花小金井の駅から小金井公園へ向かう途中、木の下で昼寝中の猫を見つけた。
いつものように忍び足で近づき写真に収めると、猫が目を覚まして迫ってきた。安眠を妨げたことに対する抗議をしようとしていたのかもしれないが、なぜか人懐っこく近づいてきた感じた。それは僕が寂しかったからだろうか。
少し歩き、小金井公園への路地に入ると、畑が広がっていた。その畑には野菜の直売場所があるようで、看板が掲げられていた。そこに添えられた絵が本格的で、滑稽な、でも何だか魅力的に思えた。
その畑には、ビニールがかかった場所が一か所だけあり、その北側にはきれいに雪が残っていた。いや、雪が残っていたから北側だろうと思っただけだが…
その先の水たまりでは、親子連れが水面にできた氷で遊んでいた。日陰だったのと、水が濁っていたのとで、なんとも寒々しかったが、親子の楽しげな様子は温かかった。
少しもたついたので、小金井公園に着いたころには影が長くなっていた。
最初に目にした梅は、ほんのり鴬色がかっていた。蕾も多く、これからが見頃なのだろうか。
さらに紅白と、蝋梅を眺めたところで、テントにできた人だかりが気になり、そちらへと向かった。
陶器市やら、八丈島の物産展やらをやっていた。僕は、梅の香りに誘われてきたつもりが、日本酒と煮込みを楽しんだ。花見酒とは行かなかったが、昼間から酒を飲むのは気持ちいい。車で来なくてよかった。
江戸東京たてもの園に入ると、前川國男邸の前にも紅梅が咲いていた。
今日はイベントが開催されていて、園内には大勢の子どもが集まっていた。これだけ子どもがいると、なんだかそれだけでウキウキする。そして、「自分の子どもがいたら…」と、少し寂しくなる。
その寂しさを食欲で満たそうとしたわけではないが、園内の屋台で買ったチジミを口に入れた。少しサクッとした食感がいい。
帰りに吉祥寺で何か買って行こうと思ったのだが、アーケードにはものすごい数の人が集まっていた。あまりの多さにそれ以上進むのは諦めた。バレンタイン前のカップルが集まっているのだろうかと思うと、気が引けた…というのもあるが。
今日の日もまた、さようならの時間を迎える。「あしたはきっといい日」と思い続けてはいられるが、その力も少し弱まる。理由はわかっているのだが、どうしようもない。何か出来ることはあるのかもしれないが、思い浮かばない。もしできるとしたら、きれいさっぱり忘れてしまうことかもしれないが…