日米、対北圧力で共同文書…首相・ペンス氏会談
北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に関しては、二度にわたり、アメリカも国際社会も煮え湯を飲まされております。一度目は1994年の米朝二国間の枠組み合意であり、二度目は、日中ロ韓を加えた多国間交渉の枠組みとしての六か国協議です。
こうした失敗の前例があるにも拘わらず、北朝鮮問題については、平和的解決を目指すとしてあくまでも話し合い解決に拘る人々もおります。しかしながら、“対話解決”にも、結局は“力”というものを要するのではないかと思うのです。
これまでにも、外交交渉には軍事力の裏付けが必要である、とする見解が皆無なわけではありませんでした。しかしながら、その多くは、交渉を自国に有利に運ぶための圧力としての力であり、どちらかと言えば、相手国に対する心理的な作用に期待しての議論でした。もっとも、外交交渉に軍事力を背景とした力学を持ち込みますと、かつての砲艦外交に回帰しかねませんし、中国やロシアの云う“対話解決”には常にこの側面が含まれており、対等であるはずの外交交渉が強者有利に傾くリスクも否定はできません。しかも、国連憲章(第1条4)や条約法条約において条約の無効要件(第52条)とされる、“武力による威嚇”となりかねないのです。
かくして交渉における軍事力の圧力効果は誉められたものではないのですが、その一方で、“対話解決”には、もう一つ、“力”を要する場面があります。それは、どちらか一方が合意を破った場合です。対話解決を訴える人々は、交渉と合意という側面のみを切り取って“平和”と称していますが、問題解決のプロセス全体を見ますと、合意破棄や合意不履行という行為は事後的にあり得る局面です。これは、日韓慰安婦合意等においても問題視されている展開でもあります。
話し合いによる合意とは、当事者の双方がその内容に誠実に従うことを前提としておりますが(自己拘束)、仮に、この前提が崩れた場合には、既に解決されたはずの問題が再燃するか、あるいは、時間の経過により合意を遵守した側が不利な状況に置かれる結果を招きます。北朝鮮問題とは、まさに“対話解決”におけるリスクが表面化したものであり、今日、アメリカが、北朝鮮に対する軍事的オプションを検討する理由の一つも、同国の合意不履行にあります。
このように考えますと、北朝鮮に対して軍事行動が選択された場合、朝鮮戦争の再開、国際法違反を根拠とした軍事制裁、並びに、本記事で述べた合意不履行に対する強制措置の三つの根拠が混在していると解することができます。経済制裁も強制手段の一つですが、それでも問題解決に至らない場合には、何れの根拠であれ、軍事力という強制力の使用は正当化されることとなります。そして、この側面は、不誠実、かつ、無法な国家には最強の軍事力を持たせてはならないことを示唆していると思うのです。
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北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に関しては、二度にわたり、アメリカも国際社会も煮え湯を飲まされております。一度目は1994年の米朝二国間の枠組み合意であり、二度目は、日中ロ韓を加えた多国間交渉の枠組みとしての六か国協議です。
こうした失敗の前例があるにも拘わらず、北朝鮮問題については、平和的解決を目指すとしてあくまでも話し合い解決に拘る人々もおります。しかしながら、“対話解決”にも、結局は“力”というものを要するのではないかと思うのです。
これまでにも、外交交渉には軍事力の裏付けが必要である、とする見解が皆無なわけではありませんでした。しかしながら、その多くは、交渉を自国に有利に運ぶための圧力としての力であり、どちらかと言えば、相手国に対する心理的な作用に期待しての議論でした。もっとも、外交交渉に軍事力を背景とした力学を持ち込みますと、かつての砲艦外交に回帰しかねませんし、中国やロシアの云う“対話解決”には常にこの側面が含まれており、対等であるはずの外交交渉が強者有利に傾くリスクも否定はできません。しかも、国連憲章(第1条4)や条約法条約において条約の無効要件(第52条)とされる、“武力による威嚇”となりかねないのです。
かくして交渉における軍事力の圧力効果は誉められたものではないのですが、その一方で、“対話解決”には、もう一つ、“力”を要する場面があります。それは、どちらか一方が合意を破った場合です。対話解決を訴える人々は、交渉と合意という側面のみを切り取って“平和”と称していますが、問題解決のプロセス全体を見ますと、合意破棄や合意不履行という行為は事後的にあり得る局面です。これは、日韓慰安婦合意等においても問題視されている展開でもあります。
話し合いによる合意とは、当事者の双方がその内容に誠実に従うことを前提としておりますが(自己拘束)、仮に、この前提が崩れた場合には、既に解決されたはずの問題が再燃するか、あるいは、時間の経過により合意を遵守した側が不利な状況に置かれる結果を招きます。北朝鮮問題とは、まさに“対話解決”におけるリスクが表面化したものであり、今日、アメリカが、北朝鮮に対する軍事的オプションを検討する理由の一つも、同国の合意不履行にあります。
このように考えますと、北朝鮮に対して軍事行動が選択された場合、朝鮮戦争の再開、国際法違反を根拠とした軍事制裁、並びに、本記事で述べた合意不履行に対する強制措置の三つの根拠が混在していると解することができます。経済制裁も強制手段の一つですが、それでも問題解決に至らない場合には、何れの根拠であれ、軍事力という強制力の使用は正当化されることとなります。そして、この側面は、不誠実、かつ、無法な国家には最強の軍事力を持たせてはならないことを示唆していると思うのです。
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