イラン核合意破棄「現実味ある」=前向きな可能性も指摘―米大統領
オバマ政権時代にイランとの間で核放棄をめぐり合意されたイラン核合意は、トランプ米大統領が破棄の意向を示したことから、その行方が危ぶまれております。日本国政府やEU諸国等は核合意の維持を主張していますが、この合意、誠実なる合意の遵守が必ずしもイランの核放棄を意味しないところに最大の問題点があるのではないかと思うのです。
マスメディアの大方の論調も、国際社会の核不拡散への努力を水泡に帰する行為として、合意破棄を訴えるトランプ大統領に対して批判的です。長く困難な交渉を経てようやく漕ぎ着けた合意を破棄するとは、平和に対する罪と言わんばかりの報道ぶりです。また、緊迫化する北朝鮮問題とも関連付け、この時期に核合意を破棄すれば、北朝鮮は、アメリカを約束を守らない国と見做すこととなり、核放棄のための交渉のテーブルも遠のくと訴えています。何れにしても、“イラン核合意を維持せよ”の大合唱なのです。
この批判、同核合意が確実なるイランの核放棄を約束するならば、理解に難くはありません。しかしながら、合意内容に“欠陥”がある場合には、必ずしも合意破棄は批判には当たらないのではないでしょうか。何故ならば、欠陥を抱えたままでの合意順守は、結局、目的とは反対の結果をもたらしかねないからです。その悪しき前例となったのは、かの1994年の米朝枠組み合意であり、合意内容に幾つもの抜け道が残されていたために、結局、北朝鮮は、核兵器を保有するに至りました。合意破棄は北朝鮮への悪しきメッセージとなるとする上記の指摘は、再度、アメリカに1994年の誤りを繰り返すよう勧めるようなものであり、全く以って説得力がありません。否、核開発にあっては、イランと北朝鮮は協力関係にありますので、如何に核合意によって定められた網の目を掻い潜るのか、北朝鮮がイランに指南しているかもしれないのです。
それでは、イラン核合意は、イランの完璧なる核放棄を約束しているのでしょうか。合意内容を見ますと、ウラン濃縮に使用される遠心分離器の基数を3分の1に削減され、その濃縮度も平和利用に制限されているものの、前者は10年、後者は15年の期限付きです。また、核実験が疑われているパルチンの軍事施設への立ち入りは認められず、ミサイルについても合意の枠外となっています。仮に、イランが“善性悪用戦略”を以って同合意を悪用するとすれば、制裁解除の恩恵によって経済力を付けつつ、核やミサイル開発に必要となる軍事技術や情報を自由に取得・収集することでしょう。そして、合意が定めた期限が切れる10年後、あるいは、15年後には、即、核兵器の製造に取りかかり、核保有国として立ち現われるかもしれません。イラン核合意は、最悪の場合、イランに最長で15年間の開発期間を与えているに過ぎないのです。
イラン核合意については、徒に批判するよりも、まずは、同合意枠組の核放棄に対する有効性こそ再検討すべきです。トランプ大統領は、イラン側の合意違反に焦点を当てて同合意の破棄に言及しているようですが、違反のみならず、合意内容自体に含まれる悪用可能な欠陥こそ、深刻なリスクとして認識されるべきではないかと思うのです。
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オバマ政権時代にイランとの間で核放棄をめぐり合意されたイラン核合意は、トランプ米大統領が破棄の意向を示したことから、その行方が危ぶまれております。日本国政府やEU諸国等は核合意の維持を主張していますが、この合意、誠実なる合意の遵守が必ずしもイランの核放棄を意味しないところに最大の問題点があるのではないかと思うのです。
マスメディアの大方の論調も、国際社会の核不拡散への努力を水泡に帰する行為として、合意破棄を訴えるトランプ大統領に対して批判的です。長く困難な交渉を経てようやく漕ぎ着けた合意を破棄するとは、平和に対する罪と言わんばかりの報道ぶりです。また、緊迫化する北朝鮮問題とも関連付け、この時期に核合意を破棄すれば、北朝鮮は、アメリカを約束を守らない国と見做すこととなり、核放棄のための交渉のテーブルも遠のくと訴えています。何れにしても、“イラン核合意を維持せよ”の大合唱なのです。
この批判、同核合意が確実なるイランの核放棄を約束するならば、理解に難くはありません。しかしながら、合意内容に“欠陥”がある場合には、必ずしも合意破棄は批判には当たらないのではないでしょうか。何故ならば、欠陥を抱えたままでの合意順守は、結局、目的とは反対の結果をもたらしかねないからです。その悪しき前例となったのは、かの1994年の米朝枠組み合意であり、合意内容に幾つもの抜け道が残されていたために、結局、北朝鮮は、核兵器を保有するに至りました。合意破棄は北朝鮮への悪しきメッセージとなるとする上記の指摘は、再度、アメリカに1994年の誤りを繰り返すよう勧めるようなものであり、全く以って説得力がありません。否、核開発にあっては、イランと北朝鮮は協力関係にありますので、如何に核合意によって定められた網の目を掻い潜るのか、北朝鮮がイランに指南しているかもしれないのです。
それでは、イラン核合意は、イランの完璧なる核放棄を約束しているのでしょうか。合意内容を見ますと、ウラン濃縮に使用される遠心分離器の基数を3分の1に削減され、その濃縮度も平和利用に制限されているものの、前者は10年、後者は15年の期限付きです。また、核実験が疑われているパルチンの軍事施設への立ち入りは認められず、ミサイルについても合意の枠外となっています。仮に、イランが“善性悪用戦略”を以って同合意を悪用するとすれば、制裁解除の恩恵によって経済力を付けつつ、核やミサイル開発に必要となる軍事技術や情報を自由に取得・収集することでしょう。そして、合意が定めた期限が切れる10年後、あるいは、15年後には、即、核兵器の製造に取りかかり、核保有国として立ち現われるかもしれません。イラン核合意は、最悪の場合、イランに最長で15年間の開発期間を与えているに過ぎないのです。
イラン核合意については、徒に批判するよりも、まずは、同合意枠組の核放棄に対する有効性こそ再検討すべきです。トランプ大統領は、イラン側の合意違反に焦点を当てて同合意の破棄に言及しているようですが、違反のみならず、合意内容自体に含まれる悪用可能な欠陥こそ、深刻なリスクとして認識されるべきではないかと思うのです。
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