福島第1原発の放射能漏れは事故はいまだに収束のめどが立っていません。
原発周辺の「警戒区域」などから避難させられた住民や、放射性物質の飛散で農水産物の出荷規制などに追い込まれた農漁業者、中小業者などの苦しみが続いています。
東電が賠償額を低く抑えようとし、賠償の指針を決める文部科学省の審議会に「要望」までしていたことに批判が広がっています。東電には重大な事故を起こし被害を与えたことへの反省の姿勢が見られません。
原発事故の被害は、法律で電力会社などの事業者が賠償の責任を負っており、今回の事故についても文科省の審議会が賠償対象などについての指針を検討しています。
4月末に発表された第1次指針では避難や出荷規制などの被害は認める一方、いわゆる風評被害などは今後検討するとしています。避難生活を送っている人には仮払金の支払いも始まっていますが、農業者や漁業者にはまだ1円の賠償も支払われていません。
にもかかわらず、「賠償額の上限を4兆円」などとする試算を持ち出し、東電はそのうち2兆円を負担するなどと言い出しています。
さらに、その賠償額を、電気料金の値上げで利用者に“尻拭い”させようとしているの責任の一片も感じられません。
要望書が東電清水社長名は、先日の避難場所への「謝罪行脚」を行いい、テレビで何回も流されましたが、それは「被災者を欺く演劇」だったのかと思うのは私だけでしょうか。
独占的に巨額の利益をあげる電力業界には、万一に備える覚悟が必要なのに、安易に賠償を値切り、その賠償金を電気料金に上乗せして、利用者同士がいがみ合う構図を演出する電力業界とそれを後押ししている政府に納得できません。
ここにも、国民の命や暮らしより、企業の利潤追求を優先する資本家のエゴが見えています。
ルールある資本主義社会を望むものです。