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介護報酬の改定と情報公開。

厚労省は昨日、介護保険のサービス事業者に支払う介護報酬の改定内容を発表。

2009年4月から実施される。

今回の改定で最も注目されたのは、介護報酬3%アップと介護労働者の給与2万円アップの問題。

介護報酬3%アップとマスコミでさんざん観測記事が書かれていたが、<オープン・ザ・フタ>してみると、

介護報酬3%アップ=在宅系サービス1.7%アップ+施設系サービス1.3%アップ、のことであった。

これまで多くの新聞は、この3%アップで、介護労働者の給与2万円アップ確実と、根拠も示さず報道してきた。

結論を先に言えば、介護報酬3%アップしても介護労働者の給与が2万円アップするとは限らない。

2万円アップさせる経営者も若干いるかも知れないが、多くは<少しだけアップ>になるのではないか。

2009年度中に、社会保障審議会が、今回の3%アップで介護労働者の処遇がどの程度改善されたか検証するとの計画であるが、

大規模調査するつもりなら、事業者調査だけでなく、実際の介護労働者をサンプリングして調べる必要がある。

私としては、今回の改定で給与水準がどれだけアップしたか、サービス事業者ごとに、情報公開すべきだと考える。WAMネットに全ての事業者の情報をデータベース化し、検索可能にすべきだ。

また、市区町村(保険者)ごとに、存在する全てのサービス事業者の給与変化を広報に載せるべきだと思う。

例えば、特別養護老人ホーム(定員80名)でいまだに存在する4人部屋で要介護4の高齢者が入居している場合、介護報酬は一人当たり

10500円アップし、269400円となる。利用者である高齢者の自己負担(10%)が1050円アップするので高齢者へも影響が出る。10500円-1050円=9450円の80人分、すなわち756000円分増えた金額が、毎月経営者に支払われる。

この増分を原資に、介護職員の給与をアップさせようという狙いであったが、

この給与情報の公開は希望者だけとなった。

従って情報公開を希望しない多くのサービス事業者(経営者)は、こうした増分をガッポリポッケに入れてしまうだろうが、そうしたところで、おとがめなし。

当然、この情報公開に、介護サービス事業者側の社会保障審議会委員は猛反発するが、給与水準を公表させる意見も審議会で相次いだらしいので、多数決で決めるべきでなかったか。

国の社会保障のあり方を決める社会保障審議会が、<最後のツメが甘い>ために、安い賃金の介護労働者の離職が止まらないだろうし、<老後の安心>が今回も約束されなかった。

 

 

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