温室効果ガス CO2の23倍
帯広畜産大の高橋潤一教授(59)=環境衛生学=が、北海道洞爺 湖サミット直前の来年6月末、帯広市で家畜のげっぷに含まれるメタ ンガスの削減をテ-マにしたシンポジュムを開く。メタンガスは二酸 化炭素の23倍の温室効果があり、高橋教授は「効率良く温暖化対 策ができることを多くの人に知ってもらうのが狙い」と話している。 高橋教授によると、メタンガスを出す家畜は反すう動物の牛、羊、ヤ ギで、世界に三十億頭ほどいるとみられる。また、家畜の関連で温 室効果があるのは、メタンガスだけでなく、ふん尿から発生する亜酸 化窒素も二酸化炭素の296倍になるという。酪農が盛んなオ-スト ラリアやニュ-ジ-ランドでは、温室効果ガスの6割が家畜から発生 しているとし、抑制策の研究が盛んだ。オランダでは、堆肥の保管場 所から亜酸化窒素が漏れないよう法規制するなど、海外では対策が 進んでいる。世界的に研究が進んだのは、高橋教授が2001年、世 界各国の研究者に呼び掛けて家畜から出る温室効果ガスに関する 国際会議を帯広で開催したのがきっかけだが、日本では実態の把 握が遅れている。高橋教授は「まずはニュ-ジ-ランドのように牛の 口に測定マスクを取り付けて、げっぷに含まれるメタンガスの排出量 を把握するべきだ」という。高橋教授は昨春、微生物を配合した飼料 を牛に与えることで、メタンガスの排出量を平均37・5%削減できるこ とを確認しており、飼料の種類によって排出量が変わることが分かっ ている。シンポジウムは、日本と同じく畜舎内で牛などを飼育している 韓国とカナダの研究者を招き、家畜のメタンガス測定技術などについ て講演してもらう。高橋教授は「シンポジウムで国内の関心を高め、 国や研究者が連携を進めるきっかけにしたい」と話している。