万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国の野党は政権交代のチャンスを逃がすのでは?

2020年09月22日 12時30分41秒 | 日本政治

 日本国では、与党サイドにあっては、政権内交代として菅義偉政権が成立する一方で、野党サイドでは、旧立憲民主党と国民民主党等の議員が合流し、9月15日に立憲民主党の名称を引き継ぎつつも、新たな政党としてのスタートを切ることとなりました。発足から間もない21日には、同党に所属する小沢一郎衆議院議員が、早くも「1年以内に必ず政権を取る」と述べ、政権交代への強い意欲を示したと報じられております。

 

 小沢議員の談によれば、11月には社民党も加わる予定なそうですので、‘統一野党’を結成する青写真が既に出来上がっているようです。自民党が解散を急ぐ理由の一つもこの点、即ち、野党側の準備不足にあるのでしょうが、果たして、総勢150人を越える‘統一野党’は、総選挙にあって勝利をおさめ、政権交代を実現するのでしょうか。

 

 怪しいとはいえ、世論調査の結果を見ますと、立憲民主党に対する支持率は凡そ10%程しかなく、現状では、政権交代は‘夢のまた夢’の状況にあります。しかしながら、唯一、政権交代の夢が叶えられるとすれば、それは、菅新政権に対する国民の不信感に訴えるしかありません。新政権に対しては、外政においては親中政策への転換、内政においては新自由主義の影響力拡大が懸念されており、それは、有権者の多く、こうした政策に対する反対表明として、‘統一野党’に投票する動機となるからです。即ち、与党に対する批判票を集めるという作戦です。

 

 ‘統一野党’の選挙公約については、寄り合い所帯のため、今後、綿密な調整を要するのでしょうが、親中派のドンである自民党の二階幹事長の国民に対する背信的行為や公明党と中国、韓国、北朝鮮との人脈を攻撃材料とし、日本国の国家的な危機として訴えれば、多くの国民は、与党への投票を躊躇することでしょう。両者については、アメリカの有力シンクタンクであるCSISの報告書が指摘しており、外部からも調査済みです。‘自公政権が継続されれば、日本国はやがて中国の属国となり、チベット、ウイグル、そして香港の同じ運命を辿ることになる’と主張すればよいのです(残念なことに、この懸念が現実となる可能性は否定でいない…)。国土交通大臣の職が公明党によって独占されたことにより、公共交通機関の施設での表示やアナウンスに中国語やハングルが加えられ国勢調査の封筒の表面にも、何故か、中国語とハングルが印字されている…)、多くの国民が自国の異変に気が付いています。実感が伴うだけにこうした主張は説得力を持つでしょうから、政権交代も夢ではなくなります。また、新自由主義に警鐘を鳴らし、グローバリズム原理主義から内需重視への転換、中国とのデカップリングの推進、観光産業のインバウンド依存の見直し、移民受け入れ促進政策の放棄、国民本位の農政…といった政策を打ち出せば、国民の期待はさらに高まることでしょう。

 

 以上に述べましたように、実のところ、国民の懸念を払拭する政策を公約として掲げて選挙戦を戦えば、‘統一野党’は、1年以内であれ政権を奪取するチャンスがあるのですが、立憲民主党の来し方を見ますと、千載一遇とも言えるこのチャンスを逃してしまうようにも思えます。その理由は、‘統一野党’結成の裏方である小沢議員からして、親中・親韓政治家の一人であるからです。同議員は、かつて大訪中団を結成して北京に詣でた際に、‘私は、人民解放軍の野戦軍司令官’と自ら名乗ったのですから。立憲民主党が、反中政党のポジションに自らを置くとは思えないのです(もちろん、一時的に反中を偽装したり、言行不一致で国民を騙す可能性はありますが…)。

 

 中国からすれば、日本国において民主的な選挙が実施され、たとえ政権が頻繁に交代したとしても、与野党ともに親中政党であれば好都合ということになりましょう。否、日本国民が、親中政権以外の選択肢を失えば、日本国の民主主義は形骸化し、中国の手に落ちたと言っても過言ではないかもしれません。中国の魔の手から逃れる手段としては、まずは、自民党内での親中派とのデカップリングや公明党との連立解消等が期待されるのですが、反中派であっても新自由主義派であれば、一難去ってまた一難となりましょう。何れにしましても、国民の多くは、第二の親中政党としての‘統一野党’の誕生を望んでいないのでしょうから、日本国の政界は、反中政党、否、国民思いの政党の出現を望む国民の声にこそ、民主主義国家の政治家として応えるべきではないかと思うのです。


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