万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

外国為替特別会計は首相のポケット・マネーか

2011年10月22日 14時08分20秒 | 日本政治
 野田首相の訪韓により、両首脳の間で合意された日韓通貨交換枠の拡充(5兆4000億円規模)。この問題、ネット上では批難が湧き起こる一方で、マスコミでは、申し合わせたかのように、この話題を避けているようです。こうした不自然な状況も然ることながら、この事件は、外国為替特別会計に関する様々な問題を浮き彫りにしているようです。

 第1に、首相の一存で、外国為替特別会計の運用を決めることができるのか、という問題があります。この合意は、あくまでも首脳レベル合意に過ぎませんので、両国とも、議会の承認や立法化の手続きを経る必要があると考えられます。もし、可能であるとしますと、外国為替特別会計は、首相のポケット・マネーになります。

 第2に、外国為替特別会計そのものが、不透明であることです。毎年度の会計における剰余金は、一般会計に繰り入れられるそうですが、積立金についても、鳩山政権時代には、2兆9000億円が取り崩されたそうです。こうした措置は、国会で予算案として審議され、可決されていますので、通貨交換枠の拡充だけが例外的に、首相の裁量権のはずはありません。

 第3に、通貨交換枠として相手国に手渡させる円やドルは、どのように調達されるのでしょうか。もし、震災復興の遅れや増税論もある中で、上記の剰余金や積立金から支出されるとしますと、国民は納得しないでしょう。あるいは、通常の為替介入に際して行われるように、財務省が政府短期証券を発行するとしましても、国内のマネー・サプライを減少させるとともに、政府は、債務返済の義務を負うことになります。

 第4に、もし、ネット上で噂されているように、この政策が、韓国の債務返済を助けるために行われるとしますと、特別会計に関する法律の第71条の目的―”政府が行う外国為替等の売買等を円滑にするため”―から逸脱することになります。

 第5に、韓国側から枠の利用の要請があれば、日本国は、無条件にこの枠の利用を認めなければならないのでしょうか。ウォン安の是正という初期の目的とは別の目的に使われ、それが、日本国の国益に反する場合でも、拒否できないのでしょうか。

 一般の条約では、国家の代表者が買収された結果として締結された合意は無効となるのですが、野田首相も、民団の選挙協力と在日韓国人からの献金を受けています。通貨交換枠拡充の合意のみならず、野田首相の対韓政策一般についても、国会において真相を究明すべきではないかと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ラベンダー)
2011-10-23 01:20:58
TPP は、日本をアメリカの植民地に
するような内容です。 断固阻止
しないと大変な事になります
返信する
ラベンダーさん (kuranishi masako)
2011-10-23 10:18:53
 TPPは、現在、八か国が参加を検討しておりますが、二国間協定とは違い、多国間協定ですので、アメリカ一カ国が他国を”支配”するような内容とはならないのではないでしょうか。何れにしましても、交渉内容が公開されないことには、判断のしようもなく、政府は、国民に情報を提供すべきと思うのです。
返信する

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