< *印 新仮名遣い>
三谷和夫:この老はやりたきことの多くして年とる暇などなしとぞ言へる(新アララギ2018.8)
佐々木フミ子:海底に我ら集へるごとくにて魚ら腹見せ頭上を泳ぐ (新アララギ2018.8)
木村和子:杖をつき同級会に行く夫に「行きはよいよい」と声をかけたり(新アララギ2018.8)
須田博:浮く雲の風のまにまに消え行くをわが行く末に重ねつつ見る 病床にて(歌会2018.8)
千葉照子:斜りの地活かし建てたる選鉱場その大きな屋根今は皆無し(歌会2018.8)
今野英山:テーラーも料理研究家もまぼろしか君の足跡知る人のなし(新アララギ2018.8)
高橋毬枝:釣り人はそ知らぬふりに糸垂らし白鳥も釣り人を無視して静か(新アララギ2018.8)
山崎日出男:LPに針を落とせば柔らかきアナログの響きわが身を包む(歌会2018.8)
麦島和子:*フラワーシャワーの祝福受ける新郎新婦純白のドレスに花びらが舞う(新アララギ2018.8)
岸野トモヱ:*歌丸の訃報を聞きて思い出づ私のクラスメートと笑いし友を(歌会2018.8)
大倉康幸:*穏やかに晴れ渡る空雨上がり心が前にまた向いてきた(新アララギ2018.8)
相川盈子:*母の日に贈りしジャケット着る間なく逝きたる母の柩に置きぬ(新アララギ2018.8)
宮本通代:二万歩を歩き通しし軽きほてり夕べにひとり缶ビール開く(新アララギ2018.8)
葛岡昭男:*先生も一緒に跳んだ大縄を廻す自分も写真に黄ばむ(新アララギ2018.8)
渡辺澄子:*心地よく小鳥の声に目覚めたり陽ざし眩しき雨上がりの朝(歌会2018.8)
石川芳江:*夜どおしの激しき雨に紫陽花の枝はたわみて道をふさぎぬ(歌会2018.8)
丸山さち子:*チルチルとミチルのように二人来て虹色の鳥を岸辺に捜す(新アララギ2018.8)
立川多喜子:熱引きて微睡む夢に来し祖母はわれより若く子守唄うたふ(新アララギ2018.8)
戸田邦行:*高熱と苦しみの中にありながら神の名呼ばず祖父を思いぬ(新アララギ2018.8)
鈴木英一:なだらかに裾野に続く三輪山に神を感じし大和人やさし(歌会2018.8)
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