ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

『夜のピクニック』

2006-08-31 | 読むこと。


今年の夏はほんとに暑かった・・・(って、まだ過去形にはできないでしょうけど)。
この暑さに何もする気になれなくて、ひたすら風の吹く場所をさがして本を読みました。

まず読んだのはこれ。『夜のピクニック』。
恩田陸さんの常野物語を読んだあと、他のも読んでみたくなり図書館で見つけました。
去年の第2回本屋大賞で1位になって話題になった作品です。

本屋大賞といえば、第1回の1位が『博士の愛した数式』、3位が『家守綺譚』。
私の大好きな作品が選ばれていたので、この作品も期待できそう。わくわく。


この作品は、いわば青春小説です。
全校生徒が夜を徹して80キロの道を歩きとおす「歩行祭」。
と聞いただけで、私なんかうんざりしてしまいそうなんですが、年に一度の大イベント。
特に三年生ともなると、この非日常的なイベントにかける思いは人それぞれあるわけです。
仲のいい友達と歩いたり、好きなコに告白しようと企んだり。
この“非日常的”というのがミソですね。
それプラス“高校生最後の”なんてついたら、誰だって盛り上がって(?)しまいますよ。

この歩行祭にひとつの賭けをした貴子と、彼女の異母きょうだい融を中心に描かれているのですが、タンジュンに恋愛や友情を描いているわけでもありません。
自分の父親が不倫して生まれた子どもが同級生だ、という設定はかなりどろどろですが、内容は本当に爽やか。
誰も悪い子はいないし、みんな友だち思いだし。

正直言って本屋大賞をとったとき、「夜通し歩く?それだけでどんなストーリー展開があるわけ?」とあまり興味がもてませんでした。
でも恩田さんの他の作品を読んだあとでは、彼女の力量なら一晩歩くだけでも小説にできるだろうなあ、と妙に納得したのでした。

高校生たちが“ただ歩くだけ(!)”のことなのに、ぐいぐい惹きつけられるのは彼ら、彼女たちの会話。
私たちにもなじみの、意味のない、他愛もない友達同士の会話。
その中にちらりと本音がみえたり、「そうそう」と共感したり、笑えたり。
その会話が、時間ととも(なんたって一晩中ですから)に微妙に変化していくのがおもしろいなあと思いました。

現役高校生の長女に、「この本おもしろいよ~」と薦めても意外に興味を持ってくれなかったのは、こんな会話を毎日してるからなのでしょう。
こういう時代をとっくに過ぎてしまった私だから、なんだか高校生のころがなつかしくて、胸がキュンとするのかもしれませんね。





コメント (2)
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