ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

『光の帝国』

2006-06-27 | 読むこと。
恩田陸さんの『光の帝国 常野物語』、ようやく読みました。
この中には10の短編が収められていますが、『蒲公英草紙』『エンド・ゲーム』を読んだあとにシリーズ第一作目のこの作品を読むと、すべて始まりの物語、という印象を受けました。物語のタネ、みたいな。
この時点で、どこまで常野の構想があったのかわかりませんが、物語はひろがりを見せるだろうなあ、という予感を感じさせます。そして実際、この中の『大きな引き出し』は『蒲公英草紙』へ、『オセロ・ゲーム』は『エンド・ゲーム』へと続くわけです。

また、この短編の中でもそれぞれの話に繋がりをもたせ、常野の一族の不思議な力や、その力を持っているが故に起こる、不幸な出来事が少しずつ明かされていきます。

一番印象に残ったのは本の題名にもなった『光の帝国』です。
戦争とはいえ、あまりにも理不尽な、残酷な結末。常野の人々が不思議な力を持っているのにも関わらず、穏やかで、優しくて、ひっそり生きているから、よけいに彼らの運命がせつなくなります。
それでもツル先生の存在と、『光の帝国』の続編ともいうべき『国道を降りて・・・』を読んで、少し救われたような・・・。

『達磨山への道』も、神隠しにあう少女の話のプロローグに予定していたとのことで、こちらもまた常野のシリーズとしていつか読むことができるのかな?
楽しみです。





コメント (4)
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