万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国債は国内消化なら安心?

2007年12月24日 18時04分38秒 | 日本経済
国債発行、個人向け6.2兆円=家計消化に期待-財務省 (時事通信) - goo ニュース

 アルゼンチンなどと違って、日本国債は、国内の金融機関や個人が購入しているため、国家デフォルトを起こしたとしても、さほど心配する必要はない、という意見があります。しかしながら、その反面、自国だけで自滅してしまう可能性もあるのです。

 安全論の根拠は、外国に対して債務がなければ、国内的な対処で不履行問題を乗り切れる、とするものです。例えば、日銀が国債の買い切りオペを実施しますと、国内的なインフレが起きても、国家の債務を全部、あるいは一部帳消しにすることができます。また、たとえ国家がデフォルトを宣言しても、被害を被るのは国債を大量に購入している国内の金融機関や個人ですので、国際的な批判を浴びることはありません。さらには、国内の金融資産を、強制的に国債に転換するという政策もあります(郵政民営化に際して、元本保証限度を超えた預金は自動的に国債化された・・・)。こうして、政府は、危機的状況に陥っても、国内問題として解決できるものと踏むでいるのでしょうが、国内的な経済混乱は避けられません(経済が麻痺し、国民生活も不安定化・・・)。 

 そもそも、6.2兆円分の個人保有の国内資金が国庫に吸収されてしまうのですから、このことだけでも、民間への資金の流れが滞り、日本経済にとりましてマイナスとなります(クラウディング・アウト)。財務省の方々は、国債発行額を減らすことにこそ、努力を払っていただきたいと思うのです。

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