゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

無神論の困難な帰結冷酷に予告

2007-09-17 15:48:31 | 本と雑誌

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫) カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5)                                   (光文社古典新訳文庫)
価格:¥ 660(税込)
発売日:2007-07
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

ドストエフスキ-「カラマ-ゾフの兄弟」は、世界文学史上にさんぜ                            んと輝く名作中の名作である。文庫版(岩波、新潮、光文社版)で                             3~5冊にわたる長大な本作品は、父フョ-ドルと、ドミ-トリ-、                             イワン、アリ-ョシャの3兄弟からなるカラマ-ゾフ家で発生する父                            親殺しの物語が推理小説さながらにテンポ良く展開される。当初、                            一族の葛藤の主軸は、色と金をめぐる欲望の虜となったフョ-ドル                            とドミ-トリ-の敵対関係に置かれる。しかし、物語の終局で父親                            殺しの犯人は下男のスメルジャコフで、犯罪の動機にはイワンの                             無神論が影を落としていることが明かされる。イワンがアリョ-シャ                             を相手に無神論を長々と展開する場面は、実存主義思想の結実と                            してよく引き合いに出される。他方で、敬虔(けいけん)なキリスト                             教徒として設定されるアリョ-シャは、汚辱にまみれた登場人物の                            中にあって、人間を天井世界に結びつける重要な役割を果たしてい                           る。ドストエフスキ-は、紛れもなく「神は死んだ」と高らかに宣言し                            たニ-チェの同時代人であった。といっても、ドストエフスキ-は敬                             虔な信仰者アリョ-シャを造形する一方で、自己の思想の帰結を知                            ったイワンを発狂させているように、本書において無神論を肯定して                           いるわけではない。神の存在は罪のない幼児に対する暴力といか                            に折り合うのかといった、イワンの問いにアリョ-シャは説得的な                             回答を示すことができない。また、小説の末尾に置かれた、イリュ                            -シャという少年の葬式でアリョ-シャが子供たちに語りかけるシ-                           ンは美しく感動的だが、やがて子供たちが参入する悪の世界を予告                           する点でどこか敗北敵でもある。一方、イワンの創造した「大審問官」                          が、「パンのみにて生くる」蒙昧な民衆を信仰と精神の自由抜きに統                           治する未来像も地獄である。ドストエフスキ-の慧眼は、無神論の出                           現を歴史の不可逆な流れとしてとらえつつ、かつその困難な帰結を                           冷酷な目をもって予告した点にあるだろう。                                         (水溜真由美=北大大学院准教授・・日本近現代思想史解説)

フョ-ドル・ミハイロピッチ・ドストエフスキ-=1821年11月11日                            (ユリウス暦10月30日)~1881年2月9日(ユリウス暦1月28日)                           ロシア革命

フョードル・ミハイロビッチ・ドストエフスキーФёдор                            Михайлович Достоевский, 1821年11月11日(ユリウス                               暦10月30日) - 1881年2月9日(ユリウス暦1月28日))はロシア                               の小説家思想家である。レフ・トルストイアントン・チェーホフと                             ともに19世紀後半のロシア文学を代表する文豪である。その著作                           は、当時広まっていた理性万能主義社会主義)思想に影響を受                            けた知識階級インテリ)の暴力的な革命を否定し、キリスト教に                             基づく魂の救済を訴えているとされる。実存主義の先駆者と評され                            ることもある。

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コウノトリのすむ里

2007-09-17 14:00:00 | 本と雑誌

コウノトリのすむ里―たじま春夏秋冬 コウノトリのすむ里―たじま春夏秋冬
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2007-08

5月、兵庫県豊岡市で国の特別天然記念物コウノトリのヒナが生                               まれた。日本にすみついていたコウノトリは三十六年前、豊岡で                             絶滅。その後、人工繁殖によって少しずつ増え、2005年からは                             兵庫県などによる放鳥が始まった。そして、ついに自然界では                              四十三年ぶりのヒナ誕生までこぎ着けたのだ。                                       ヒナの成長ぶりや05、06年に放鳥された十二羽の様子など地                             元記者が追った約七十点を収録。巣に戻った親鳥を出迎える子の                            姿はほほ笑ましい。稲刈りをする人々と写る一枚は、コウノトリが                             地域の暮らしに溶け込んでいることを物語る。餌さとなるカエルや                             ドジョウをとれるようにと、地元農家の人たちは無・減農薬のコメ                             作りに汗を流す地道な努力を続けているという。

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