万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

辺野古代執行訴訟-裁判所はイソップの『狡い狐』か?

2016年02月04日 15時31分17秒 | 日本政治
新基地に30年期限 国は返還か軍民共用、米と協議を 代執行訴訟の和解案
 現在、普天間基地の辺野古への移設問題をめぐって、国が県を訴える訴訟と、県が国を訴える訴訟の二つが同時進行するという異例の事態が生じています。前者の辺野古代執行訴訟については、昨日、福岡高裁那覇支部において二つの和解案が示されたと報じられています。

 何れの訴訟も、その基本的な争点は権限の所在にあり、国と県の双方が、防衛・安全保障に関する政策権限をめぐって権限を争っているのです。ところが、裁判所は、この訴訟において、何故か、和解案なるものを作成しおります。この行為、イソップ童話の『狡い狐』の物語を彷彿とさせます。『狡い狐』は、食べ物の取り合いをしている二匹の猫の間に入った狐が、同じ大きさに分けると称して、大きい方を食べてゆき、終いには、自分が全部食べてしまうというお話です。この物語の展開が今般の裁判の行動と共通しているのは、何らの権限もない仲裁者が、最後には、係争物を自分のものとしてしまう点です。裁判所が示した和解案は、紛れもなく防衛・安全保障上の政策であり、実質的に、裁判所が、政府に代わって政治的な権限を行使しております。和解案の作成自体が司法の越権行為であり、民主主義を根底から覆しかねない危険な行為です。

 政府は、和解案には応じない姿勢を示しておりますが、”狡い狐”と化した裁判所こそ、再発防止のために、弾劾裁判などを通して、その越権行為の責任を問われるべきです。米軍基地移設問題に限らず、最近の司法の暴走は、既に危険水域に達していると思うのです。

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コメント (2)
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