あくびは私たち大学教員の敵です。講義中に学生にあくびをされ ると相当に傷つきます。私は、あくびをされた講義が終わると、大 いに反省して講義を修正することにしていますが、あくびはなかな か退治できません。私の実力もこの程度ということでしょう。ところ で、あくびがなぜ起こるのでしょうか-。実はもうひとつ明らかにな っていません。あくびは眠気が差したときや、退屈をしている時に 出ます。その説明として、眠気や退屈で呼吸が弱くなり、脳で酸素 不足になったり、二酸化炭素がたまったりするので、大きな呼吸で 解消しようとする反射であるといわれています。また、あごの運動 は脳に直接の刺激を与えることから、大きくあごを動かす運動で 活動の低下した脳を覚せいする反射であるという説もあります。 ただ、あくびはもっと違う時にも出てきます。よく「生あくび」といわれ ますが、目が回った時や、車酔いいをしている時などにあくびが出る ことがあります。また、極度の緊張に陥った時に急にあくびが出るこ とがあります。学生のころ、テストが返却される順番を待っている時、 大きなあくびが出たことがありませんでした?このように、脳にはあ くびを起こすしくみが備わっているのですが、そのしくみを動かす刺 激にはさまざまなものがあるのです。そうそう、「なぜあくびはうつる のか」ということを研究した論文もありますが、決定的な結論にはな っていません。よくわからない話はあくびが出るって?ごもっとも。 (とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
ピンクの豹 [スタジオ・クラシック・シリーズ] 価格:¥ 2,990(税込) 発売日:2006-12-16 |