チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繫ぐもの 221

2019年09月04日 11時34分47秒 | 日記
昨夜の雨でひんやりとした風が吹き抜ける新宿
もう透けた着物は寒々とする感じ
だけど
動けば暑さが残っているので中身はまだ絽の下着にしておこう
この時期色々と頭を使うこれがまた着物を着る楽しさなのかもしれない

本日は夏結城紬なのだ。経糸麻糸1本に真綿糸4本、横糸麻糸という構成、その御蔭で単衣に移る前の微妙な皮膚感覚にピッタリと調和快感度は高い。40年も前に織った生地は麻が多いということで一昨年ついに腰が抜けた

「気に入ってるし同じものできないし修理ができないかな」
と恐る恐る聞いたら「やってみるよ」と快諾された
そして一年かかり出来上がったらどこがどう弱っていたのかわからないほどの出来栄え。手仕事だからこその直しだと思う

前にも書いたけど
姉が使い古したケリーバッグの修理をエルメス本社に頼んだら、新品同然にして帰ってきた。手の仕事を大事に考えている店の姿勢は「物の命を大切に考える」ことが第一。
その時縁あって当時のエルメスの社長さんに取材する機会があり、件のケリーバッグを持って「云々」と説明したら、すかさず「こノブリフケースは祖父のもの」と高々と上げて見せてくれた

現在はともかくその当時は「消費は美徳」とされていた日本その時の社長さんの言葉「あなたのように古くて気に入ったものを大事にする態度はもともと日本人が兼ね備えていた美風ですよね、今はちょっと違いますね、日本からの直しの注文は殆ど無いですから」
と変に褒められた
「ものを大切に扱う、持つというのは着物文化そのものなのです」
「そうですね、日本の着物は本当に素晴らしい」

そのご紗の羽織のコートや重ねのワンピースなどができて、日本の着物をとても理解している会社だとすっかりフアンになった

最近は簡単にできる着物、雨にぬれても平気な繊維と手仕事から遠ざかっていく着物の世界。それでは「ものを大切にする心」なんていうのは消える。だから物を持ちすぎて「断捨離」ということになっていく

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コメント
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