世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。
target="_blank">保安官擁護論に懸念=自民・谷垣氏(時事通信) - goo ニュース
国民の多くは、尖閣ビデオを公開した海保の保安官の方が逮捕されるのか否か、固唾を飲んで見守っています。一連の事件は、どちらが国家を裏切ったのか、という問題が絡むからこそ、形式論を越えた議論が起きているのではないかと思うのです。
1940年、ナチス・ドイツ軍の侵攻を受けたフランス政府は、対独融和派であったペタン首相の下でドイツに降伏し、以後、首都をヴィシーに移転し、ナチスの傀儡政権となります。フランスの国家体制は、憲法改正によりドイツと同様の独裁体制へと移行し、国家主席に就任したペタンは、連合国によってフランスが自由を取り戻すまで、対独協力を続けるのです。戦後、裁判にかけられたペタン元国家主席は、国家背任罪として死刑を宣告されます。
ペタンを首班とするヴィシー政権は、ひとまずは合法的に成立したことになりますが、自国を属国とした行為は、国家に対する背任罪として厳しく問われることになりました。民主党政権もまた、中国の圧力に屈して国法を曲げたのですから、同様に、背任罪を問われてもおかしくはありません。政府の背任行為は、公務員の守秘義務違反よりも(この罪が成立するかも怪しいところですが…)、はるかに罪が重いことを忘れてはならないと思うのです。
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衝突映像、88%が公開すべき 「国家秘密でない」81%(共同通信) - goo ニュース
最近、雑誌の広告の見出しに、”わずか○年で、高度経済成長時代からバブル崩壊までを駆け抜けた中国”といった意味のフレーズを見かけました。どの雑誌であったのかは忘れてしまったのですが・・・。反対に日本国は、政権交代からわずか1年で共産主義体制の恐怖の一部始終を体験したように思うのです。
民主党政権が発足した途端、小沢氏による一党独裁、あるいは、幹事長=党書記長の独裁が強まり、選挙の際に掲げていた”開かれた政治”が嘘であることに国民は気付き始めました。共産主義のスローガンが、革命政権成立後には空文化する現象と同じです。党内の醜い権力闘争の末に、仙谷官房長官が小沢氏にとって代わると、今度は、情報統制や言論統制に乗り出し、国民は、政府の隠蔽体質に危機感を持つようになりました。激しい権力闘争と情報の隠蔽も、共産主義政権のお家芸です。しかも、政府は、隣の非民主的な共産主義国家に追従するような外交政策を取るのですから、国民は、憤懣やるかたありません。
民主党政権は、政権交代を、平和的な手段による”革命”と勘違いし、我が国を、共産主義国家、あるいは、全体主義国家に変えたいようです。内閣支持率の低下は、1年足らずで共産主義体制の欠陥と恐怖政治を味わわされた国民の拒絶反応なのではないでしょうか。
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国際テロ情報流出 ネット住民が不審点を指摘 - 速報:@niftyニュース.
民主党政権は、尖閣沖ビデオの流出を咎めて、海保職員の方を公務員の守秘義務違反で告訴する構えのようです。しかしながら、国際社会の安全を脅かした罪で、厳しく問われるべきは、国際テロ情報を流出させた事件のほうなのではないでしょうか。
国際テロ情報の流出は、我が国のみならず、テロの脅威に晒されている全ての諸国にリスクを与えるものです。首相は、尖閣ビデオの流出については陳謝していますが(おそらく中国を向いて)、テロ情報の流出については、国民や関係各国に対して謝ったという報道はありません。テロの取り締まりは、国際的な協力の下で行われていますので、一国の情報漏洩が、致命的な事件を引き起こすこともあり得ます。政府は、自国の安全を脅かす相手に対しては平身低頭で接しながら、国民や国際社会の安全を守るためにテロと戦う諸国に対しては、自らの失態に頬かぶりをしているように見えるのです。
尖閣沖のビデオ流出が中国の横暴を抑止し、海上保安庁の職務の安全性を高めたとしますと、テロ情報の流出は、逆に、危険を世界大に拡散し、テロ包囲網が解れる原因となります。事の重大さを認識し、岡崎国家公安委員長は、国民、ならびに、国際社会に対する責任をとって辞任すべきと思うのです。
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国際法順守、中国に要求…オバマ大統領書面回答(読売新聞) - goo ニュース
国内でも、皆が順守している法律やルールを守らない人は、”無法者”とか、”アウトサイダー”と呼ばれ、社会の真っ当な一員とは認められてはいません。暴力団が、犯罪組織として警察の取り締まりの対象となるのも、自己の利益のために法やルールを破り、他者に危害を与えるからです。
