甘い誘惑

まっすぐ帰るつもりだったが、家に届いていたＤＭを思い出して、エレベーターに乗った。

初日で、木曜日ということもあるのだろうか、北海道物産展の会場は心なしか人が少ないように感じた。今日の目的は一つなのだが、ついつい別のものにも興味がそそられ、手を出してしまう。

で、最後にいつものソフトクリーム売り場にたどり着いた。屋上に出ると、セルリアンタワーの脇に月が寄り添っていた。

甘い誘惑に弱いというのはいかがなものかと自分でも思うが、それくらいの楽しみがなけりゃ…と、心の中で言い訳をする。

もし僕がミツバチや働きアリだったら、果たして「働き者」だっただろうか…

再会

何となく足取りが重いのは、気持ちのせいだとわかっているものの、対処は出来ず、ただただゆっくりと歩いていた。

河原の柵に何やら目立つ色の物体を見つけて近付くと、メロンパンのストラップだった。このメロンパンも擬人化されていて、リボンを着けているところから、多分女の子なのだろう。その表情を見ていたら、持ち主と再会できるといいなあと、感情移入してしまった。

僕の大切な人はまだ見つからないが、それはそれでいいかな…

ふらりふらり

気持ちはいつも乱高下している。生きていれば当たり前と言い切ってしまおうかと思うものの、少し躊躇する。だが、何事にも揺らがないのは、ある域にまで達した人か、諦めてしまった人で、今の僕はどちらにもなれない。

今よりも強く生きがいを感じられるような何かが、そして、心の安らぎを感じられるものがあれば、乱高下の描くグラフはもっと穏やかな線になるだろうか…
まあ、それはただのないものねだりに過ぎないかな。

そんな僕を見つめていてくれるのは、この空だけかもしれない…