万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

“早すぎたグローバリズム”の問題

2018年02月19日 16時05分55秒 | 国際経済
本日の日経新聞朝刊の一面には、“企業のドル債務 膨張”とする見出しで、世界の企業がドル建てでの債務を拡大させているとする記事が掲載されておりました。同記事は、ドル高が進めば新興国に打撃を与えかねないとして警戒を促しています。

 ドル高が債務国に対してダメージを与える主たる理由は、自国通貨で換算すれば債務の返済額が拡大するところにあります。特に、“自転車操業的”で借り換えを行う場合、借入時よりも借り換え用のドル調達に際して相場が上がっていると、それだけで支払額が上昇するため、財政リスクが深刻化するそうです。また、ドル高に加えてFRBが利上げをすれば、金利の全般的な上昇や国内からの資金流出も予測され、ドル債務を抱える諸国は、ドルの動向に神経を尖らせざるを得なくなるのです。

こうした問題は、実のところ、“早すぎたグローバリズム”の問題をも浮き上がらせています。何故ならば、レッセフェール的なグローバリズムを信奉する人々は、関税障壁に留まらず、国境における全ての越境阻害の要因を取り除けば、予定調和的に相互利益が実現すると主張していますが、現実には、国際通貨体制一つを見ても、“グローバル市場”を支えるほどの対応力を備えていません。単一の“グローバル通貨”が存在するわけではなく、事実上の国際基軸通貨である米ドルも、上述したように、常に為替市場における相場の変動やFRBによる金融政策の影響を受けているからです。言い換えますと、グローバリズムが進展し、全ての諸国の経済が海外取引への依存度を高めれば高めるほど、貿易決済であれ、投資であれ、通貨の不安定・変動性に晒されるのです。

仮想通貨が抱える問題を過小評価したIMFの対応を見ましても、現在、国際社会が真剣に国際通貨体制の不備について問題意識を共有しているとは思えません。グローバル化の掛け声ばかりが先行し、その結果として発生する様々な問題については、まさしく、“レッセフェール(成るに任せよ)”であったとしか言いようがないのです。国家間、あるいは、企業間にあって歴然とした経済格差が存在する現状を鑑みれば、適度なグローバリズムと健全な国内経済が調和的に併存し得る経済体制を目指し、これを基礎とした上で安定した国際通貨体制の構築を試みるべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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