国際社会においても、国際法を順守しない国の登場は、脅威以外のなにものでもありません。尖閣諸島の問題も、中国が、国際法に基づいて正当に領有している我が国の領土に対して、何らの法的な権利がないにも拘わらず、”自分のもの”と一方的に主張し始めたことに原因があります。日常のトラブルに譬えてみれば、自分の家の敷地に勝手に隣人が入り込んできて、ここは”自分の土地”、と言い張って譲らないようなものです。国内であれば、”出るところに出ましょう”、ということで、裁判所で解決されますが、中国は、司法解決など毛頭、頭にないようなのです。あるのは、武力によって占領するか、あるいは、交渉によって割譲を強いることのみです(異議があるなら、司法解決を求めるべき)。
昨日の米中会談では、オバマ大統領が、中国の胡主席に対して、国際法の遵守を求めたそうです。社会の一員となるための最低限の要件は法の順守であることは、国際社会も国内社会も変わりはありません。この要件を欠いては、中国は、永遠に、国際社会のアウトサイダーになると思うのです。
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TPP協議開始閣議決定、参加判断は来年6月 「開国」、問われる覚悟(産経新聞) - goo ニュース
現在、中国の元安政策は、国際貿易の不均衡の元凶とみなされており、G7やG20でも、元安政策に引きずられた通貨安競争も、早急に対処すべき問題として議論されています。そもそも、こうした事態を招いたのも、WTOにおいて、対外通貨政策に関する合意が成立していなかったからとも言えます。
ブレトン・ウッズ体制では、米ドルを中心とした固定相場制が採られていたため、各国には、為替政策を選択する自由はありませんでした。その反面、身勝手な為替政策を追求する国もなかったのです。ニクソン・ショックにより、変動相場制に移行すると、各国は、それぞればらばらな政策を採るようになります。この結果、輸出拡大政策の一環として、自国通貨安政策を採る国も現れたのです。しかしながら、この政策は、国際収支の不均衡をもたらす不公正な政策として非難され、円安政策を採ってきた我が国も、プラザ合意により、円高を容認することになりました。そうして、今度は、中国の元安政策に非難の矛先が向くことになったのです。
思えば、WTOの加盟条件としても通貨政策に関する合意が欠如していたことが、中国の増長を許した原因であったのかもしれません。国際圧力で円高を受け入れた我が国とは違い、中国は、外部からの圧力だけでは動きそうもないのですから。そこで、TPPの枠組みを拡大する交渉に際しては、加盟条件に為替操作を防止するルールを加えてはどうかと思うのです(現行のTPPには、投資や通貨に関する規定は含まれていない…)。中国は、これまでのところ、関心を示しつつも参加を表明していませんが、WTOでの失敗を繰り返してはならないと思うのです。
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TPP、日本方針に高評価=横浜APECが開幕(時事通信) - goo ニュース
TPPへの参加に反対する根拠として、農業と並んで挙げられるのが、”人の自由移動”です。EUでは、”もの、人、サービス、資本”の自由移動を掲げてきましたので、つい、TPPに加盟すると、大量の移民が押し寄せ、職が奪われるのではないかとする懸念が広がるのも無理はありません。
本日の日経新聞でも、TPPに参加することによって、”人材鎖国”から開国を目指せ、といった論調の論説を掲載しておりますので、なおさら、雇用喪失の危機感が高まりそうです。しかしながら、少なくともTPPの前身であるANZSEPをみる限り、自由化の中心は、ものとサービスであり、人と資本については、踏み込んだ規定を置いていません(人は、サービスの分野のビジネス・パーソンであり、投資は除外・・・)。EUと比較して、環太平洋諸国の間での社会・文化的な違いは著しく、多様性に富んでいることを考慮すれば、人の自由移動は容易ではなく、また、どの国も失業問題や社会的亀裂に神経をとがらせていることを考えれば、労働市場のさらなる開放に二の足を踏むのも分かります。
日本国政府が、交渉過程で”人の自由移動”を自ら提言するとなれば、それは、国内の反対世論をさらに強めるとともに、参加予定国にも警戒感が広がる可能性もあります。将来的には、13億の人口を抱える中国が参加するかもしれないのですから。TPPの発足が、即、参加国の失業問題と直結せず、貿易の活性化によって、新たな国内雇用を生むような仕組みを考えるべきと思うのです。
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交渉6割、武力4割弱=領土紛争解決で中国世論調査(時事通信) - goo ニュース
尖閣諸島をめぐって日中の緊張が高まる中で、中国で、この問題を問う世論調査が行われたそうです。結果を見て唖然としたことは、選択肢から、国際法に基づいた解決がすっかり抜け落ちているのです。
