万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国は必ず”開戦責任”を日本に押し付ける-思い出される盧溝橋事件

2016年07月06日 15時12分55秒 | 国際政治
「中国軍機への挑発ない」…萩生田官房副長官
 先日、中国攻防省が、日本国の航空自衛隊機が中国空軍機に挑発行為を行ったとする談話を公表する一方で、日本国政府は、これを真っ向から否定するという一幕がありました。”空自機が中国軍機に向けて火器管制レーダーを照射"というのですから、ただ事ではありません。

 通常、迂闊に火器管制レーダーでロックオンすると、レーダーの周波数に関する情報を相手方に与えることになるので、中国側の主張は”ウソ”であるとする見方が大勢です。そもそも、今日の日本国には、中国に対して戦争を仕掛ける理由は全くないのですから。しかしながら、この一件で、真っ先に頭を過ったのが、1937年7月7日に起きたかの盧溝橋事件でした。この事件も、専門家による詳細な検証により、最初に発砲したのは中国軍側であったことがほぼ確定していますが、中国側は、今なおこの事実を認めず、日本国側が仕掛けた侵略戦争と主張しています。中国共産党の行動パターンが昔も今も変わりがないとしますと、仮に、中国が、近い将来において戦争に訴えるとしますと、間違いなく、日本国側に開戦の責任を押し付けてくることでしょう。日本側から先に攻撃してきたのであり、我々は、犠牲者であると…。また、戦争の舞台が、東シナ海ではなく南シナ海であったとしても、中国側は、全力でアメリカに開戦の全責任を負わせようとすることでしょう。

 今月12日の仲裁の判断を前に、南シナ海では、中国海軍が、5日から11日の予定で最大規模な軍事演習を実施しているそうです。盧溝橋事件では、夜間演習が現実の戦争へと転じましたが、中国の時代感覚が前世紀に留まっているとしますと、日本国政府は、責任転嫁を含む不測の事態への対処を急ぐべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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