万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

英EU離脱ー原因は58年前にあった?

2016年07月02日 14時48分27秒 | 国際政治
英EU離脱、撤回認めぬ=仏大統領
 イギリスのEU離脱をめぐっては、人の自由移動が問題の核心となりつつあります。先月29日に開かれたEU首脳会議でも、EU側は、人の自由移動を認めない限り、イギリスに単一市場へのアクセスを認めないとする強固な姿勢を示しています。

 ところで、争点となっている人の自由移動ですが、この原則は、58年前に発効したEEC条約において初めて明記されたものです。EEC(ヨーロッパ経済共同体)とは、その名が表わすように経済統合を目指す地域経済機構であり、主たる設立の目的は、共同市場を基礎とした加盟国間の共存共栄でした。そして、この共同市場を形成するために、”もの”と並んで、”人”、”サービス”、”資本”の自由移動が訳されたのです。今日では、”四つの自由”と呼ばれています。しかしながら、今になって冷静に考えてみますと、この時、”人”を、”もの”、”サービス”、”資本”と同列に扱ったところに、今日の混乱の根本的な原因があったのかもしれません。

確かに、”人”とは、経済の側面から見ますと生産要素の一つである労働力(マンパワー)ですが、政治面や社会面をも供えた多面的な存在です。しかも、”人”の移動とは、本来は、国境管理を司る国家の管轄事項ですので、経済的な理由のみから自由化を図るには無理があります。

 人の自由移動については、本来、1993年に、政治や司法分野にも政策領域を広げたEUが発足する際に、見直しを行っておくべきであったのかもしれません。しかしながら、現実にはその逆に、EU発足以降、人の自由移動はさらに加速し、限界に達した今日、遂にイギリスの離脱に行き着いてしまったように思えるのです。

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コメント (4)
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