世論調査を実施したのは、中国共産党機関紙系の環球時報とのことですが、そもそも、アンケートの回答そのものが偏向しています。解決方法の回答は、武力解決(36.5%)と、交渉による解決(59.3%)に分かれ、後者の方が支持の回答が高かったそうです。しかしながら、”国際法に照らして解決する”とか、”国際司法裁判所に提訴する”という選択肢はなかったようなのです。これでは、”中国領”を前提とした誘導世論調査に過ぎません。むしろ、”棚上げ論”を含めた自国の主張の既成事実化のため、あるいは、交渉に持ち込むための、対日宣伝戦術とも考えられます(交渉論は、いわば”戦わずして勝つ”作戦…)。
尖閣諸島は、国際法においても、歴史においても我が国の領土であり、一方の中国の領有権主張には、これらの根拠が欠如しています。日本国政府は、中国の巧妙な作戦に惑わされないよう、充分に気を付けるべきと思うのです。
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官房長官、秘密保全の法整備検討「罰則軽い」(読売新聞) - goo ニュース
尖閣諸島沖の事件では、国民の多くがビデオの一般公開を望んでおり、政府の消極的な態度に批判的な意見が多数を占めていました。こうした矢先のビデオ流出でしたので、流出という形であれ、ビデオが公開されたことを歓迎する国民は少なくなかったはずです。
国家の安全を守るためには、機密保全を強化することは当然のことですが、政府が、情報を公開しないことで、逆に、国家の安全が危うくなることもあります。現行の「情報公開法」の第5条3では、開示請求があっても、国家の安全や外国の信頼を害するおそれがある場合には、行政機関の長の判断によって、情報を公開しなくともよいとしています。しかしながら、尖閣沖事件によって、政府が情報を隠すと、国家の安全と外国の信頼を害するケースがあることが分かったのですから、この逆パターンに対する対応が必要なのではないかと思うのです。尖閣ビデオが非公開のままでは、日中どちらに非があるのか曖昧となり、危うく日本国の信頼を著しく傷つける結果となるところでした。
こうした事態を防ぐために、「情報公開法」を改正して、行政文書のみならず、映像などにも対象を広げ、開示の判断も、行政の長ではなく、国会に権限を与えるといった工夫をしてはどうかと思うのです。このままでは、政府による情報統制ばかりが、強まりそうで心配です。
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TPP、「協議開始」で決着へ=参加の可否は先送り―政府(時事通信) - goo ニュース
報道によりますと、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、ルール重視の経済連携協定を目指すそうです。中国のWTO参加が、ルールなき通貨政策と恣意的な市場運営によって、著しい貿易不均衡、企業のチャイナ・リスク、雇用の流出、産業の空洞化・・・を招いたことを考えますと、ルール志向の経済圏の誕生は大変魅力的です。
民主党政権は、TPPへの参加の決定は先送りにするそうですが、もし、TPPにおいて、公平な競争条件が保たれ、知的財産権を含めた企業の権利が保障され、かつ、合意されたルールが維持される仕組みが備えられるとしますと、日本国の企業にとりましても、カントリー・リスクが低減し、しかも、ビジネス・チャンスが広がることになります。現在のところ、我が国の経済は、為替と関税の両面において、競争上、不利な立場にあり、高い技術力も充分には生かされていません。
農産物市場への打撃が障害とはなってはいますが、おそらく、輸出余力のあるベトナム米が最大の脅威となりそうです。しかしながら、近年の急速な経済成長を受けて(2009年度で実質経済成長率5.32%)、ベトナムのインフレ率も高い水準で推移しており(2010年度インフレ率214.57%)、また、現在のところ、政府が、米輸出に制限を設けているそうです。
もちろん、農家を含めた国内的な合意を形成しなくてはなりませんが、我が国が、TPPに参加するのであれば、域内のルール作りや制度設計に参加できるよう、早期の決断が必要なのではないかと思うのです。
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「犯人捜ししないで」8割…海保に電話100件(読売新聞) - goo ニュース
尖閣ビデオの流出の背景や意図にについては、まだ解明されてはいません。しかしながら、もし、正義の内部告発であると仮定しますと、日本国民は、正義の問題に真正面から向き合っていることになります。
