甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

千曲川、雪とワンちゃんとラ・パリ

2016年01月19日 21時03分46秒 | 中学生までのこと
 中2から、近所の塾に行くようになりました。丸美荘というアパートのとっかかりの二部屋で営業している塾でした。六畳一間のフロアーに長机を置いて、そこに十数人がぎっしり入って勉強するんです。最初はバカにしていたけれど、ここには近所の優秀な子たちが通っているので、ここでがんばれば、それなりの成果があったのだと思います。ここの塾の同級生には、T大の医学部に進んだ子もいましたから、たまたま優秀な子がいたのか、そうではなかったのか、そうではないフツーに勉強のできない子もいたから、クソミソ一緒でやってたんですね。

 そこでワンちゃんとふたたび話をするようになりました。あれからクラスも変わって、一緒のクラスにならなかったので、少し遠ざかっていたのに、急にまた仲良くなってしまいました。みんなで塾の時間が来るまで(学年ごとで、前の学年の子らが出てくれないと入れないのです)、ずっと道の真ん中に立っておしゃべりしたり、南の空に点滅して不規則な動きをする光を見たり(それが私の唯一のUFO体験です)、のんびりした夕方の時間をすごしていたのです。

 塾が終わるのは21時前くらいで、当時は近所に本屋があったので、たまに気分が乗れば、みんなで本屋さんを冷やかしに行ったりもしました。本屋のオバサンは気長に私たちが立ち読みするのを待ってくれて、たまには文庫本などを買うお客なので、大切にあしらってくれたりしました。

 わりとのどかで、少しだけ文化的な、ゆったりとした夜があったのですね。たまに勇気を出して買った文庫本なんかは、そりゃもう必死になって読んだでしょう。今みたいに買った後にしばらく寝かせておくこともしませんでした。

 そのころに、司馬遼太郎全集とか、三島由紀夫とか、買ってたんだと思われます。他の人たちがどんな本を買ったのか、全くおぼえていないけど、みんなそれぞれ好きな世界があったんですね。

 塾の前には、NHKの人形劇で「新八犬伝」というのがやっていて、それが見たいのに塾にも行かなきゃいけないという引き裂かれた状態になることにあったんでした。



 70年代は、深夜放送はなやかなりし時代でした。みんな好きな番組があって、それぞれ得意な分野を持っていました。私はABC・朝日放送の「ヤングリクエスト」をひいきにしていて、すぐに寝てしまうのに、じっと我慢して聞いていました。勉強もせず、寝ているわけでもなく、中途半端な時間をすごしていた。

 アイドル系の音楽が聞きたくて、じーっと待っていたんでしょうね。ものすごい忍耐力です。他の放送局のおしゃべりやら、ギャグやら、投稿やら、そっちの方面は無視し続け、ただ聞いていた。それである時、

 フランス語と日本語の混ざった、よくはわからないけれど、勇ましそうな、それでいて何か運命的な内容の、女性ボーカルを聞きました。聞いたのはたぶんそれっきりで、以後も全く聞いていないと思うのだけれど、とにかく耳に残った曲は、♪…………ラ・パリ というもので、フランス革命か何かの歌なのかなと思う余裕もないくらいで、ただ耳に入れただけでした。



 それから何ヶ月かして、塾のみんなで春スキーにでかけることになったのです。行き先は、大学生の先生のふるさと・新潟県十日町市でした。夜行急行で長野にたどりつき、寝れたかどうかさえ不明のぼんやりした状態で、飯山線に乗り換えました。

 この時の印象は強烈で、ものすごく胸に残りました。延々と川は流れ、両岸はすっぽり雪に覆われ、とても静かで淡々と進むだけで、いつまでもどこまでも走っていきそうな感じでした。私たち中学生は、いねむりをしたり、おしゃべりをしたり、思い思いにすごしていました。

 もちろん私は、詩人ぶって、ガラガラの車内の4人がけに1人で座って、川面をみつめていました。そうしたら、あの曲が頭の中に流れてきて、千曲川と私の頭の中の音楽と列車の音が渾然一体となって、なんともいえないいい気な感じで、ボーッとしていたものでした。



 やがて十日町にたどりつき、私たちの初のスキー体験があったわけですが、それはどこかで書きました。

 曲は、年を経るに従って、ひょっとして加藤登紀子さんではないかと調べてみて、「美しき5月のパリ」とかいう曲があるのを知り、どうやらそれに間違いないと、とうとうアマゾンでCDを買いました。

 そして、クルマの中で聴いてみたら、あまり感動がありませんでした。肩すかしをくったみたい。でも、そのうち、1人でクルマの中で聴いてみましょう。どこかに私の感動のツボが見つかるかもしれないし……。



 最高のミュージカル「雨に唄えば」、これも一緒に買いました。これもどういうわけか感動しないのです。無理矢理に感動させようとしてもいけないので、じっくり聞きたくなるときを待ってみましょう!


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