万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日印豪の安保協力強化-次期米政権への備えか?

2016年02月22日 15時17分37秒 | 国際政治
対中国で連携強化、日印豪が外務次官協議開催へ
 今月末に、日印豪の三カ国は、東京にて外務次官協議を開催する予定なそうです。昨年6月に続いて第2回目の協議となりますが、日印豪の安保協力強化は、次期米政権の備えかもしれません。

 オバマ大統領の任期も残り僅かとなり、アメリカでは、目下、大統領選における民主・共和両党の統一指名候補争いが闘われております。サウスカロライナ州の結果を見ると(2月24日修正、間違えてネバタ州と表記しました。お詫び申し上げます。)、共和党では、トランプ氏が、ルビオ氏とクルーズ氏と10ポイント程の差を付けて一位を獲得する一方で、民主党では、クリントン氏が辛うじて対抗馬のサンダース氏から一位を奪還しています。今後の情勢によっては、トランプ大統領やサンダース大統領もあり得ないわけではないのですが、この両者の何れかが大統領に就任した場合について、英フィナンシャル・タイムズのコラムには、アメリカが孤立主義に回帰する、との予測が掲載されたそうです。その理由は、トランプ氏は、”アジア太平洋地域の安全を請け負うことに本質的な利益はない”と考え、サンダース氏は、”アメリカが「世界の警察官」であるべきとする考えを糾弾”する姿勢にあるからです。仮に、この予測通りの展開になりますと、モンロー主義の時代に回帰したアメリカは、国際社会の安全と平和には無関心となり、日米同盟も弱体化する怖れがあります。日米同盟の抑止力の低下は、南シナ海や東シナ海において自国の海洋支配圏を広げたい中国にチャンスを与えかねず、日本国の安全保障にも直結する問題ともなります。もっとも、当の中国は、何れの候補者が当選しても、アメリカの次期政権の対中政策は厳しくなると見ているようですが…。

 東方の日本、西方のインド、並びに、南方のオーストリアの三国による連携は、中国を取り囲む包囲体制ともなります。アメリカの孤立主義への回帰はあり得ないシナリオではありませんので、日本国政府は、日米同盟の維持と強化のために最善を尽くす一方で、アメリカの軍事的プレゼンスの低下にも備え、警察力を補うための体制作りを急ぐ必要があるのではないでしょうか。

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