goo blog サービス終了のお知らせ 

万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮平昌オリンピック宣伝利用の逆効果-不気味な200人お面事件

2018年02月12日 15時11分38秒 | 国際政治
北の女性応援団200人が男性のお面…物議醸す
 核・ミサイル開発をめぐり制裁が強化される中、平昌オリンピックは、北朝鮮に取りましては絶好のチャンスであったはずです。南北両国の融和を演出すれば、北朝鮮による厳しい国際世論も緩む可能性がったからです。しかしながら、この目論見、北朝鮮のセンスがあまりにも一般の人々の感覚とかけ離れていたため、どうやら失敗に終わったようです。

 “美女軍団”としてメディア等でも紹介されている北朝鮮から派遣された200人の女性応援団は、その全員が顔の表情から仕草まで全て完璧にシンクロするように徹底的に訓練されているのでしょう。その一糸乱れぬパフォーマンスが全体主義国家の美的センスを表しているのですが、自由主義国からしますと個性の抹殺としか見えず、必ずしも見ていて心地のよいものではありません。北朝鮮の主観的(主体的?)からすれば、‘全員で一つのテーマを表現するマスゲームなどの“総体芸術”は、全世界を感嘆させる“最高芸術”であり、北朝鮮は、オリンピックこそこれを披露する最高の舞台’と考えたのでしょう。

 そして、この特異なセンスに輪をかけて人々を唖然とさせ、北朝鮮の体質を浮き彫りにしたのは、10日に行われたアイスホッケー女子韓国・北朝鮮合同チーム初戦での出来事です。これらの女性応援団200人が、全員、若い男性のお面をつけて北朝鮮の歌を歌い始めたというのですから(全員同一の仮面でよしとする発想は怖ろしい…)。この応援方法、どこかオウム真理教を髣髴させるのですが、お面の顔のモデルは誰なのかも分からず、言い知れない不気味さを醸し出しています。

 韓国国内では、故金日成主席の若い頃の顔をモデルとしているのではないか、とする憶測も広がりましたが、韓国統一省はこの見解には否定的なようです。仮に、金日成説を確信を以って否定するならば、韓国政府は、お面のモデルが誰であるのかを既に知っていたことになり、これもまた不可解です。男子選手の応援を前提とした女性応援団は李朝時代の妓生と変わらないとの批判を受けないよう、敢えて、女子チーム向けに全員が男性応援団に変身したとも考えられますが、謎が謎を呼んでいるのです。

 こうした不可解で異様な北朝鮮の応援手法は、各国のメディアが取り上げたこともあり、北朝鮮という国の異質性を全世界に強く印象付けています。北朝鮮は、オリンピックを宣伝の場に利用したことにより、逆に、自ら墓穴を掘ってしまったのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする