goo blog サービス終了のお知らせ 

万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

マイナス金利-日銀は金融工学プログラミング対策を

2016年02月11日 15時10分06秒 | 国際経済
焦点:政府・日銀が市場動揺に警戒、「宝刀」出番うかがう展開も
 ここ数日の間、日銀が、マイナス金利に舵を切ったにも拘わらず、東京株式市場では大幅な下落が生じています。教科書的には中央銀行による利下げは景気刺激策の手段なのですが、現実には、利下げが株価の大幅下落と円高の更新を引き起こし、日本経済に黄信号が灯っています。それでは、何故、このような逆方向の現象は起きるのでしょうか。

 この現象は、一般的には、原油安と中国経済の減速という外的要因によって説明されています。投資家の不安心理が比較的安全な資産とされる円や日本国債に向けられ、円高の結果として輸出競争力が低下する企業の株式が売られているする説明です。この説明では、日銀のマイナス金利政策は、一先ずは無関係のように見えますが、金融市場がグローバル化していることを考慮しますと、そうとばかりは言えないように思えます。昨今の金融工学の発展を受けて、大抵の金融機関は、投資判断に金融ソフトウェアを導入しています。様々な要因が複雑に絡む金融メカニズムにあっても、プログラミングによって、ある程度、利益予測が計算され、最適投資をはじき出してくれるのです。リーマンショックの時にも、プログラミングが一斉に発動したことで暴落を起こしており、倫理面からも問題視されたのですが、金融の世界は瞬時の判断が利益を左右しますので、現在でも、人間の判断に待つことなく、コンピュータに任せていることでしょう。となりますと、今般のマイナス金利=中央銀行間の金利差の変化、円高、国債買いの一連の動きも、全ての条件が揃う”必勝パターン”が出現しており、一斉にコンピュータが売買注文を出した可能性があるのです。

 AI技術もさらに発展した今日では、金融市場の動きを読むことは、金融工学プログラミミングを解析することでもあります。日銀は、負の連鎖を断つためにも、金融工学プログラミング対策を急ぐべきではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。



にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする