色々な統計が出ていますが、介護を受けると平均19万4600円かかるとされており、自己負担はこの1割となりますが、介護保険適用外の費用が何倍もかかるようです。

例えば介護施設に入居すると、自己負担総額は月額15万~25万円が相場のようです。その他にも費用は掛かり、これにどう対処していくのか、なかなか個々で解決できる問題ではないような気もします。

再発乳ガン細胞に弱点

2019-09-21 10:26:02 | 健康・医療
がん研究会や理化学研究所、熊本大学などの研究チームは、ホルモン療法が効かなくなって再発した乳ガン細胞に「弱点」となる分子の仕組みを見つけたと発表しました。

乳ガンは女性がかかるガンの中で最も多く、約7割は女性ホルモンのエストロゲンがガン細胞の増殖にかかわるとされています。エストロゲンの働きを抑えるホルモン療法が取られてきましたが、途中で効果が薄れ再発することが課題になっていました。

ホルモン療法が効かなくなったエストロゲン受容体(ER)陽性の乳ガンを模した細胞では、タンパク質を作らない非コードRNA分子であるエレノアが、ERを作る遺伝子を活性化し細胞を増殖に導きます。

再発乳ガン細胞に、エストロゲンや類似薬剤を投与すると、ガン細胞が細胞死を引き起こします。つまり再発過程で乳ガン細胞は、増殖する能力を備えると同時に細胞死を起こしやすくなるという脆さも併せ持つことが考えられました。

ゲノムDNAには、タンパク質を作るRNAと作らない非コードRNAが存在し、エレノアを含む様々な非コードRNAがガンに関わることが明らかになり、治療の標的になることが期待されています。

研究チームは、治療が効かなくなったER陽性再発乳ガンのモデル細胞を用いて、エレノアを阻害し、ゲノムの立体構造を解析し、同時に遺伝子の使われ方調べ解析を行いました。

その結果再発乳ガン細胞では、細胞死に関わる遺伝子が盛んに使われており、あたかも細胞は死ぬ準備ができているようでした。しかしこの遺伝子ゲノム領域には、増殖にかかわる遺伝子ゲノム領域がエレノアに取り囲まれる形で近接し、両者が一緒に活性化していることが分かりました。

そこでエレノアを阻害する薬剤であるレスベラトロールを投与した細胞を観察したところ、増殖にかかわる遺伝子は使われなくなり、細胞死に関わる遺伝子は使われたままとなり、その結果細胞死を引き起こしました。

同様にエレノアを標的とした核酸医薬の効果も調べ、レスベラトロール処理と同様の効果を認めました。核酸医薬を用いた治療は、レスベラトロール処理よりも特異的にエレノアを阻害することができるため、副作用などが少ないことが予想されます。

なかなか面白い研究ですが、培養細胞株における基礎研究であり、再発乳ガン患者を直接調べたものではないため、早期の臨床試験が期待されます。

こういった治療法はターゲットがはっきりしているため、副作用の少ない治療法の開発につながる可能性は高いと考えられます。