万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

シャープの鴻海傘下入り-中国の影に要注意

2016年02月05日 15時39分24秒 | アジア
【シャープ再建】電機大手で初の外資傘下入りか 日本企業のM&A姿勢に影響も 識者「成功すれば不安感を払拭」
 経営悪化から再建を模索していたシャープは、昨日の報道によりますと、台湾の鴻海精密工業の傘下に入る可能性が高いそうです。支援総額は7000億円とも伝えられおりますが、この買収、大丈夫なのでしょうか。

 報じられるところによりますと、鴻海の創業者である郭台鉐会長は中国との結びつきが強く、中国にも多くの工場を抱えているそうです。政治的スタンスとしては、対中融和を基本路線とする国民党支持者であり、”ひまわり運動”といった台湾の学生による反中運動に対しても、否定的な発言をしています。そして何よりも、中国の習主席との距離も近く、将来的には”一つの中国”を目指しているようなのです。となりますと、今回の鴻海によるシャープ支援の背後に中国の意向が働いているとする推測も、あながち、否定できないように思われます。先日も、中国企業が、スイスの世界最大の肥料会社の買収に成功たと報じられており、習政権は、先進国のブランド企業に狙いを定めた積極的な買収攻勢に出ています。その目的は、技術力の獲得による中国産業のさらなる高度化とされておりますが、時期が重なるだけに、不安を払拭することができません。中国企業であれば、ハイアールの前例があるだけに、日本国内において警戒論が噴出するでしょうが、台湾企業であれば、それ程の抵抗もなくシャープを手中に納める可能性があります。今のところ、シャープ側は”技術流出はない”と説明しているものの、鴻海の背後に”手段を選ばず”の中国が控えているとしますと、当初の合意も将来的に反故にされるか、間接的ルートでの技術流出が起きるかもしれません。

 鴻海の方が、誰かに急かされるかのように、むしろ焦っているように見えること、そして、支援額が7000億円という巨額に上ることも、気になるところです。シャープは、決定を急がず、十分な情報収集や調査を行い、鴻海の背景を見定めるべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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