あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

からっぽ

2009-11-09 23:29:43 | 立ち止まる
想いが募っていくと、その先にはいつもいいことがない。だから、「心を押し殺して生きていく方がいい」とその時は思うものの、結局また想いを募らせてしまう。

映画『空気人形』は、男性の性欲処理のための人形が心を持ってしまったことで、様々なことを知り、様々な人と出会い、そして別れるという日々を描いた作品だ。
人形が心を得て輝いていくのとは対称的に、心を持っているはずの人々の心が心を失い、空っぽになってしまっている。そして、そのことを自覚している人もいれば、そのことから逃げようとしている人も…

自分が生まれた向上を訪ねてきた空気人形にオダギリ・ジョーさん演じる製作者が語りかけるシーンがあった。眠っていた僕の心がグッと掴まれる感じがした。そして、涙が溢れてきた。

性欲処理のための人形だから、セックスが心を満たし合うものではなかったのだろうか。体中に彼の息を吹き込まれることで愛を感じた空気人形が、その愛で彼の心を満たそうとした行為は、彼女の愛が込められれば込められるほどそこから遠くに行ってしまうものだった。だが、僕にはそのシーンの彼の心は満たされていったように思えた。ARATAさんのあの感じ、久しぶりに是枝作品で観る彼はなんだか懐かしかった。

是枝裕和監督は、映画監督から映像で詩を綴る詩人になったように感じた。それほどにこの作品には詩の雰囲気が漂っていた。そして、空気人形を演じたペ・ドゥナさん。『リンダリンダリンダ』で初めて彼女の魅力に触れたが、この作品ではもう彼女以外には考えられないという、魅力あふれる演技にさらに引き込まれた。

心を持った空気人形には出会ったことはないが、心を失った人はあちこちにいる。そういう僕もその一人なのだろうか。そんなことを思いながら、いつか空っぽの僕の心にやさしく息を吹き込んでくれる人と出会うことを夢見る。
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歯止め

2009-11-09 20:44:57 | つれづれ
駅のホームの端に青い電灯が取り付けられたのに気付いたのはいつだったろう。その少し前に、飛び込み自殺防止用にそれを取り付けるとニュースで紹介していたのを、その直後に思い出した。

毎日とは言わないが、人身事故で電車が止まるのはしょっちゅうだ。そのたびに迷惑を被った気持ちになるが、そこにはその迷惑とは比較にならない「命」を断たなければならなかった人がいたのだということを見失いがちだ。

青い電灯のその先に何があれば、その絶望から人々を救えるのだろう。
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朝のつき

2009-11-09 07:06:53 | つれづれ
少し早めに家を出たことが余裕につながったのだろうか、途中で立ち止まりぼんやりと空を見上げてみた。そこには一日の仕事を終えたかのような姿の月があった。

再び孤独の中に入り込んだ僕には、そんな月が微笑みかけてくれているようにも見える。

だから、しばらく入り込んだ孤独とともに歩いていけそうだ。
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