両院調整委員会
【第78条】
1 両院調整委員会は、次の者で構成する。
(a)国民議会の規則及び命令によって規定され、かつ議会における各政党の議席配分と実質上同一の比率となるような手続きに従って議会が選挙した9人の国民議会議員
(b)全州評議会の各州代表によって任命された各1人の議員
2 両院調整委員会は、ある法案または議題が次の人数の賛成を得たときは、それに合意したものとする。
(a)国民議会代表の5人以上、かつ
(b)全州評議会代表の5人以上
両院調整委員会は日本の両院協議会に相当する国会内調整機関である。委員の構成上、各党の議席配分が反映される仕組みになっている。
法案への同意
【第79条】
1 大統領はこの章の定めるところにより可決された法案に同意し、署名するか、または大統領が当該法案の憲法適合性に関して留保するならば、それを再審議のため国民議会に差し戻すかしなければならない。
2 国民議会による再審議及びその過程への全州評議会の参加の手続きは、両院合同の規則及び命令によって定められなければならない。
3 全州評議会は、以下の各場合に、大統領が国民議会に差し戻した法案の再審議に参加しなければならない。
(a)法案の憲法適合性に関する大統領の留保が、評議会に係る手続き上の問題に関連している場合
(b)第74条第1項、第2項、第3項または第76条が法案の可決に適用される場合
4 再審議の後、法案が大統領の留保に完全に対応しているときは、大統領は法案に同意し、署名しなければならない。そうでないときは、次のいずれかを選択しなければならない。
(a)法案に同意し、署名する。
(b)憲法適合性に関する決定を求めて、憲法裁判所に付託する。
5 憲法裁判所が当該法案を合憲と決定したときは、大統領はそれに同意し、署名しなければならない。
大統領は法案の留保権(拒否権)を持つ。その場合、二度目の留保は認められない代わり、選択肢として憲法裁判所への付託という手段が与えられている点は革新的である。
国民議会議員による憲法裁判所への訴願
【第80条】
1 国民議会議員は、国会の法律の全部または一部が憲法に違反する旨を宣言する決定を得るため、憲法裁判所に訴願することができる。
2 訴願は‐
(a)国民議会議員の3分の1以上の賛成がなければならず、かつ
(b)大統領が当該法律に同意し、署名した日から30日以内になされなければならない。
3 憲法裁判所は、第1項で定める訴願の対象である法律の全部または一部は裁判所が訴願に関して次の点を決定するまでは効力を持たないことを宣言することができる。
(a)司法的公正さがそれを要求すること、かつ
(b)訴願が成功する合理的な見込みがあること。
4 訴願が不成功であり、かつ成功する合理的見込みを欠いたときは、憲法裁判所は訴願者に対して費用の負担を命ずることができる。
憲法裁判所への訴願は、憲法裁判所制度の中心的な手続きである。国民議会による決議要件や期限の制約が厳しい点については、議論の余地があるかもしれない。
法律の公刊
【第81条】
大統領によって同意され、署名された法案は法律となり、直ちに公刊されなければならず、公刊された時、または法律の定めるところにより決定された日に発効する。
国会の法律の保管
【第82条】
国会の法律の署名入り謄本は、その法律の諸条項の決定的な証拠であり、公刊後は、保管のため憲法裁判所に寄託されなければならない。
憲法裁判所は法律謄本の保管任務も負う。本条が国会に関する第四章の最終条である。