第2部 エスペランテート各論
(5)種々の構文②
Ⅲ 連辞文
「AはBである。」をあらわす連辞文では、連辞として動詞estiをもちいることを原則とするが、口語体では連辞を省略することができる。
「・・・である」をあらわすエスペランテートの連辞は英語のbe動詞に相当するestiであるが、口語体ではこれを省略することができる。たとえば「わたしのなまえは、太郎です。」は文章体ではMoa nomo esti TAROU.となるが、口語体ではMia nomo TAROU.でよい。
なお、「わたしの」という人称代名詞の所有格は、名詞のあとに後置することも可能であったから、Nomo moa TAROU.といういいかたもできる。ただし、推奨されるいいかたではない。
連辞文の述部の補語が形容詞であるばあいは、口語体でも連辞を省略することはできない。
たとえば、TAROU esti yuna.(太郎はわかい。)を、TAROU yuna.と表現することはできない。エスペランテートでは形容詞を修飾される名詞に後置する用法もゆるされることから、連辞を省略すると、「わかい太郎」という形容詞つきの名詞句との混同が生じるおそれがあるためである。
動詞は連辞でつなげることにより名詞的に(××すること)もちいることができる。このばあいは、口語体でも連辞を省略することはできない。
たとえば、Bidi esti kredi.(みることは信ずることである;百聞は一見にしかず)のようなばあいに、estiを省略してBidi kredi.ということはできない。このばあいは、二つの動詞相互の関係性を連辞で明瞭にいいあらわす必要があるからである。