チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 234

2019年09月26日 21時16分00秒 | 日記

今日は寸法の話し

姑が私の着物を縫ってくださっていた時、本当にいろんな寸法を提供していた

彼女は私のとんでもない寸法の提案にも微動だにせず、「ウンウンなるほどね」と言いながら提案を受け入れてくれて「着心地どう?」と一緒に検討したのしんでくれていた

高倉健さんに取材して「7、5、3」の寸法で仕立ててと懇願した時は流石に「きて歩け無いわよ」と却下されたが、それでもと頼み込む私に負けて縫ってくれたが、その着物を着て外に出たら普通には歩けない!すぐ帰って「降参しました!」「比佐子さん楽しい人ね」と大笑いされた

 

夏は袖付けを浅くして風が通りやすくする

その時前を後ろより5分短く お袋帯を締める礼装は袖付けを長くする、だき幅も左右寸法を変える、そうするとえり合わせが綺麗に行くなどなど5分だ3分だと寸法を変えて着方を楽しめでいたら、その着物に合わせた長襦袢が必要になり、一時は長襦袢分限者になっていた

年齢とともに帯位置が下がると袖付けも深くなる、そうするとまたもや抱き幅の寸法が変わる、こうやってややこしい着物仕立てを楽しみながら「ふんふん」と私以上に研究心旺盛で面白がりやの姑のお陰でいつも快適な着物姿でいられた

 

袖の丸みを「3寸にして」と申し出たら

「比佐子さんあなたはいい着物ばかり着ているのだからそういう軽い感じにしてはいけないと思う」と珍しく忠告されたが「おかあさん、昔と違って手を動かすことが多いし、荷物も持つことも多い、そういう時袂が体から離れると、物を倒したり引っ掛けたりするんですよ」だからーーと口答えするのを黙って聞いていて「なるほど活動量が半端ではないのね、確かにね」

 

そうやって二人三脚で研究した寸法はのちの人たちにも伝えることができていたが、ここへきて俄かに日本語が通じなくなり、標準寸法で無ければ仕立てませんという方が増えた。そのせいかお人に着付ける時の難しさ、大体ダブダブの寸法の方が多い。聞くと

「補正をするからちょうどよくあるのです」という答え

今は補正ありきの寸歩になっていることを改めて知った!

着物は完全なオートクチュールである事を認識し解放された着物姿になって欲しいと切に思う

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コメント
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