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今、パソコンを開いて、ブログを書こうかというところまでたどり着く途中で、チラッと日記のファイルがあったのが見えました。
昔は毎日つまらないことを大事そうに書いてたような気がします。でも、今は起床時間と帰宅時間と、体重とそんなことくらいしか手帳に書かなくなりました。それが日記です。というか、ただの記録です。
父は、家族の動向をあれこれメモしていました。何時に誰が帰ってきたとか、何時に誰がどこへ行ったかとか、そういうことをこまめに書いていました。お仕事みたいに丁寧に書いていました。息子の私は、そういうことの根気がありませんでした。
毎日同じことの繰り返しになると、ものすごくテンションが下がり、いい加減な気持ちになるし、お酒飲んで少しだけ気晴らしみたいなことをするくらいです。
とはいっても、私は特に気晴らししなきゃいけないことはありませんでした。ただボンヤリ毎日が過ぎてくだけで、困ったこともないし、悩みもないし、大事なことは忘れるし、どうでもいいことも忘れてしまうし、毎日過去を消しながら生きている気がします。
本当に今しかなくて、数秒前に見たことも、たくさん並んでいたら、すべて忘れて、何一つ憶えていない恐ろしい状況です。
ああ、私はこれからどうなっていくんだろう。心配です。
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というんで、昨日読み切った「赤ずきん、旅の途中で……」を書いてみます。どれだけ憶えているんでしょう。
シンデレラと出会い、ヘンゼルとグレーテルと出会い、数十年眠り続けているオーロラ姫の取り巻き連中たちとも出会い、殺人事件を解決しながら、いよいよ大事なおばあさんが、夢見るマッチ依存症になって、そのままやせ細って死んでしまったので、赤ずきんは、この夢を見せるマッチ(依存性があります)を作っているマッチ売りの少女だったエレンという女のこと対決します。
赤ずきんの最大の敵キャラが、かよわいイメージのマッチ売りの少女でした。
でも、この世界では、経営者として抜群の能力を示し、世界中でマッチを売り続けていたのです。みんなマッチをすって、そのあかりの中で自分の夢を見て、続きが見たいから立て続けにマッチをすって、他のことは何もできなくなるようでした。
マッチでなくても、私たちが依存している何か、現代でもいろいろあるような気がします。人の弱みに付け込んで、いつまでも夢を見させるもの、たくさんあるような気がします。そして、人はそこから離れられなくなっている。
赤ずきんは、最後の対決のところで、今までは単独で活躍したけれど、最後は仲間に救われて、とうとう敵キャラのマッチ売りの少女を穏やかに制することに成功し、物語は終わります。
いろいろと旅してきたけれど、やっと彼女の旅が終わったようで、ひとまず私たちはそれで満足して本を閉じるということになっています。
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私は、古典の力というのを感じていました。どんなに作者がメチャクチャに発想したとしても、古典の上にのっかっていると、読者はどこか安心感を持ちつつ、古典の世界のキャラたちが、こんな感覚を持ってたのか、まるで登場人物たちがリアルな若者みたいな雰囲気を感じさせてくれて、新たな側面みたいなのが感じられました。
古典の力なんですね。
さて、他にはコメントないのかな? 日本の昔話をもとにしたミステリーというのも書いてるみたいだから、今度読ませてもらおうかなと思ったところです。
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