最近、議論を通して正義を考えるマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」が話題になってきました。「白熱教室」では、”愛国心と正義、どちらが大切”という議題があるそうですが、尖閣諸島ビデオ流出問題は、さながら”正義と法律、どちらが大切”という議題になりそうです。民主党政権としては、ビデオ流出が内部の人の手によるとしますと、国家公務員法違反の事件として、厳正に処罰したいところでしょう(法律が大切派)。しかしながら、民主党政府が、最初に超法規的な措置をとって犯人を釈放し、中国の利益のためにビデオを公開せず、主権者である国民を愚弄していたことを考えますと(政府は純粋な法律派でもない・・・)、いわば、日本国に対して、政府が、反逆罪を犯していると見ることもできます。国法にも、国益にも背いた政府に対して、自国を守り、政府の不正を暴くためにビデオを流出させたとしますと、愛国心も、正義も、流出させた人の方にあることになります(正義が大切派)。
2006年から、「公益通報者保護法」という法律が施行されており、その趣旨は、組織内部の情報を通報することが公益に適う場合には、通報者を保護するというものです。尖閣諸島ビデオ流出事件は、外部者である国民への通報となりますので、この法律の適用を受ける可能性もあります。真相は不明の段階ですが、国民は、政府も悪をなし得るということを前提に、正義の問題をしっかりと考えてゆかなければならないと思うのです。
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尖閣沖の衝突ビデオ? 動画サイトに流出(朝日新聞) - goo ニュース
民主党政権と中国共産党が結託して隠蔽しようとした尖閣沖ビデオは、国会での限定公開に留まらず、ついに、動画そのものが流出したようです。政府側は、お冠かもしれませんが、中国に対しては、自由主義国の情報事情を伝える貴重なチャンスとなるかもしれません。
徹底的な情報統制を行っている中国では、政府が隠した情報がネットに流出することは、まずあり得ないことです。その一方で、自由主義国では、政府の隠蔽行為は、国民からの強い非難を浴びます。一部であれ、国会でのビデオ公開が実現したことは、国民世論を背景に野党が要求すれば、政府も折れざるを得ないという、日本国の民主主義の成果なのです。加えて、政府が、一部公開としたにも拘わらず、ビデオがネットに流出したとなりますと、実のところ、部分公開に不満を持つ人々が、民主党政権の”情報統制”に抵抗していることをも示唆しています(ビデオ流出の経緯は不明ですが・・・)。ビデオ公開をめぐる一連の出来事は、自由主義国では、政府による情報統制が難しいことを、如実に物語っているのです。
このことは、中国政府にとりましては、衝撃となるはずです。自由主義国では、情報統制が効かないことを中国国民が知り、自国の体制に対する不満が高まるからです。尖閣諸島の事件は、今後とも、”情報隠蔽”をよしとする日中両国の政権を揺さぶることになるのかもしれません。
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北方領土訪問は「国内向け」=一時帰国の駐ロ大使が報告―菅首相、情報収集を指示(時事通信) - goo ニュース
ソ連邦の対日参戦の経緯を思い起こしますと、まことに遺憾と言わざるを得ません。日本国側から見ますと、既に降伏の意思を示しているにも拘わらず、日ソ中立条約を一方的に破棄し、突然に襲いかかってきたのですから。
対日参戦は、日本国側から見ますと、合法性なき行為なのですが、ソ連は、連合国の一員であったことを理由に自らの行為を正当化しています。もし、ソ連の論理に従うならば、北方領土の占領は、連合国の一員としての軍事占領と言うことになります。しかしながら、そうであったとしても、ソ連以外の連合国は、自ら掲げた不拡大方針に従い、沖縄のように占領地を敗戦国に返還していますし、他国の一方的な併合は、”侵略”以外の何ものでもありません。
もし、日ロの間で、北方領土問題に関する”落とし所”があるとしますと、日本側が、ソ連邦の対日参戦を連合国の一国の行為として認める一方で、ロシア側には、連合国の不拡大方針に従い、軍事占領地の返還を求めると言うものです。南樺太についても、領有権の帰属先は未定ですので、取引カードとして使えますし、ロシアが、即時の引き渡しに難色を示す場合には、北方領土を期限付きの租借地とし、期限が切れた時点で、ロシア側の投資分の補償と住民の国籍選択や永住権を保障するということであれば、ロシア側が飲めない条件ではないと思うのです。
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北方領土、「日本を支持」=ロ大統領の国後訪問受―米(時事通信) - goo ニュース
我が国の民主党政権の弱腰外交は、ついに北方のロシアが牙をとぐ隙を与えてしまったようです。先日も、メドヴェージェフ大統領が国後島を訪問し、北方領土領有を既成事実化すべく、着々と歩を進めています。
