絵というか、ペナントというか……

　先日、１８キップで熊野地方を旅してきたんでした。いろいろ目的はありましたが、たくさんあるうちの最大の目的は、二万円の貯金通帳でした。

　子どもの教育費の引き落としのため、地元で作った口座がありました。引っ越したあとも、しばらく引き落としはつづくだろうと、そのまま残しているうちに、あっという間に二十数年が経過して、それだけ放置していた通帳は、うちの近所で残高照会をしようとしても、一切受け付けてくれなかったのです。

　だったら、本店に行って、それを解約するしかありません。それでたまたまお盆期間中の平日に、ＪＲでトコトコ三重県の南へと出かけたんでした。

　そこは、マンホールに書いてあるとおり、太陽と緑の町・一年中みかんが取れる町でした。

　そして、おずおずとお願いしました。「二十年以上放置している通帳なんですけど、見ていただけますか？」とお願いしました。
　
　奥さんに、自由に使っていいと言われた通帳には二万とあるので、「ひょっとして二万丸もうけか……」とワクワクしていました。

　ものすごく時間はかかりました。過去のデータなど、奥の方のロッカーから、あれこれ資料をしらべてくれていました。「利子は……？　利子はなしだ」と、えらい人のおことばが耳に入ります。

　「そうか、利子はないんだ。でも、二万くれたらいいや。早くちょうだい」と思っていました。

　すると、あれこれ引き落とされたのは二十年以上前で、それらの資料は一切なく、ただ残高は4450円です、ということでそのお金をもらうことになった。

　うれしいやらさびしいやら、少しあてがはずれたやら、複雑な気持ちでお金を受け取り、とりあえずよかった。やっと放置していた自分のお金を取り戻せたと、うれしかったんです。



　そのあと、熊野花火大会が開催される熊野市に移動し、たくさんのカメラマンが何時間も前から構える獅子岩を見て、花火は何も見ないで帰ってきたんです。天の邪鬼ですね。



　大阪の実家で見つけた、宇治の平等院のペナント。四十年以上前の物かもしれません。



　小学校の修学旅行で行った伊勢志摩国立公園の二見浦。昔はこんなの買って、うれしかったんでしょうね。この誇らしい色づかい。何とも言えないですね。



　親戚のお兄さんが、バミューダアイランドに仕事で出かけて、そのお土産でした。すごい配色。役に立たないけど、宝物には違いない。



　朝、出かけるときに真正面から撮った松阪大映。今も現役のエッチ映画館で、いつか行きたいと思ってましたが、ちゃんと日程には営業しているように書いてあるのに、帰りには電気は付いていなくて、つぶれたのかもとショックでした。

　次から次と、私の町は古い物が崩壊しているようです。この波を、なんとかしないといけないです。

　ただでさえ魅力が薄いのに、このままテロンテロンの町になったって、だれもふりかえってくれないでしょう。古い町の魅力を活性化させなきゃいけないのに、今の市のトップは、何か間違っているようです。

　古い物は取り壊せ！　新しい立派な物を、借金してもいいから、どんどん作って、経済を活性化させろ！　もう何十年前の政治をやろうとしていることやら……。