少し魂胆があって、筑摩書房版の宮沢賢治全集の第1巻を借りました。短歌の特集になっています。あれこれ見ているうちに、本来の目的からはずれた部分に目がいってしまって、とりあえず抜き書きしてみました。賢治さんと鉄道のつながりについ引きつけられました。まあ、私は鉄道のオタク・オヤジなんです。
15歳の賢治さんの短歌です。なかなか若々しい作品ですね。そんな若い頃の作品とは知らなかったなあ。三十前の作品かと思っていました。
1911・明治44年1月の作品です。
8 中尊寺青葉に曇る夕暮のそらふるはして青き鐘なる
中尊寺の青葉が輝いていて、やがて夕暮れとなり、少し曇ってきた。空を揺さぶるように寺の鐘が鳴り響いている。
178 風ふけば岡の草の穂 波立ちて遠き汽車の音もなみだぐましき
風が吹いている。遠くを見渡せる岡の上の草原が揺さぶられ、遠くから汽車の音が響いてくるが、やたら涙がこぼれてしまうのだ。……少し作り過ぎた世界ですね。「なみだぐましき」ということばが、少し説得力に欠けますね。汽車の音を聞いて、遠くのだれかを思い出したということでしょうか。
180 はだしにて夜の線路をはせ来たり汽車に行き逢へりその窓は明るく
裸足で夜の線路をずっと歩いてきました。隣町からずっと家に帰ろうと思っていたのです。そうしたら、夜明けが近づいて、汽車がやってきたので、あわてて線路からはずれることにした。まるで「スタンド・バイ・ミー」みたいな夜明けでした。
189 鉄橋の汽車に夕陽の照りしかばこゝまでペンキ匂ひくるかな
赤い鉄橋が夕陽に照らされています。汽車がたまたまそこを行き過ぎようとしています。そうしたら赤い鉄橋のペンキのにおいがやってきそうな気がします。それほどににおいやかな夕方のできごとです。
……ペンキのにおいがするなんて、詩人の感性と言うべきでしょうか。それとも、無理矢理?
275 浅草の木馬にのりて晒(さら)ひつつ夜汽車を待てどこゝろまぎれず
浅草の木馬に乗って何度も何度も心の中で夜汽車に乗っていた自分を思い出してみました。けれども、心は落ち着かないままで、どうして都会に自分はいるのかと思ってしまいます。
285 伊豆の国三島の駅にいのりたる風にむかひてまたなげくかな
伊豆の国を旅しています。三島の駅にたどりついて、風に向かって家族みんなが幸せであるようにと祈っているのです。
309 わがために待合室に灯をつけて駅夫は問ひぬいづち行くやと
私が駅の待合室に1人で夜を明かしていると、駅の職員さんが私のために灯りをつけたままにしてくれて、「どこに行くのか」と訊ねてくれました。そんななんということもない一瞬に私は旅をしていることを感じています。
★ 以上、無理矢理解釈でした。まさか15歳の時の作品とは、知りませんでした。
私も、汽車の旅で何かできないですか?
★ 改札を抜けて闇へと消えてゆく少し疲れた背中に声かけてみむ
★ 父母知らぬ旅へと夜汽車揺られ行く見知らぬ駅と蛍光灯と
★ 北国へ向かう夜汽車を待っている少女と家族に無限の時間
★ 白い靴白いスカートうつむきて グレーの駅舎夕暮れていく
★ 見送りて手持ちぶさたの我らなり バスが出るまで駅前書店
この駅舎にはなじみがあります。大丸さんがデカデカと出て来て、線路を覆い尽くす現在、これはもうガメラにぶっこわしてもらわなきゃいかんくらい、息苦しい感じです。
15歳の賢治さんの短歌です。なかなか若々しい作品ですね。そんな若い頃の作品とは知らなかったなあ。三十前の作品かと思っていました。
1911・明治44年1月の作品です。
8 中尊寺青葉に曇る夕暮のそらふるはして青き鐘なる
中尊寺の青葉が輝いていて、やがて夕暮れとなり、少し曇ってきた。空を揺さぶるように寺の鐘が鳴り響いている。
178 風ふけば岡の草の穂 波立ちて遠き汽車の音もなみだぐましき
風が吹いている。遠くを見渡せる岡の上の草原が揺さぶられ、遠くから汽車の音が響いてくるが、やたら涙がこぼれてしまうのだ。……少し作り過ぎた世界ですね。「なみだぐましき」ということばが、少し説得力に欠けますね。汽車の音を聞いて、遠くのだれかを思い出したということでしょうか。
180 はだしにて夜の線路をはせ来たり汽車に行き逢へりその窓は明るく
裸足で夜の線路をずっと歩いてきました。隣町からずっと家に帰ろうと思っていたのです。そうしたら、夜明けが近づいて、汽車がやってきたので、あわてて線路からはずれることにした。まるで「スタンド・バイ・ミー」みたいな夜明けでした。
189 鉄橋の汽車に夕陽の照りしかばこゝまでペンキ匂ひくるかな
赤い鉄橋が夕陽に照らされています。汽車がたまたまそこを行き過ぎようとしています。そうしたら赤い鉄橋のペンキのにおいがやってきそうな気がします。それほどににおいやかな夕方のできごとです。
……ペンキのにおいがするなんて、詩人の感性と言うべきでしょうか。それとも、無理矢理?
275 浅草の木馬にのりて晒(さら)ひつつ夜汽車を待てどこゝろまぎれず
浅草の木馬に乗って何度も何度も心の中で夜汽車に乗っていた自分を思い出してみました。けれども、心は落ち着かないままで、どうして都会に自分はいるのかと思ってしまいます。
285 伊豆の国三島の駅にいのりたる風にむかひてまたなげくかな
伊豆の国を旅しています。三島の駅にたどりついて、風に向かって家族みんなが幸せであるようにと祈っているのです。
309 わがために待合室に灯をつけて駅夫は問ひぬいづち行くやと
私が駅の待合室に1人で夜を明かしていると、駅の職員さんが私のために灯りをつけたままにしてくれて、「どこに行くのか」と訊ねてくれました。そんななんということもない一瞬に私は旅をしていることを感じています。
★ 以上、無理矢理解釈でした。まさか15歳の時の作品とは、知りませんでした。
私も、汽車の旅で何かできないですか?
★ 改札を抜けて闇へと消えてゆく少し疲れた背中に声かけてみむ
★ 父母知らぬ旅へと夜汽車揺られ行く見知らぬ駅と蛍光灯と
★ 北国へ向かう夜汽車を待っている少女と家族に無限の時間
★ 白い靴白いスカートうつむきて グレーの駅舎夕暮れていく
★ 見送りて手持ちぶさたの我らなり バスが出るまで駅前書店
この駅舎にはなじみがあります。大丸さんがデカデカと出て来て、線路を覆い尽くす現在、これはもうガメラにぶっこわしてもらわなきゃいかんくらい、息苦しい感じです。