現代から近代に時代が逆戻りの感もありますが、ロシアの国際法無視は、近代よりも酷いぐらいです。何故ならば、近代でさえ、領土の割譲には、国際的な合意を要したからです。例えば、第一次世界大戦では、ヴェルサイユ講和会議が開催され、両陣営の当事国の間で講和条約が締結され、国境の線引きが、国際的な合意の上でなされました。たとえ戦勝国となったからといって、一国が、勝手に、他国の領土を併合することはできなかったのです。現在でも、当然、国際法上の根拠なき領土の領有は、不法な占拠とみなされています。
最近、ロシアの高官が、北方領土に領土問題があるのは、ソ連が、サンフランシスコ講和条約に参加しなかったから、と述べたと報じれており、条約上の根拠がないことは、ロシア側も認めているようです。しかしながら、たとえ参加していたとしても、連合国側の不拡大方針を考慮すれば、北方領土の割譲を、ソ連以外の連合国が認めたとは思えません。そうして、現在においても、アメリカがヤルタ協定の効力を否定し、日本国の立場を支持し、欧州議会もまた、北方領土は日本国の領土とする見解を示していますので、ロシアの北方領土領有に関する国際的な合意は成立しないと思うのです。
ロシアは、中国と共に、近代をも通り越して、法なき時代まで逆走しているように見えるのです。
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中国主席「覇権求めず」=内政干渉は拒否―仏紙と書面会見(時事通信) - goo ニュース
尖閣諸島沖で発生した事件では、中国側は、小平氏の1978年の発言を引き合いに出して”棚上げ論”を既成事実化し、日本側がこの”合意”を破ったとさかんに非難してきました。しかしながら、当の小平氏自らが、1992年の「領海法」制定を支持した責任者であったとなりますと、何一つ、中国の要人の発言は信じられない、ということになります。
「領海法」とは、1992年に中国が制定した国内法であって、国防を根拠に、尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を”中国の領土”であると規定しています。”棚上げ”どころか、日本国の領土を自国に組み込み、武力行使なき法的な”侵略”を企てたのです。小平氏の発言は、後の時代の人の知恵に尖閣諸島問題の解決を任す、という主旨のものですから(ただし、この発言は、中国側による一方的なもので、日本側は合意していない・・・)、いわば、”禁反言の原則”を破ったことになります。しかも、法として制定している限り、中国の侵略的意図は、誰もの目にも明らかです。自国の法によって、中国は、自らの侵略性と覇権への意欲を証明しているのです。
胡主席も、国際社会における反中感情の高まりを抑えるためにか、「中国は覇権を求めず」と述べたと報じられています。しかしながら、この言葉も、これまで聞き飽きるほど中国要人の口を通して聞かされてきました。もはや、中国要人の言葉を信じる国も人も、いないのです。
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「ピューっと来てゴーン」尖閣沖衝突ビデオ、議員ら証言(朝日新聞) - goo ニュース
中国国内では、尖閣沖の事件は、日本国の海保側の巡視船が、漁船にぶつかってきたと報じられているそうです。わざわざ図解までして説明したらしいのですが、政府の説明が嘘であることがばれた場合、どのような事態が発生するのでしょうか。
公開されたビデオでは、大幅にカットされたとはいえ、中国の漁船の方から巡視船にぶつけてきたことが分かるそうです。殉職の有無については確認できないものの、ボールは、中国側に返された形となりました。そうであるからこそ、今後の中国側の動向には注意を払う必要があります。当面の焦点は、反日デモです。連日の反日デモは、中国国民が、政府発表の情報を信じたことから起きたものとされていますが、このデモが鎮静化しないとなりますと、中国政府は、尖閣諸島を軍事占領するシナリオを、本気で描いていることになります。何故ならば、中国漁船の側に非があることが判明しても、尖閣諸島は自国の領土であるとする主張することで、船長の行為の正当化を押し通す中国政府の意図を確認することができるからです。
このことは、中国の反日運動は尖閣諸島を手中にするまで続き、小手先の妥協をしても、何度も同じような事件が繰り返されることを意味します。中国の海洋戦略が実行に移されますと、行きつく先には、武力衝突が予想されるのですが、この問題を平和的手段によって解決する方法は、中国政府に対して、武力行使は控え、我が国の尖閣諸島領有に異議があるならば、国際司法裁判所に提訴するよう説得するか、国際法を盾に領有権主張の取り下げを求めるしかないのではないかと思うのです。それまでの間、我が国は、尖閣諸島を実力で防衛するのみなのです。
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