生物は、飢餓に備えて食物をできる限り摂取できるように進化してき た。その究極のメカニズムの一つは、おいしいものを食べると脳内で 麻薬様の物質が合成されて幸福感をかんじるため、さらに食物を摂 取することである。一方、今日、肥満は循環器系疾患や糖尿病に通 じると問題になっている。35年ほど前に筆者が北海道の大学に入学 してジンギスカンの食べ放題を初めて経験したときには、肉を好きな だけ食べることができることに喜びかつ驚いた。それが、現在では食 べ過ぎに気を使うように変わってきている。多くの人の関心事の一つ は、いかに楽にやせることができるかであろう。数年前、やせるにおい が話題を呼んだ。大阪大蛋白質研究所の永井克也教授がグレ-プフ ル-ツのにおいをラットにかがせると体重が減少する結果を報告した ためであろう。これは、グレ-プフル-ツのにおいは、交感神経の活 動の高進を引き起こし、脂肪細胞を活性化するためである。一方、ラ ベンダ-のにおいは逆に副交感神経の活動を活発化させ、体重増加 を引き起こすことも明らかになった。昨年、旭川医大二年生だった菅 原基史君とグレ-プフル-ツとラベンダ-のにおい成分のマウスの体 重に対する効果を検討した。すると、これらのにおいをかがせると体重 の増加や減少を引き起こす効果がマウスにも見られた。それでは、人 に対してこれらのにおいはどのような効果をもつのであろう。富良野の ラベンダ-畑の周りに住む人の体重と愛媛や和歌山のミカン畑の周 辺に住む人の体重を比較検討する手法も思い浮かぶのだが、さて・・。 (柏柳 誠=旭川医大医学部教授)
冬になると、「足が冷える」と多くの人が来院される。先日も、がっし りした体格の中年男性が訪れた。診ると、足は氷のように冷たい。 従来、足が冷える人は細身で血圧が低く、血液の循環が悪い女性 がほとんどだった。しかし、今は違う。聞けば、彼は会社の中間管 理職で、上からはプレッシャ-をかけられ、下からは突き上げられ、 深夜に帰宅すると、奥さんに嫌みを言われ、やり場のない毎日を送 っているという。診ると、首から上は逆に上気して赤ら顔だ。腹部大 動脈はどきどきと強く動悸をしている。このような所見は、ストレスの ために大半の血液が頭に行っていることを意味している。ストレスの 結果、脳は大量の血液を要求する。ストレス処理のために大量の酸 素と栄養素が必要になるからだ。その結果、血液の大半が頭の方 に行き、体に血液が回らなくなる。また、ストレスにより交感神経が 刺激され、血管が収縮することも原因だ。いずれにせよ、冷えは血 流の悪さを意味している。こうした場合、根本的治療にはならないが、 漢方や、はり・きゅうは症状の軽減には、とても有効だ。足の冷えの 根本的治療はストレスをなくすことにある。それができれば、ひえは 治る。しかし、それが容易ではないのが、現代なのだろう。 (本間 行彦=内科医・札幌)
噛めば噛むほど味が出てくる干物など、飽きずに食べているとお腹 を壊すよと注意されたものです。一見消化に悪そうな物を食し、翌朝 ゲリッぽい状態を経験するとあたかも消化不良に陥った原因である ような錯覚に陥る。実は日頃以上の量的な摂取による行為(単なる 食べ過ぎで胃腸の消化効力を逸脱)であることを、永年知らずにいた。 海藻類や根菜、玄米、きのこ類などに多く含まれる繊維質類は体内 では決して消化されず、そのまま排出される。だが、その繊維質を消 化しようとし食物を送り出す行為(ぜん動運動)を活性化する。ヒトが 元気でいられる基本的、最も重要なことは消化器系がいかに永年正 常でいられるかであるという。外的要因である感染症に罹ったり冷や しすぎての胃腸機能の弱体時には、回復までより消化の良い物を食 すことは、必然的行為であることは否定しませんが。肉体的疲労の 緩和に、つい便利な乗り物を利用したりします。できるだけ、体にとっ て楽な方法が実は非健康的、虚弱体質になる行為であった。体は動 かせば、動かすほど筋肉が増強され元気になる。では、闇雲に活動 すれば結果良し、であろうか?そこに、チョツトした知識があると最高 の体質を維持するすことができそうです。特に専門のアスリ-トでなく ても、筋肉をほぐすマッサ-ジを施し疲労を回復する。特に日常、二 本足で行動している人間は足裏を徹底的にケアする。こういう部位の ケアを怠ると、膝や大腿筋また腰などの痛みを感ずるようになります。 肩やひじの痛みは、手の使いすぎで起ります。1日の終わりに、手足 を十分にマッサ-ジする。動いてマッサ-ジ、その繰り返ししか゛元気 な体を維持する最短な方法であることを自覚しましょう。柔軟性のある 筋肉の保持は、血管の柔軟性につながり、あらゆる身体検査を正常 と認定されることでしょう。