五 汎ヨーロッパ‐シベリア域圏
(13)北部ヨーロッパ合同
(ア)成立経緯
北欧諸国及びバルト三国がまとまって成立する合同領域圏。
(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の6圏である。
○デンマーク
主権国家デンマークを継承する統合領域圏。ただし、エスキモー系主体のデンマーク領グリーンランド(カラーリットヌナート)は汎アメリカ‐カリブ域圏内の極北領域圏に統合され、同じくデンマーク領フェロー諸島は言語的に近いアイスランドと統合される。
○スウェーデン
主権国家スウェーデンを継承する統合領域圏。
○ノルウェー
主権国家ノルウェーを継承する統合領域圏。世界共同体平和構築センターが所在し、平和学と平和工作の戦略的な拠点となる。世界共同体の飛地禁止原則により、北極圏のスヴァールバル諸島領土は、世界共同体直轄圏に移行する。
○アイスフェロー
主権国家アイスランドとデンマーク領フェロー諸島が統合されて成立する。フェロー諸島は高度の自治権を持つ準領域圏のため、複合領域圏。
○フィンランド
主権国家フィンランドを継承する領域圏。スウェーデン系住民の多いオーランド諸島は高度の自治権を持つ準領域圏のため、複合領域圏である。
○バルト
エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国が統合され、それぞれが準領域圏として高度の自治権を維持しつつ結成される連合領域圏。連合公用語はエスペラント語。
(ウ)社会経済状況
元来、資本主義時代から北欧を中心に持続可能性を重視する社会経済体制を構築してきた経験を活かし、持続可能的計画経済への移行は円滑に運び、ジャーマニーと並ぶモデル領域圏の一つとなる。アイスフェローは水素利用の先進地として、水素のエネルギー利用に関する先端研究が行なわれる。
(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の評議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、デンマークのコペンハーゲンに置かれる。合同全体の共通語は、エスペラント語。なお、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの各君主制は廃されるが、王室は一般公民化されたうえ、王は称号のみの存在して存続する。
(オ)特記
スカンジナビア半島北部ラップランドに居住する先住トナカイ遊牧民サーミ人は主権国家時代には複数の国に分断されて居住し、少数民族として差別されることもあったが、当合同成立後は、地域横断的なサーミ民族自治体を結成し、合同の政策協議会に代表者を派遣する。
☆別の可能性
バルト三国のエストニア・ラトビア・リトアニアが統合されず、それぞれ単立の領域圏として当合同に参加する可能性もある。他方、北欧諸国及びバルト三国が合同することなく、それぞれが別立ての合同領域圏として並立する可能性もある。
(14)ポーランド‐ウクライナ合同
(ア)成立経緯
国境を接する主権国家ポーランド及びウクライナが合同して成立する合同領域圏。
(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の2圏である。
○ポーランド
主権国家ポーランドを継承する統合領域圏。
○ウクライナ
旧ソ連から独立した当時のウクライナ共和国領のうち、後述のルーシ(ロシア)に編入されるクリミア半島を除いた残余を領域とする統合領域圏。
(ウ)社会経済状況
工業化が進んでいたポーランドの産業基盤と農業地帯であったウクライナ農業基盤をベースとする共通経済計画が導入される。ウクライナの産業基盤は旧ソ連からの独立後の混乱やとロシアとの戦争で疲弊していたが、持続可能的計画経済の下で復興的発展を遂げる。
(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設し、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、ポーランドのワルシャワとウクライナのキエフで交互に開催される。両領域圏で使用言語が異なるため、合同共通語はエスペラント語。
(エ)特記
ロシア系が多く、分離独立運動やロシアの占領にもさらされてきた東部ドンバス地域のロシア系またはロシア語話者住民は、ロシア文化自治共同体を形成して、ウクライナ領域圏民衆会議に一定数の代議員を送ることができる。
☆別の可能性
ポーランド及びウクライナが合同することなく、各々が単立の領域圏となる可能性もある。