布川事件の「えん罪」が晴れました。足利事件に次ぐものです。
茨城県利根町布川で1967年、男性=当時(62)=が殺害された布川事件で、強盗殺人罪などで無期懲役刑が確定し29年間の服役後に仮釈放された桜井昌司さん(64)と、杉山卓男さん(64)の裁判をやり直す再審の判決公判が24日、水戸地裁土浦支部で開かれ2人に強盗殺人罪での無罪を言い渡しました。
判決では、「現場で発見された毛髪や指紋は2人のものと類似しているとはいえず、客観的証拠は存在しない」と述べた。被害者宅前で2人を見たとする目撃証言についても「信用性に欠ける」としました。
事件では2人の犯行を裏付ける物証がなく(1)捜査段階の2人の自白調書の任意性と信用性(2)被害者宅で2人を見たとする目撃証言の信頼性-が主な争点とされました。
再審公判で、桜井さんと杉山さんは「自白は捜査員の誘導だった」と主張。弁護側は2人の犯行を否定する新たな目撃証言や恣意(しい)的な編集跡がうかがえる自白の録音テープを示したほか、死体検案書の鑑定から自白通りの殺害方法は客観的状況と矛盾することなどを指摘し、無罪を主張していたものです。
無罪を勝ち取ったとはいえ、44年間2人の人生を拘束する「えん罪」とは恐ろしいものです。
「えん罪」をなくすためには、「自白」に頼る取り調べのすべてを「可視化」(録画)することは不可欠です。
外国では常識です。韓国でも実施しています。
今から50年前の1961年(昭和36年)「名張毒ぶどう酒事件」も「えん罪事件」として争われています。